B-40(445mm×345mm×1.4mm)。
結果から言うと、変化はあった。
そして、その変化の度合いは大きかった。
★サンシャシンシートのインプレの前に
m902の下に置いて検証。
我が家のm902はdac及びヘッドフォンアンプとして機能している。
音の出口は勿論ヘッドフォン。
他にも単体DACや真空管アンプの下でも検証してみた。
m902をラックに直置き、インシュレーター、機器や電源ケーブルの組み合わせを入れ替え、様々なパターンでサンシャインシートを検証してみた。
なぜこれほどまでに念入りに検証したかと言うと、正直私はこのシートを初めて導入した時、あまりの変化に驚いた。
こんなに変化の大きかったアクセサリーは初めてであったからだ。
もちろん音にも満足しており、何も不満はなかった。
しかし、このシートによって音質が悪化するという人もいることが非常に気になっていた。
私は肯定的な意見よりも否定的な意見のほうを重視する性質であり、悪化すると感じる人がいる以上、この意見は無視するどころか私にとっては逆に再度の検証を促すものであった。
★サンシャインシートの評価が割れる理由
>3つの要素
サンシャインシートはどうもシステム構成によって良くも悪くもなるようだ。
これは私が様々な組み合わせでサンシャインシートを使ってみての結論。
私の試してみたテストの結果から、重要なポイントが3つあると感じた。
>ポイント①~振動~
ひとつは振動で、これは筐体そのもの、インシュレーター、そしてサンシャインシートを含めたトータルでの振動。
>ポイント②~ケーブルと機器の性能~
性能と言っても帯域に注目してほしい。
特にインコネ、電源ケーブルの性能。
帯域が広くピーキーさの出ない高性能なケーブルを選択したほうがいいだろう。
ピーキーな環境でこのシートを使用するとピーク感が浮き彫りになってしまう。
>ポイント③~電気関係~
これは上手く説明できないのだが、電源ケーブルのプラグのメッキや筐体に帯電している静電気などの影響がサンシャインシートを使った場合に欠点として浮き彫りになるのではないか、ということだ。
ロジウムメッキのプラグなどを使うと、その刺激音がシートを使用した際に強く引き出されるようだ。
>考察
なぜこのような結論に至ったのかを説明しよう。
>①の理由
サンシャインシート単品で音がうるさくなる場合があるのと同様に、インシュレーターのメタルバブルを単品で使った際にもうるさくなるケースがある。
(この原因としては②や③も関係しているだろう。)
しかし、この両者を組み合わせると、音のうるささがかなり減少する。
理屈はわからないので結果だけになってしまうが、うるささは軽減される。
予想では異質な素材の組み合わせにより振動に何らかの影響が出ているのではないかと思われる。
異なる素材を組み合わせたインシュレーターが数多く存在するのはこのあたりが絡んでいるのではないだろうか。
ただし、機器によって、又使用するインシュレーターによって好結果を得られる組み合わせが変わってくると思われるので、一概にメタルバブル+サンシャインシートが良いとは言い切れない。
>②の理由
まず、サンシャインシートは単品で使った場合に、音にうるささが乗るケースがある。
しかし、音がうるさくならないケースもあった。
私が最初にメインシステムに導入した際には音はうるさくならず、後にいろいろな組み合わせで試していく中で音がうるさくなるケースがあるのを発見した。
ケーブルを入れ替えて環境レベルを落としていくと音のうるささが出てくることから、先ほどあげた②のポイントが原因だと考えられる。
電源ケーブルにおいては③も関連してくる。
>③の理由
これはアーシングシステムを使用することから導き出された考え方。
そもそも、アーシングシステムの理論が謎に満ちている。
詳しくはアーシングシステムの記事を読んでみてほしいのだが、私は静電気除去ツールを使用した時の効果と比較した上で、アーシングシステムによって静電気を逃がすことができるのではないか、と考える。
このアーシングシステムをサンシャインシートとメタルバブルと併用することによって、全くと言っていいほどに音のうるささを無くすことができるのだ。
つまり、音のうるささの原因が電気的な部分による可能性が高いのではないかと私は思う。
>まとめ
サンシャインシートを使って音が悪くなったと感じた人、音がうるさい、高域が刺激的、潤い感が無くなった、といった印象を受けた場合、一度「足場の見直し」と「アーシングシステムの導入」及び「電気系の見直し」、そして「電源ケーブル及びインコネの見直し」を試してみてほしい。特に電源ケーブルは重要なように思う。高性能で帯域が広く、刺激的な音の出ないケーブル(ロジウムメッキのされているプラグなどは避けたほうがいいだろう)を使用するとよさそうだ。
★インプレ
まず、最も特筆すべきは驚くべき聴覚上のSN比の高さだろう。
空間がクリアーになることで、音場が明瞭になり、広さが広がる。
また、音の分離感は素晴らしく、細かな音までハッキリと聞き取ることができる。
聴覚上の情報量が増えたと感じるだろう。
欠点は響き成分の減少。
響きが減少することで、空間いっぱいに広がり満ちるような空気感、雰囲気は無くなる。
響きの減少の影響を最も受けるのが低域で、低域が痩せ、細くなってしまう。
細くはなるものの、低域の力感、量感は上がるので、良く言えば締まってパワフルな低域。
足場系アクセサリーにおいては響きとクリアーさがトレードオフな関係にあるものが多く、このシートも同様であると考えていいだろう。
★余談だが
オーディオアクセサリーというのは単一的な視点で見てしまうのは危険だと私は思う。
システム構成や組み合わせで良くも悪くもなるのではないだろうか。
勿論、どんな環境に使っても必ず改善の方向にもっていけるアクセサリーもあるだろう。
そのようなアクセサリーは非常に優秀だ。
しかし、そうでなく、使いこなしが難しいが、上手く使えれば効果の大きいアクセサリーも世の中には多いように思う。
サンシャインシートはその手のアクセサリーなのだと私は感じる。
私は未だにfo,Qを使って音が改善したことが無いが、あれもまた使い方次第で音を良くすることができるんだろうなぁ、と思っている。
★使うべきか使わないべきか
私的には使った時の音も使わない時の音も、それぞれ魅力的でアリだと思う。
どちらの音が好みか、それだけの話だろう。
音というのは「自分が良いと思える音が自分にとっての良い音」であって、他人の良い音が自分の良い音ではない。
サンシャインシートを使用した時の音を良いと思えるのならば、その時は使うべきだと思う。
これは人それぞれ各自で判断してほしい。
サンシャインシートとインシュレーターの組み合わせを検証してみたので、こちらも参考にどうぞ。
★番外編~ダイソーの100円滑り止めシート~
実は今まではダイソーに売っている100円の滑り止めシートをm902の下に置いていた。
シートというか、500円玉ぐらいの大きさの丸っこい円形のシートだ。
8枚入りや12枚入りがあったと思う。
シールタイプでくっつけることもできるが、私はシールを剥がさずにそのままm902の下に置いていた。
素材はEVA素材とかいうやつで、硬い密度感の高いスポンジみたいなもの。
同じEVA素材のオーディオアクセサリーにスパイダーシートというものがあるので、こちらも要チェック。
たったの100円だが侮れない。
これも変化をハッキリを感じることができる。
良いか悪いかは別として、安いし面白いので是非試してみて欲しい。
使い方としては直接的ではなく、ラックの下やボードの下など間接的な部分に使ったほうがいいように思う。
★仕様
CFRP(炭素繊維強化プラスチック)を使用したオーディオアクセサリーで有名なEau Rouge社のコンセントがER-PSXだ。
とりあえずオフィシャルサイトから商品説明文を抜粋。
ER-PSXは電極接点部分には電気抵抗の低い銀メッキ処理をし、バックプレートにカーボンファイバー積層板を用いることにより、強度の向上と振動対策をしています。
オーディオグレード壁コンセントで銀メッキを謳っているメーカーは数多くありますが、ピュア銀メッキは少なく、ロジウムメッキ処理をした銀ロジウムメッキが多いです。
その理由としては、通常の銀メッキでは酸化により黒ずみ、使用時間の経過に伴い特性が落ちるということが挙げられます。
しかし、銀メッキの上にロジウムメッキをしたものですと電気的特性の悪いロジウムの音色になってしまいます。
Eau Rougeは宝飾用のメッキ業者とのコラボレーションにより、オーディオグレードよりも遥かにクオリティーの優れた貴金属グレードのメッキ処理を行い、同時に酸化防止対策を施しました。
また電気特性の優れた壁コンセントは振動にもシビアな面を持つため、我々は荷重の最もかかるバックプレート部とコンセントベース部にメスを入れカーボンファイバー化し、壁コンセントを振動から解放しています。
この壁コンセントより得られるサウンドは、銀のイメージを覆すような、柔らかく、暖かく、そして力強いサウンドとなっています。
★壁コンのコストパフォーマンス
一個14万円もする同社のER-PSEXmk2(Eau Rouge)は別格として、価格的にトップ帯に属するのが今回購入したER-PSX(Eau Rouge)やSilver Power Port-1(Silver Referece)、そして壁コン界の重鎮である381(Wattagate)やSC-2851RU(CAT)あたりが続き、CryoMag-SSD2(PAD) ときてR-1(オヤイデ)、そして各種コンセント軍団が後に続く。
私は壁コンセントに関しては「値段=音質」とは思わない。
ケーブル類は値段に比例して音質も上がっていくイメージが強いのだが、壁コンセントはそーでもない。
なぜなら、「音質のUP」と言うよりも「音質の変化」を大きく感じさせてくれるのが壁コンだからだ。
ただ、流石にSSD2やR-1の性能が高いのは認めざる得ない。
★ER-PSXインプレ
まず最初に「落ち着いた音だなぁ」と感じた。
落ち着きのある大人なサウンド。
音場感が非常に優秀で、音場系筆頭のSSD2にも負けていない。
音の奥行き感、立体感となるとSSD2のほうが上だろうか。
しかし、違和感の無い優秀な音場感と音の広がり、音の響きを感じることができる。
すぐにわかるのがSN比の高さで、背景が無の空間と化す。
XXXが漆黒の闇からフワっと音が出てくるような感じなのに対し、ER-PSXは無の空間からスっとストレートに音が出てくる。
基本性能の高いSSD2から変えても情報量や解像度等に関しては劣ったようには感じ無い。
基本性能はかなり高いレベルにあるようだ。
低域は力感があり力強い、低域だけでなく全体的に力強い。
ドシっと安定した腰の座ったバランス。
ボワつかず力感があり、実体感のある音は魅力的。
中高域にはあまり強い個性が付加されていないように思う。
過剰にキラキラしたりギラギラしない。
かといって無機質な音質ではなく逆に有機的な音だ。
硬質であったり冷たいイメージも無い。
SSD2も強烈に個性を出すタイプではなくバランス型だが、ER-PSXはもっとバランス重視。
全ての要素をバランスよくハイレベルで実現している。
★電源タップに使用してみる
SBT-4SZのコンセントを交換してみた。
ちなみに、通常のSBT-4SZではタップを通すことで音質が劣化することは無いが良くなることもなく、現状維持といった印象を持った。
タップのコンセントのグレードを上げることでどのような変化が起こるのだろうか。
■壁コンER-PSX & タップER-PSX(▲印のコンセント)
SN比の高さにさらに磨きがかかっている。
壁コンから直で繋ぐ時と比べ、劣化どころか逆に向上している。
主に力感のUPとSN比の向上の影響からくる解像度と分離感のUPが顕著。
細かな音までエネルギッシュに拾う。
■壁コンER-PSX & タップSSD2(●印のコンセント)
電源タップのER-PSX側に繋いだ時との違いはよく聞かないと分からないレベル。
若干音が散漫となり、雰囲気重視。
音の奥行き、立体感はやはりSSD2のほうが上だ。
バランス的には少し高域寄りへシフトする。
高域が美しく音が伸びるので、弦楽器にはSSD2のほうが合うかもしれない。
壁コンにER-PSXを使うことで、ER-PSX:SSD2が7.3ぐらいの割合で融合し、SSDの弱点を上手く補えているように思う。
★タップのコンセントを交換してわかったこと
電源タップSBT-4SZに標準搭載されているコンセントがいまいち。
と考えていいだろう。
内蔵されているコンセント部分で音質が劣化しないまでも、タップの持つ性能を半減させてしまっていたようだ。
コンセントを交換してあげることでタップが本来持つ能力を引き出せたように思う。
SBT-4SZのインプレでは「音質の変化無し」と書いていたが、確かに標準搭載のコンセントの状態ではその通りだ(私の環境では)。
しかし、コンセントを交換してあげることでクオリティーがアップしたので、多少なりともタップによる効果があることは否定できない。
SBT-4SZを購入した人は是非ともコンセントを変えてみてほしい。
★総評
基本性能が高く、バランスのとれた落ち着いた音。
クリアーさや鮮烈さ、元気の良さなどを求める人にはむかないように思う。
落ち着きのある大人な音、味のある音を好む人向け。
1個4万円という高額設定でコストパフォーマンスは悪い。
コストパフォーマンスを考えるとオヤイデのR-1あたりが非常に優秀だと感じる。
SSD2も価格なりに満足できるクオリティーを持っている。
ER-PSXは半額ぐらいが妥当だろう。
ただし、この落ち着きのある音はER-PSXでしか出せない音なので、この手の音が好きな人は無理してでも買う価値があるのではないだろうか。
★SBT-4SZ
オーディオリプラスの電源タップSBT-4SZを購入。
「電源タップを経由することで音質が劣化するのを強く感じるようになり、電源タップのグレードアップの必要性を感じた」のが購入動機だ。
ノイズに関しては今まで不満を感じたことがなかったので、単純に「音質を劣化させずに電源タップを使えればいいや」程度に考えていた。
★仕様
さて、それではSBT-4SZの仕様と特徴を紹介しよう。
■材 質/航空機用特殊アルミ合金(48mm厚)
■成 形/削り出し
■仕 様/ウルトラSZ物性処理
■寸 法/150mm×190mm×48mm(W/H/D)
■コンセント/BRYANT ダブルクライオ
■内部配線/テフロン被覆高純度銀、コーティング銅、ダブルクライオ
■ハンダ/特殊合金ハンダ
■重量/2.8kg
■安全/電気用品安全法準拠
(1)タップ筐体→特殊アルミ合金製48mm厚無垢削り出し
(2)構造→アナログ系・デジタル系セパレーション構造筐体
(3)配線接続→バイワイヤー接続
(4)ノイズ対策→スーパーバリアートンネル構造
(5)振動対策・ノイズ対策向上→ウルトラSZ処理
(6)ホールド性・シールド効果→コンセントパワープレート構造
(7)ダブルクライオ→インレット・コンセント・内部配線
要約すると、しっかりした作りでノイズ対策されたタップってことだろう。
確かにズッシリと重みがあり作りはしっかりしている。
床からの振動で筐体が響きそうに思ったので、床に御影石ボードを置き、インシュレーターの上に電源タップを設置することにした。
★SBT-4SZインプレの前に
そもそも、電源タップ本体のみのインプレというのは不可能に近い。
電源タップは壁コン~電源タップ間の電源ケーブルと電源タップの筐体、内部配線やインレット、コンセントの複合アイテム。
それぞれの特色がついてしまうので、電源タップそのものの音への影響を判断するのは困難極まりないのだ。
そこで今回は複合アイテムとしての電源タップの音のインプレとする。
一般の電源ケーブルを使用できるタイプの電源タップを複数所有していれば電源タップそのものの比較も可能なのだが、このタイプの電源タップは初体験なので一個しかなく比較は無理、断念せざるえない。
m902までの電源経路「壁コン⇒Cloude Nine Full(Stealth)⇒SBT-4SZ⇒allegretto AC(以下"セット")」でのインプレという形になり、m902に壁コンから直でallegretto ACを繋いだ時(以下"直")と比較してみることにする。
そもそも、Cloude Nine Fullが間に入っている時点で比較対照としておかしなことになっているが、このように強引に比較対照を作るしか方法が無いので理解してほしい。
できるだけCloude Nine Fullの傾向を除いたタップによる影響の部分を頑張って探り出してみたいと思う。
★SBT-4SZインプレ殴り書き
まず最初に検証したのがノイズレベル。
はっきり言って私の耳では全く違いが分からなかった。
どちらが劣るとも勝るとも判断できず、変化が感じられない。
元々ノイズに関して不満を持ったことは今まで一度も無いので、電源タップを通すことでSN比が悪化せずに現状を維持できただけで満足するべきだろう。
次に音質の根本的な基本性能の検証をしてみた。
単純に音質が良くなったか劣化したかといったことだ。
Cloude Nine Fullや電源タップのコンセントによる変化を差し引いて、音質の劣化は感じ無い。
音質が良くなったこともない。
現状維持~若干の音質劣化といったところだろうか。
私の耳では音質レベルは現状維持といった印象を受けた。
次に検証してみたのはエネルギー感。
クリーン電源を投入することで力感でありエネルギー感が減少するという話をよく聞く。
はたして電源タップではどうなのだろうか。
毎度お馴染みで申し訳ないのだが、これまた変化が感じられなかった。
エネルギー感が減少したとは感じ無い。
勿論エネルギー感がUPしたとも感じ無い。
現状維持だ。
"セット"と"直"の音の違いについても書いておこう。
"セット"ではCloude Nine Fullを通しているため、横方向へ空間が広がり、響きが美しい。
しかし、"直"と比べると音ひとつひとつの実体感が薄れ、音の輪郭が曖昧になり優しくふんわりとした音になった。
"直"から"セット"にすることでCloude Nine Fullの特徴がそのまま付加されたと考えられる。
allegretto ACがちょっとCloude Nine Fullっぽくなった感じである。
個人的には"直"の音のほうがバランスが良くて理想だが、"セット"の空間表現力も魅力的。
"セット"で使用する場合はグっとくる力感をもう少し補助してあげたいところだ。
★結論
タップそのものによる音質的変化は少ないと私は思う。
ただし、壁コンを交換できない環境の場合や、SN比のそれほど高く無い機器を使用している場合は、電源タップによるノイズ除去の効果(勿論ノイズを除去できる構造を持つ電源タップに限る)が大きく現れると思われる。
その場合は率先して電源タップを導入するのも有りだろう。
しかし、既にノイズに関して不満が無いのならば、無理して高価な電源タップを使う必要はないだろう。
私のように、タップを通すことで音質の劣化を感じた時にグレードアップさせてあげる程度に考えておいてよさそうだ。
後日SBT-4SZの内蔵コンセントを交換することでタップ本来の性能を発揮させることに成功。
詳しくはこちらを参照。
コンセント交換が可能ならするべし!
憧れの電源ケーブルAllegro Power Cable(アレグロ)の弟分的ケーブルallegretto ACを購入した。
現在存在する電源ケーブルの中で最も素晴らしい!と評価する人が多々いるアレグロ。
いつかアレグロを使いこなせるような環境を整えてみたいものだが、今回はアレグロと比べて環境に優しい(柔軟に対応できる)と言われるアレグレットを購入。
Allegro Power Cable
「アレグロ電源ケーブルは、JVC XRCDプロデュ-サ-田口晃氏が、XRCDをはじめとするレコーディングと音質向上の為に、SCC社(LA,USA)のBrent Schoenfeld氏と共同開発・監修、常時、使用されている、受注生産でハンド・メイドの“リファレンス”電源ケーブルです。」
とのことだ。
簡単に言えば、受注生産でブレントさんがシコシコ手作りしているケーブル。
一日一本作るのが限界らしい。
製作者の2人がそれぞれ1週間自宅で音を聴き、納得のいったものだけを出荷するとか。
allegretto AC
アレグロはハイエンド機器でこそ能力を最大に引き出すことができる。
そのため、陳腐な環境にはアレグロを使ってもあまり意味をなさない。
私の環境はPCオーディオにm902という「お手軽セットなシステム」なので、アレグロはとてもじゃないが釣り合わないだろう。
そこで、比較的環境に優しく柔軟に対応する(らしい)アレグレットを購入した。
では、早速いつものようにm902に接続してみよう。
ケーブルのインプレの時は必ず壁コンから直で接続だ。
タップを通すとタップに使われているケーブルや内部配線材、コンセントの音色がついてしまい大きく音が変わってしまうからだ。
★allegretto AC インプレ殴り書き
強烈な個性を持つケーブルではない。
バランスの良い音を出すケーブルだなぁ、というのが最初の感想。
私が過去に経験してきた中ではベストのバランスの良さ。
「何かに特化している代償として何かを犠牲にしている」といったタイプのケーブルが多い中、アレグレットは全ての要素をバランス良くハイレベルで実現しており、特に欠点と言える欠点が見当たらない。
このケーブルを核(メイン)として使い、他のケーブルを組み合わせて伸ばしたい部分を補助する、といった使い方をしたくなる一品だと感じた。
バランスの良さと同レベルで評価したいのが生気に満ち溢れた音であること。
私の嫌う生気の無い無機質な音、モニターライクな音とは真逆の生命感溢れる生き生きした音である。
無機質さだの生気だのってのは音質を評価する対象とはちょっとずれた視点で、非常に感覚的なレベルでの話になるので当てにならない評価対象部分ではあるが、少なくとも私はアレグレットは「生」を感じるケーブルであると感じた。
バランスは良いが、あえて言うなら音場重視系のケーブルだろう。
空間表現力が非常に上手い。
音場系トップクラスのCloude Nine Full(Stealth)と比較しても遜色ないレベルだ。
左右方向の音場の広さは流石に負けるが、「劣っている」という感覚は無いと言ってもいいぐらい。
音の輪郭が明確なため、壁コンCryoMag-SSD2(PAD)の立体的な音場(特に前後方向、奥行き)をハッキリと感じることができる。
残響音、音の響きも非常に魅力的で、これもまたCloude Nine Fullと比較すると響きは控えめだが、過剰に響かせすぎない絶妙な響き具合とも言える。
驚くべきは音場系でありながら実体感があるエネルギッシュな音を出すことだろう。
これは凄い。
芯があり密度感のある、ドシっと腰の座ったグっとくる実体感のある音を出すのだ、音場系でありながら。
音場感と実体感をここまでハイレベルで両立しているケーブルは初めて体験する。
情報量はずば抜けて高いようには感じ無いが、Cloude Nine Fullより少し上レベル。
散漫とせず明確な音なので解像度は若干高めに感じる。
基本性能は価格なりといったところだろうか。
このケーブルは基本性能よりも、音作りの完成度の高さに注目すべきだ。
音の分離感、定位感は良いように感じる。
音ひとつひとつに実体感があり、ドシっと安定していることが分離感と定位感の良さを助長しているように思う。
重心を少し下げれる点も嬉しい。
スピード感はそこそこある。
EPIPHANY X2(Electra Glide Audio)のような過剰なハイスピードではなく、ノリが良く躍動感を感じれるレベルのスピード感だ。
スピード感はX-DC15SM [Studio Master](Harmonix)とほぼ同レベル程度。
最初に述べたとおり、とにかく「バランスがイイ」の一言に尽きる。
この一本だけで十分と思わせてくれるだけの音を聞かせてくれる。
Cloude Nine Fullは空間表現がずば抜けているものの、音が散漫とし実体感や空間の密度感、音の分離や定位感といった部分が苦手であるため、この弱点を他のケーブルを使って補ってあげないと厳しいものがある。
しかし、アレグレットは全ての要素がハイレベルで両立できており、補う必要性を感じない。
アレグレットをベースとし、好み次第で他のケーブルを使って伸ばしたい部分を更に伸ばせば良いだけなので、非常に使いやすいケーブルと言える。
Cloude Nine Fullの時は基本性能を削ってでも(上流により良いケーブルを使用するのが一般的、上流のケーブルの方が質が低いと下流のケーブルを活かしきることができなくなるため)タップを通すことで弱点を補強(音の実体感、エネルギー感を加え、それにより音の輪郭を明確にし、より立体的な音場を演出)していたが、アレグレットは普通に壁コンから直で使用したほうが良さを発揮できた。
タップに繋ぐとかなり音質が劣化してしまった。(タップをSBT-4SZにすることで解消)
もし、他のケーブルと併用するならば、音場感は現状維持、更なる密度感、実体感、エネルギー感、躍動感のUPを狙いたい。
いつか最上流にNBSのBLACK LABELあたりを使ってみたいものだ。
アレグレットは私の所有ケーブルの中では最も高価なケーブル。
しかし、それに見合うだけの魅力を十分持っているように思う。
個人的にはメタルやロックも十分聞けるような音になったのが嬉しい。
いつかアレグロを十分活かせるような環境を組んでみたいなぁ・・・
万人にオススメできる
幅広いジャンルに対応できるバランスの良いケーブル だ!
デジタルケーブル。
デジタル信号を伝送するケーブル。
過去に光ケーブルだけでも4種類試して確かに音は変わっていたので、「デジタルケーブルでも音が変わる」のは理解していたのだが、やはりどこかに「そんなに変わらないだろ」という思いが強く残っていた。
情報量ぐらいは変わるだろうとは思う。
これは光ケーブル同士の比較の時に感じたからだ。
情報量の差から「音の厚み」や「密度感」「細かな部分まで再現できる」といった部分も変わってくる。
しかし、音質、音の傾向までは流石に変わらないでしょ?
デジタル信号よ?デジタル。
とにかく、デジタルケーブルなんぞで音変わるかー!って考えが強かった。
そこで今回、光ケーブル、shima2372氏自作同軸デジタルケーブル、Muse-Cableを比較してみた。
先に書いておくが、光ケーブル同士で比較した時以上にハッキリと差が現れた。
驚く程にハッキリと・・・
shima2372氏自作同軸デジタルケーブル→光デジタルケーブル
光ケーブルに変えると、低域がクッキリハッキリと浮き出てきた。
分離感が上がったように感じる。
低域だけでなく、Voや各楽器の音も分離感が上がりそれぞれの音が混ざることなく聞き取りやすくなった。
逆に言えば、shima2372氏のケーブルは音がぼやけていて混ざり合っていると言える。
そして、光ケーブルでは残響音や音の広がりが減退した。
shima2372氏のケーブルでは響きや広がりを感じ、空気感であり空間表現力は上手い。
これはshima2372氏自作シリーズ全てに共通する特徴である。
そして若干中高域に艶っぽさが乗り、アナログ感があり温かみが乗る。
簡単に言えば光ケーブルは無機質、モニター的。
スピード感は光ケーブルの方が上、shima2372氏のケーブルでは若干もたつきを感じる。
Muse-Cable
中高域が艶やかで、響きは美しく気持ちよく音が広がる。
広がり、響きが素晴らしい、それでいて低域がぼやけず締まっており音の分離感も高い。
そして最も差を感じたのが情報量の差だろう。
他のケーブルではそれほど気にもしなかった音にエネルギーが加わり一気に主張しだしたのだ。
細かな音にまでエネルギーが宿り、量感が増えハッキリ聞き取れるようになった。
絃を弾く音や擦れる音までハッキリと聞き取れるようになったし、Voの息遣いも感じ取れるようになった。
そのためリアリティが格段にアップした。
スピード感は今回比べた中ではTOP、ハイスピードでノリが良い。
情報量の高さ、スピード感に優れ、基本性能の高さを維持しつつ音楽的な表現(空間表現、艶やかさ、温かみ、柔らかさなど)を高いレベルで付加したのがMuse-cableだ。
「ロックやメタルには合わないかな」とも思ったのだが、スピード感があり音の分離が良いので意外と合うように思う。
デジタルケーブル、RCAケーブルを全てMuse-Cableにしてしまうのも有りかも・・・という考えがよぎる。
他のハイエンドなケーブルを試してみたいなぁ。
多くのケーブルを比較しないと相対的に見てどの程度なのかがさっぱりわからんね。
久しぶりにヘヴィーメタルを聞きたくなったので、ついでにHD25、K1000、edition9のメタル適正を検証してみた。
環境は以下の通り
プレイヤー:PC
サウンドカード:96/8 PST
DAC & HPA:m902(電源ケーブル:Cloude Nine Full)
壁コン:SSD2
タップ:SWO-XXX入れたオリジナル
見ての通り、思いっきり音場重視のシステム。
これが私の好きな音で、メタルには全く合わない環境だろうw
この状況でどれだけメタルの良さを引き出せるか、といった実験的な部分もあるわけだ。
サンプル音源:Children Of Bodom - Follow The Reaper
★K1000
音場は広いとは言えず響きも適度だが、音の抜けが良い点はK1000らしい。
抜けが良いためスッキリしててスカっとした音。
そのため空間全体の密度感、濃さ、音の厚みは無い。
ギターの音のキレが抜群。
エッジが立っておりキレがよく、またスピード感があってギターが栄える。
スネアの音がタタタン!っとインパクト時の音が硬質的なまでに締まって聞こえる。
バランスはややハイ上がり。
低域の迫力に欠け、Voは前面には出てこず、ギターやキーボードの音が主役的な感じになる。
★edition9
ゾネホンのSロジってのは本当に曲者だ。
久しぶりにedition9を聞くのだが、このグルグル回りぐちゃぐちゃになった空間に慣れるのにしばらく時間がかかってしまう。
しばらく聞いて慣れてくると、空間が落ち着いてきて違和感が無くなるので問題無いと言えば問題ないのだが。
解像度の高さは流石で、これは全てにおいて言える。
スネアのスナッピーの響きまでしっかり表現してくるので、インパクト時の打音そのものよりもスナッピーの響く音のほうが強く出てくる。
低域が支配的だが、音の分離感が高いため各楽器の音は独立している。
低域が強いが、それと同じぐらい高域の主張も激しく、シンバル音などは刺激的だ。
バランスはフラット~ややドンシャリだろう。
そのためVoは前面には出てこず、K1000と同程度の位置。
音の締まりは感覚上ではK1000のほうが上に感じる。
これは質が違うのでそう感じるのだろう。
つまり、edition9は重く実体感がありつつ締まるのに対し、K1000は軽く鋭く締まる。
細い棒でタンッ!と叩くのがK1000、丸太でダンッ!と叩くのがedition9だ。
空間は広いとは言えず、響きも控えめ。
響きはK1000と同レベル、つまりedition9も余計な残響音や響きを付加していないのだろう。
k1000との違いはスカっと音が抜けていくかいかないか。
K1000が野外Live、edition9がホール内Liveといった具合だ。
★HD25(オーグラインver)
空間の広さ、響きが素晴らしい。
スネアの音が、タンッ!→スーーーっと広がっていくし、キーボードの音が空間上空を覆い全体を演出する。
ベースとなるのはガツンとくる直接的な聞かせ方なので、決して音場重視系の鳴りでは無い。
重くて密度感のある低域はある意味edition9を超える。
editioin9がグレープフルーツならHD25はスイカ。
単純に迫力があるのがHD25で、ドン!とくる低音だ。
重心の低いベースは地を這うようだが、edition9のように全体を支配するような強い個性はない。
おそらく、解像度がedition9と比べると低いため、全体に馴染む、散漫として溶け込んでいるせいだろう。
3機種の中では最もVoが前面に出てくる。
しっかりVoを楽しむことができ、全体のバランスが良い。
空間全体の密度感、音の濃さであり厚みがあり迫力満点。
ゼンハイザーの空間表現の上手さは評価すべきものがあるように思う。
真空管アンプ+HD25でも感じたのだが、HD25の環境の変化に鈍感な点は結構助かる。
要するに、あまり環境次第で劇的に音が変わらないのだ。
つまり、どんな環境にしてもHD25らしさってのがシッカリとガッチリと存在し、環境の変化でスパイス的に味付けするといった感じだ。
そのため、大きくバランスが崩れることがなく、非常に扱いやすいヘッドフォンと言える。
ただし、空間表現に関してだけは別。
広さだけでなく、空間の空気感の質までもが環境の変化に素直に答えてくれる。
これは音場感に関しては固定的なヘッドフォンが多い中、それらと比べた時の話である。
GRADOやULTRASONEの音場も勿論変化はするが、固定的であって大きく変化しない。
独特の音場感を持つメーカーは、ガチっと音場感を固定しているケースが多いのではなかろうか。
と想像してみたり。
★総評
現在の環境ではHD25が最もメタルを聞くのに適している。
K1000はメタルよりも明るく軽いロックなどに向いているだろう。
今回使用したサンプル音源はメロディックデスメタルのため、ダークな部分を引き出せないと辛いものがあるのでK1000には合わなかった。
私の愛機であるUSTヘッドフォンを販売しているオーディオインテル。
こんな商品も扱っている。
★Muse-Cable
「USTと併用することで、一層の臨場感とハイスピードな低域が楽しめる」とのことで、前々から気になっていたケーブルだ。
仕様や商品説明ついてはインテルにあるMuse-Cableのページを見てもらうとして、私は音の感想を書いていくことにする。
私の入手したMuse-Cableは信号RCAピン(Silver Bullet Plug)ケーブルの2メートル。
Muse-Cable・・・一言で言えば、
USTと同じような音になる!
★Muse-Cableインプレ
USTと同じような音ってのが的確すぎる表現で、USTコラムを見てもらえれば同時にそれがMuse-Cableの音だと言っていいと思う。
が、せっかくなので簡単に説明していこう。
まず、情報量の多さを感じ、細かな音までよく聞こえる。
そして空間表現の上手さ、癖の無い気持ちの良い空間だ。
どこまでも音が伸びていくのはUSTヘッドフォンの特徴そのもの。
各音がそれぞれ主張するようになり、各パートの音に新たな魅力を見出すことができる。
ハッキリ音を分離するのとは違った意味で、それぞれの音が個性を持ち独立する。
音の立ち上がりが早くスピード感有り。
リズム感が良くノリが良い。
なにより心地良い。
とろけるように音楽に身をゆだねることができる。
まるで音楽という名の海の中で漂っているかのような。
性能部分を追求したと言うよりは音楽性を追求したような音だが、この豊かな音楽性は高い性能があるからこそ出せているのだろう。
★USTヘッドフォンとの相性
相性も何も、USTヘッドフォンの特徴そのものを持っているMuse-Cable。
USTと合わないわけがない。
USTヘッドフォンを最もUSTらしく鳴らしてくれるケーブルだろう。
私は、DAC & プリメインアンプとして使っているm902と真空管ヘッドフォンアンプの間にMuse-Cableを使ってみた。
その結果、真空管HPAがUSTのような音を出す機器へと変化。
つまり、この真空管HPAにヘッドフォンを挿すと、使用するヘッドフォンにUSTらしさが付加されるわけだ。
USTの音が好きな人には間違いなくベストなケーブル。
更にMuseCableを使用した電源ケーブルMuse-Cable ACを併用すると素晴らしい相乗効果を得ることができるので、こちらも試してみてほしい。
型番:K1000
メーカー:AKG
タイプ:フルオープン
再生周波数帯域:30 - 25,000Hz
インピーダンス:120Ω
感度:74dB(1mW)
ケーブル長:2m(+3mSPケーブル付属)
プラグ:4P-XLRコネクター
質量:約270g(ケーブル含まず)
※生産完了モデル
K1000の標準がバランス接続であるため、このレビューがバランス接続でのレビューであることを初めに書いておきます。そのため、他のヘッドフォンレビューとは統一性がありません。同一環境を使用する場合には、アンバランス接続をしなければならず、その場合K1000の真価を発揮することができません。ですから、このレビューにあまりレビューとしての価値は無いでしょうし、K1000を一般的なヘッドフォンと同列でレビューするのは困難だとも言えます。そのあたりをご理解の上で読んで戴けたらと思います。
ハウジング、イヤーパッドが存在せず、耳に触れる部分が無くヘッドバンドとコメカミ部分を挟み込んで支える特殊な形状。私の場合通常の形状だと3時間ぐらいでコメカミに痛みが発生しました。アーム部分を強引に曲げて幅を多少広げることで装着感は改善されますが、ずれやすくなるという問題が発生します。蒸れないという点では完璧な構造ですが、コメカミに感じる痛さの度合いは個人差が激しそうです。
バランスはほぼフラット、多少ハイ上がり。見た目とは裏腹に整った音調です。ハウジングが無いため、良くも悪くも余計な響きが付加されず、ストレートにそのまま音が耳に届くので、スッキリとタイト、出ている音をそのまま聞けるヘッドフォンです。硬質的でもなく柔らかいというわけでもなくいたって平均的、味付けが無い「そのまま出された音」といった印象で、リアリティのある音を鳴らしてくれます。このリアリティさというのが重要で、Voや楽器での艶やかさ響きにおいてもイイ意味で味付けがなく自然に聞こますし、音のエッジが立っているわけでもなく丸いわけでもなく、こちらもまた自然に聞こえます。感覚上で物理的に空間が広いというのではなく、壁が無く開放的な音場で抜けの良さは秀逸。ヘッドフォンでありながらスピーカーのような、ヘッドフォンとスピーカーの中間のような音場感です。音の響きの質でもまた同じことが言え、過剰に響かせることはなく適度な響き具合です。音の立ち上がりの早さからくるであろう抜群のノリの良さも特徴として挙げられます(この音の立ち上がりの早さはアンバランス接続にすることでかなり減退してしまいます)。高域は量感はあるものの、刺激的とは言えずどちらかと言えば繊細な鳴りの部類に入ると思いますが、高域の中でもある特定の音域でキツさが出る部分がある点が気になります。ハウジングが無いので、低域は迫力、重さという面では物足りませんが、締まっていてキレがありレスポンスが良く、疾走感のある曲ではより疾走感を感じさせてくれます。SR325系の低音が好きな人には合う低域特性かと思います。Voは前面には出てこず一歩引いた位置。ハイ上がりなバランスが、低域、中域、高域の印象にそのまま反映されています。
音場の広さや定位感、高域の鋭さ、低域の量感、音圧や迫力などをユニットの角度を調整することで調整可能です。(左右開くようになっていて、全開にすると耳に対してほぼ垂直まで開く)自分の好みの音に合わせて角度を調整すると良さそうです。全開にした時は左の画像のような状態になります。全開の状態で聞くと、これこそ本当の意味で前方定位しますが、音が遠くなり低音の量感が激減してしまうので実用的ではありません。完全に閉じた状態、僅かに開いた状態で使う人がほとんどだと思われます。
欠点は音量のとりにくさ。 インピーダンス120Ωは問題ないのですが、74dBという能率の低さはヘッドフォンとしては異常です。それともう一つ、見た目から分かると思いますが、音が盛大に漏れます。漏れるというレベルじゃないです。周りに人がいる時の使用は注意。
合うジャンルはメタルの中でも特にスピード感のあるものは最適。音そのものは強い個性が無いので、メタル以外にもハードロック、ロック、ジャズ、ポップスなど対応範囲は広いでしょう。特に疾走感やノリを必要とする曲には合うように思います。そして打ち込みよりも生楽器の方が断然合います。音場感が優れているのでクラシックも良いのですが、迫力という面から見ると物足りなさを感じます。これはロック等でも言えることで、低域が出ず重厚感が無いので、ダークな雰囲気や迫力を必要とする楽曲には向いていないように思います。明るめでスカっとカラっとした曲に最適です。
個人的にはこの開放的な音場感を感じられるというだけで感動モノのヘッドフォンです。そしてこの開放感がK1000最大の売りでしょう。低域の量感と質はジャンル、曲によっては不満を感じるモノも多々ありますが、私の場合特別気になるほど不満ではありませんでした。濃密な音でどっぷり音楽に浸ると言うよりは、昼間にカラっと開放的に音楽を楽しむ、といった時に使いたくなるヘッドフォン。装着感の問題があるのでメインで使うのは躊躇しますが、音質のみで見れば素晴らしい機種です。
★19AQ5単管・ステレオヘッドフォンアンプ(春日無線変圧器)
画像を見ての通り、通常版とは見た目と中身が違う。
何が違うとは細かく説明しないが、改造してあるので通常版とは少し音が違うということを最初に補足しておく。
※以下の感想は全てm902との比較になっていることに注意
★19AQ5
慣れ親しんだm902と比較して、まず一聴して解像度の低さ、音の分離の低さ、情報量の低下といった所謂基本性能と言われる部分の低下を感じた。
しかし、これらの点に関しては音を聞く前から予想していたのと、思っていたより遥かにクリアーで綺麗な音が出てるなと逆に驚いたものだ。
というよりも、私はいわゆるモニター的な音とは対極のアナログ的な音を真空管アンプに期待していたので、「期待通り!」の音だと言えるだろう。
各音をそれぞれビシっと分離せず音が繋がり全体で聞かせる感覚は、全体で見たときの音の厚みや密度感が増し、解像度の低さから粗が見えるが、この粗が空気感を感じやすく音の温かみを感じさせてくれる。
この鳴り方から、音楽の世界にどっぷりと浸ることができるヘッドフォンアンプだと私は感じた。
情報量の低下も関与しているとは思うのだが、微細な表現、ニュアンスまで明確に描き出すことができなくなってしまい、リアリティ、実体感といった部分の減少は否めない。
バランス的にはほぼフラット~中高域寄り。
高域は鋭く刺さる高域ではなく、角が取れて刺激の無い聞きやすい音。
かなりキツめのソースでも心地良く聞かせてくれる。
ノイズは皆無。
真空管なのでノイズは付き物かと思っていたのだが、ノイズを感じることは今のところ全く無し。
SN比はかなり優秀なようだ。
m902と比較しても同等レベル(差を感じ無い)。
一番気に入ったのが、音像がぼやけたこと(イイ意味で)。
一見悪いことのように思われるが、これによって音がピンポイントではなく広範囲で出てくるようになった。
一番分かりやすい例だとVo。簡単に、極端に言えば小口ではなく大口。
空間全体にVoの声が響き満ちる感覚を存分に引き出してくれる。
ただし、空間の広さを感じにくくなってしまうのが欠点だろう。
m902では各音がハッキリと分離し、それぞれの楽器の位置があり、その距離感がしっかり把握できるので、空間の広さをイメージしやすい。
対して真空管アンプは分離感が弱く、音が繋がり全体で鳴らすので、距離感を感じにくい。
当然どちらが良いとは言えない。
それぞれに利点があるように私は思う。
私的には真空管の鳴り方こそ理想だったりする。
★WE408A
この真空管HPAには408Aという球も使うことができる。
バランスは中高域寄り。
どっしり、ぐっとくる低音が出ないので、全体的にアッサリした印象で、スッキリしてて外見上の解像度は高く感じる。
その代償と言ってはなんだが、中高域の美しさは圧倒的。
高域は繊細で可憐、響きを楽しむことができる。
Voの魅力を非常に引き出してくれる球である。
★19AQ5と408A
個人的には19AQ5のほうが好み、私の中にあった「真空管の音」のイメージにビシっとはまった。
408Aは低域が出ないのが最大の弱点、中高域の美しさは抜群なのだが・・・
私の好みからすると、総合力で19AQ5、中高域の美しさに限定するなら408Aといった感じだろうか。
どちらも良さがあるのでジャンルや気分によって使い分けができそうだ。
★電源ケーブル
私の真空管HPAは3Pインレットに変更してあるので、電源ケーブルを付け替えることが可能。
電源ケーブルによって音が変わることを痛感しているので、これだけは絶対に必要だと思ったのだ。
結論だけ言うが、電源ケーブル次第で低域の弱さは改善可能。
情報量や解像度といった基本性能部分も向上させることができる。
物足りないと感じる部分を補えるような特性を持つ電源ケーブルを合わせるといいだろう。
現在のシステムでは、m902のヘッドフォン出力を完全に上回った(より私好みの)音を真空管HPAから出せている。
★真空管+ヘッドフォン
真空管アンプで鳴らすとイイかも!?と思っていた機種がいくつかある。
GRADO RS-1 : 艶やかな音を出すRS-1、良さを更に伸ばせそう?
ULTRASONE edition9 : 高域の刺激を上手く和らげられるか?
EXH-313ver2.0 : メイン機種USTヘッドフォンはどう生まれ変わる?
SENNHEISER HD25 : 番外編
それぞれ簡単にコメントしていこう。
(☆はヘッドフォンと真空管の相性、最高☆5個)
■GRADO RS-1 + 19AQ5 ☆☆☆☆☆
音に厚みが出て重厚になった。
どこか音がスカスカしたイメージのあったRS-1の弱点を上手く補完できたと言えそうだ。
RS-1のイイ部分が上手いこと伸びており、悪くなったと感じる要素は無し。
元々音場感を得意とする機種ではないので、真空管の鳴り方が上手くはまったように思う。
RS-1の売りであるVoは前に出てきて更に魅力的になった。
こいつはかなりイイぞ。
■GRADO RS-1 + 408A ☆☆☆☆☆☆
19AQ5と同様、これもまた合う。
中高域寄りな408AがRS-1の艶やかな音を更に艶やかにしてくれる。
バイオリンの音などは涎が出そうだ。
これは・・・満点以上の☆6個つけよう。
RS-1は真空管で聞くべし!
■ULTRASONE edition9 + 19AQ5 ☆
モニター的でHiFiな傾向のあるedition9に真空管のアナログ感は合わないようだ。
edition9の良さである高解像度、音の分離感、情報量といった部分が減ってしまい、edition9の売りと言える部分を減退させてしまっている。
んまぁ、これはこれで良い音ではあるのだが、edition9らしいとは言えない。
何に繋いでも性能の高さを感じさせてくれるのは流石だが、全然真価を発揮できていないので相性は悪いと判断。
■ULTRASONE edition9 + 408A ☆
確かに、素晴らしい音ではある。
が、edition9でこの音はどうなんだろう?
やっぱり、バキバキに高解像度、締まり、メリハリある音にシステム組んだほうがedition9らしくて良いと個人的には思う。
■EXH-313ver2.0 + 19AQ5 ☆☆☆
USTと真空管がこれほど合うとは・・・
USTが元々持つ心地良さをグンとUPさせることに成功。
真空管の全体で鳴らす感覚により音が空間に満ち、音に包まれる感が倍増。
音楽の世界にどっぷりと浸ることができる。
より心地良く!より聞きやすく!
最強のヒーリングカップルの誕生である。
ただし、空間表現力が落ちるのが欠点なので☆は3個。
■EXH-313ver2.0 + 408A ☆☆☆☆
USTは元々Voを得意としているが、この組み合わせはもう・・・
なんと表現したらいいのかわからない程に美音。
中高域の美しさは圧倒的なまでにm902を上回る。
我が家では女性Voモノを最も魅力的に聞かせてくれる組み合わせ。
空間表現は19AQ5より上のため☆4個。
■SENNHEISER HD25 + 408A ☆☆☆☆☆
これは予定になかったのだが、たまたまHD25を使ってみたら予想外に良かったので番外編として載せておく。
HD25の音のイメージからして、真空管には合わないだろ!
と決め付けていたのだが、意外や意外これが合う。
特に408Aとの相性は素晴らしく、お互いが上手く弱点を補完し合っている。
低域の量感があるHD25と中高域の量感の多い408Aが合わさることで、なんとも絶妙なバランスになり、HD25らしさを維持しつつも真空管の魅力が上手く上乗せされている。
相変わらずロックには合うし、打ち込みやポップスなどへの適正度がアップしたように感じる。
★まとめ
真空管アンプでありながらノイズが無い点は非常に魅力があるのではないだろうか。
また、分析的には説明しにくいのだが、感覚的に「聞いてて心地良い」、「体が求めてしまう音」が19AQ5の音である。
真空管ヘッドフォンアンプ用にと思い購入した電源ケーブル。
HarmonixのX-DC15SM(Studio Master)。
現在は定価7.5万円ぐらいだが、私のは旧verで定価6万円だった頃のもの。
違いはIECインレットで、現行品がFURUTECH FI-25で、旧verがFURUTECH FI-15Gとなっている。
プラグは両方ともWATTaGATE 330である。
いつものようにm902に接続し、まずは音の傾向を確認。
★Cloude Nine Fullと比較
Cloude Nine FullからX-DC15SMに変えて、「左右方向への音場の広さが激減」、「基本性能の若干の低下」「音が前面に出てくる」「低域強い」といった点を感じた。
まずCloude Nine Fullで左右に広がっていた音場が消滅、とは言え自然な音場感は出せており狭いということは全く無い。
解像度、SN比は多少下がったように感じる。
Cloude Nine Fullと比較すると情報量はほぼ互角だろうか、EPIPHANY X2の土豪の情報量を知っているだけに物足りなく感じるが、EPIPHANY X2の情報量の多さが異常すぎるという思いが強い。
Voがグっと前へ張り出してきてVoの実体感が増加。
同時に楽器の音もそれぞれ実体感が増加した。
前面に出てきたと言うよりも、各音へ意識させられるようになったように感じる。
音の質量が増加した、音の密度感が増加したとも言えそうだ。
低域がグっと重くなったように感じる。
量感も増しているが、それより重さを感じる点を強調しておく。
個人的にはかなり低域出すぎ感がある。
が、コレは狙い通り。
元々m902で使う気はサラサラ無く、低域不足感のある真空管ヘッドフォンアンプで使うつもりで購入したケーブル。
予想通り低域が出ていてイイ具合だ。
音の響きはこのケーブルも上手く出せている。
響き、残響音に関しては満足できるレベル。
Cloude Nine Fullと比較すると落ちる。
スピード感が売りのケーブルでもあるようだが、Cloude Nine Fullと同等レベル。
逆に少し落ちるかもしれないが微々たる差だろう。
EPIPHANY X2のような圧倒的なスピード感には程遠い。
重くグっとくる低域と、実体感のある音が特徴で、全体的にそこそこバランスのとれたケーブル。
ただし、低域の個性はかなり強いと思われ、単品での導入はオススメしない。
実際、私はm902に使おうとは思わない。
値段を考えるとかなり健闘しているのではないだろうか。
倍額のCloude Nine Fullと比較しても大きな差があるようには思わない。
コストパフォーマンスは良さそうだ。
★真空管ヘッドフォンアンプへ接続
m902をプリメインアンプとして使い、m902→真空管ヘッドフォンアンプで音を出してみよう。
m902:Cloude Nine Full
真空管HPA:X-DC15SM
意外なことに、この組み合わせで使うとスピード感を引き出すことに成功。
躍動感のある音になった。
X-DC15SMを挿しているものの、m902を通しているので音場の左右への広がりは維持できている。
X-DC15SMで不満だった部分を上手く緩和できているように思う。
低域は出すぎることなく丁度良い塩梅。
空間表現を維持しつつ音の実体感が増加。
正直、m902にヘッドフォン挿して聞くよりイイです!
バランスのとれた音になったのではないだろうか。
個人的には満足度の高い音が真空管ヘッドフォンアンプからも出るようになった。
それにしても、様々なオーディオアクセサリーを組み合わせ、トータルバランスで音を作っていくのは面白い。
時間と金をガッツリ消費するが、こうやって自分好みの音を追求していくのがオーディオの楽しさだよなぁ。
ヘッドホン、イヤホン、アンプ、ヘッドホンケーブル大放出!ヘッドホンを売るのはコレが最後になりそうです。興味のある機種などありましたらお気軽にご連絡ください。よろしくです。
AKG
K3003
K1000
K701
K501
K340
K290 Soround
K240 Sextett 二代目
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MS-1
AUDEZ'E
LCD-3
Audio-Technica
ATH-W5000
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HD25-13 Ⅱ
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