★生カイザー来訪
2009年6月15日、まみそ邸へカイザーサウンド代表、生カイザーこと貝崎氏が訪れました。
ヘッドフォンによるオーディオ再生への興味、そしてヘッドフォン再生の経験をスキルとして根付かせたいというのが主な理由のようです。
一方私はといえば、単純に「生カイザーに会える」というそれだけの理由で楽しみにしており、まさかこの日が私の音楽観に衝撃を与える日になろうとは微塵も思っていませんでした。
時は朝10時、貝崎氏ご来訪であります。
第一印象、やたら血色の良いエネルギッシュなおじいちゃん、です。
活力に満ち溢れ、今が絶頂期と言わんばかりに輝いて見えました。
★試聴
まずは貝崎氏がまみそシステムで試聴。
そして第一声は、
「これダイナミック型ですよね?」
そうなんです。
私のシステムはまるでコンデンサー型のようにサラサラとしており優しく全く痛さのない、いくら音量を上げてもうるさくならないような音。
そしてそれは現状での不満な点でもあったのです。
私は不満点を貝崎氏に伝えました。
「音に重さ、粘り、有機感、生々しい活きた音を付加したい」
allegretto ACを廃したことにより無くなってしまった有機的で生々しい生命感。
それを再び付け加えたい、それが私の希望でした。
なぜallegretto ACを外したのかと言われると、『「音楽」よりも「音」を選択した』と言うしかありません。
つまり、私は音楽性よりも性能を重視してしまったのです。
今考えれば馬鹿な選択をしたものです。
★驚くべき調整技術、神業を見た!
この私の希望を叶えるべく調整がスタートしました。
まずはインシュレーターの方向性合わせ。
このインシュレーターの方向性合わせに関してはローゼンクランツのWebでも紹介されていますが、貝崎氏による調整は次元が違います。
同じ種類のインシュレーターでも違いがあり、遅いものから速いものへ、加速度がつくように適切なインシュレーターを適切な場所に設置する必要があるのです。
私のしていたセッティングでは、最も遅いものが前面へきており、最も速いものが左奥へ置いてあったため、加速度の面で見ると最悪な状態でした。
この二つのインシュレーターを入れ替えることにより、音が左奥から右奥へ、そして前面へと綺麗に流れ、音質的には音抜けの良い開放的な音となりました。
更に、使用しているアピトンボードにも方向性があるようで、私のセッティングは裏表逆、前後も逆とこれまた最悪な状態でした。
このボードを正常に設置してあげると、音がますます抜けよく綺麗に流れ、活き活きとしてくるのです。
しかし、正直言いますとこの時はまだ「プラシーボなんじゃないか」と疑う心があったことは否定しません。
ちなみに、この物質の方向性というのは見てわかるものではなく感じて判断するようです。
なので私達のような素人には全くもって方向性を知ることはできません。
よく言えば神業、悪く言えばオカルトとなるのでしょう。
私は最終的に「貝崎氏の調整技術は神業である!」と素直にそう思いました。
★ローゼンクランツに染まるまみそシステム
さて、ここからはローゼンクランツのアクセサリー大投入となります。
順を追って説明していきましょう。
・タップ
開発中の新型タップとのこと。
タップのみ変更、他は変更なし。
正直言いまして、タップのみを換えた時は「音が広がらず閉鎖的で狭苦しい音」になってしまい、レンジも狭く解像度も落ち、確実にクオリティーが落ちたと感じました。
実際私は貝崎氏本人にもこのような正直な感想を伝えました。
ひとつ良くなったと言えば、僅かに音が生っぽくなったような気がしないでもないことでしょうか。
しかし、あまりに悪化した面が多すぎ、とても良くなったとは言えないのが実情です。
・アンプの電源ケーブル
今回試させて戴いたケーブルやタップは全て開発中の新製品とのことでした。
これからはインシュレーターだけでなく、ケーブルの世界でも王者の地位を築いていくことになるのでしょうか。
ケーブルの世界はライバルが多いだけに厳しいとは思いますが、これから続々と発表されるであろうケーブル類に期待せずにはいられません。
さて、話を戻します。
アンプの電源ケーブルを換えたところ、先ほど感じた音が広がらないという欠点は解消されたように思います。
しかし、やはり音場感は狭く、音が凝縮されたような感覚が消えません。
クオリティー的にもまだまだで、この時は「インシュレーターは凄いけどケーブルはこんなもんなのかなぁ」と内心思っていました。
・DACの電源ケーブル
このあたりからマイナスイメージからプラスイメージへと反転してきます。
音の生々しさが強く、凝縮されたような感じもなくなり、綺麗に音が配置され、細かな音もよく聞こえ、奏者の感情を感じられるようになり、美しい音から重い音、様々な音を見事に再現するようになってきたのです。
・インコネ
ローゼンクランツの音がまた一歩洗練されたイメージを持ちました。
ローゼンクランツのケーブルは全て同じ音で全く方向性にブレがありません。
増やせば増やすほどに同一方向性のまま完成度が高まるのです。
・PCトランスポートの電源ケーブル
これが決定打でした。
トランスポートの電源ケーブルを換えた時に全てのピースがピタッ!っと組み合わさったように感じました。
一番の変化は音の抑揚、英語のアクセントをイメージするとわかりやすいと思うのですが、その音の出だしのアクセントがグッ!っとくるようになったのです。
同時に音の流れ、リズム感、特に低域の躍動感は素晴らしかったです。
★ローゼンクランツに染まったまみそシステム
実はまみそシステムの一番のウィークポイントであるデジタルケーブル。
ここもローゼンクランツ製のデジタルケーブルに換える予定でした。
しかし、AES16は24pという特殊コネクタのため残念ながら使用できませんでした。
貝崎氏も「ここで必殺デジタルケーブル!」といった雰囲気で取り出していただけに、使えなかったのは非常に残念でした。
その代わりトランスポートのインシュレーターの方向性を合わせてくれました。
ステンレスインシュレーターでローゼンクランツとは全然関係のないものですが、これもまた方向性があるようです。
またまた裏表逆、方向性もバラバラという状態で、加えてトランスポートに使用していたボードも裏表前後逆でした。
どこまで逆なんだ・・・・
さて、それらを修正すると、見違えるように音がクリアーに、音楽性だけでなく音質の面でもハイエンドケーブルに引けをとらないレベルにまで到達したのです。
途中から音楽性の高さはこれ以上はあり得ないレベルにまで達していました。
ただ、ひとつ気になっていたのが単純な音質レベル、言い換えれば基本性能。
この点に関しても、ほぼ全てをローゼンクランツケーブルで揃えたときには高いレベルまで引き上げられることを証明してくれました。
奏者の感情、ニュアンスを手に取るように感じられる音、それが今ここに実現したのです。
★原点を思い出せ
「奏者の感情、ニュアンスを手に取るように感じられる音」
このフレーズ、そうです、私の原点、USTヘッドフォンではありませんか。
性能にとらわれず、奏者の感情をダイレクトに感じられ、そしてリズム感を最重視したUSTサウンドはカイザーサウンドと同じなのです。
私はこの音に惚れ、この音こそ自分の理想の音だと信じ、この音を目指して環境を追い込んできたはずでした。
しかし、更に上を目指すという目的は「更に高性能にする」という大きな思い違いを生み出し、大事な「音楽」を鳴らすことを忘れて、進むべき方向を間違えていたように思います。
★オーディオとは「音」を再生するに在らず「音楽」を再生するものなり
貝崎氏との出会いによって、私はこの指標を改めて胸に刻み込んだのでした。
音楽とは聞いた瞬間に直感的に、そして感覚的に「良い音だ」と思える音を作ることが大事であり、高解像度だとかレンジが広いだとか、柔らかい音だとかクリアーな音だとか、そんな細かな要素を見て作っていくものではありません。
勿論基本性能は大事ですが、まず第一にあるべきは「心地良いと思える音」であることであり、それを見失わずに環境整備をしていけば、自然と性能はついてくるものなのです。
★最後に
カイザーサウンドの実体験だけでなく、貝崎氏のオーディオ理論やオーディオ体験のお話しから感じられるオーディオ観は、私の目指す音であり進むべき道を確固たるものとし、今後ブレなく音を追求していける自信を持たせてくれました。
カイザーサウンド、それは個性を持たず、あるがままの音をあるがままに出せるニュートラルな音。
激しい音は激しく、優しい音は優しく、綺麗な音は綺麗に、汚い音は汚く、重い音は重く、軽い音は軽く、硬い音は硬く、柔らかい音は柔らかく。
そのように、全てに柔軟に対応できるのがカイザーサウンドだと私は感じました。
オカルトチックで手を出しにくい人も多いかと思われるローゼンクランツですが、完成されたカイザーサウンドには神秘的な理論も納得してしまうだけの説得力があります。
私の場合、理論がどうであれ出音が良ければ全て良しなのであまり気にしませんが。
そんなこんなでお互い仕事の都合で解散は3時、あっという間の5時間でした。
このような出会いをこれからも大事にしていきたいと思っています。
★おまけ~ケーブルの特殊な傾向~
一般的なケーブルというのは個性を持っており、例えば濃い音のケーブルであれば、そのケーブルを増やせば増やすほど音が濃くなる傾向があります。
逆にクリアーでアッサリした傾向のあるケーブルであれば、そのケーブルを増やせば増やすほどクリアーでサラサラした音となります。
このケーブルごとの個性を把握し、それぞれを組み合わせて自分好みの音にバランスよく調整するのが通常のオーディオだと思われます。
ほぼ全ての人がこのような調整をしているはずです。
しかし、ローゼンクランツに限ってこの常識が通用しません。
ローゼンクランツのケーブルは全て同じ音の方向性を持っており、その方向性はニュートラルなのです。
そのため、いくらローゼンクランツのケーブルを増やしても味付けが強くなることが一切なく、よりニュートラルなサウンドとなっていきます。
こんなケーブルは他には無いでしょう。
少なくとも私は他に体験したことがありません。
ローゼンクランツのケーブルは一本だけ入れてもあまり効果を発揮してくれません。
むしろシステム全体のバランスを崩して悪化するでしょう。
今回の「ローゼンクランツに染まるまみそシステム」のレポートを見てもらうとわかるとおり、最初はバランスが崩れて悪化したと感じました。
しかし、システムの半分をローゼンクランツで支配したあたりから好転してきます。
そこからは増やせば増やすほどに活きた音となっていきます。
音色面での変化がないためわかりやすい大きな変化はありませんが、音が流れるようになり活きてくるのです。
これはインシュレーターでも同様のことが言え、増やせば増やすほど筋が通り流れが生まれます。
ローゼンクランツ製品を多く使用している人は「音の流れ」の大事さを痛いほどわかっていることでしょう。
一本では効果が無い、逆に悪化する、そんなケーブルなのですぐに手放してしまう人も少なくないのかもしれません。
まずは安価な入門モデルからでもいいので、全てをローゼンクランツで統一すること。
ローゼンクランツの音が好きなのであればこれが最良の選択だと思います。
一般的な「○○な要素を付加させたいからこのケーブルを入れる」という概念が全く通用しないため、なかなか認知されず悲しい製品のようにも感じました。
興味のある人は一度カイザーサウンドの試聴室に行くなどして、カイザーサウンドの真髄を味わってみてください。
捜し求めていた「音楽」がそこにあるかもしれません。
本当に有意義だったようで、その後の行動に現れていますね、驚きました。
今までやってきた事がここに繋がっていて、またその先が見えてきたのであれば、遠回りも含めて意味があったんじゃないかと思います。
あと本当はまみそさんだけでなくお互いに刺激的だったんじゃないかと勝手に想像してます。
ローゼンクランツの音が好みであれば、これほどセッティングが楽なものはありません。
全てローゼンクランツで揃えればいいのですw
通常組み合わせで音を作りますが、ローゼンクランツはその方法論が当てはまらず、ローゼンクランツの製品を増やせば増やすほど完成度が増すので、やるべきことがハッキリしててわかりやすいです。
完成形は見えているのであとは楽そうです。
結構ススメられる事もあるのですけどね。
ローゼンクランツに感動を覚えたなら、浮気せずにその道を進むのが正解だと思います。
新しい感動に出会うまでは。
私の場合それがGOLDMUNDであった訳です。
浮気すると殆どの場合後悔します(笑)
少し良いとか、変わったとか、そういうのはすぐに飽きますし、もっと良いものがあるのではと絶対思っちゃいますからね。
因みに、ボードはまみそさんの影響でアピトン9cm厚のものを、CDP(PB-CORE)、DAC(PB-JRⅡ)、HPA(PB-BOSS)にそれぞれ使用しています。
※()内はインシュレーターです。
まず、ボードの方向性ですが以下のような変化がありました。
・前後方向
逆向き→定位が奥へと流れる。実体観が薄れる。
正向き→定位が明確になる。音が前に出てくる。
・表裏方向
逆向き→弾むような低域。
正向き→沈み込むような低域。低域の解像度の向上
次にインシュレーターの加速度について
逆順→音がこもり、音同士が重なりあい聴覚上の解像度が低下する。
正順→音の流れが良くなり、高音から低音まで綺麗に音が抜けるようになる。
以上のような違いを感じました。あくまで、私見ですのでご参考までに…
それにしても、カイザーは一聴してこの調整をされたのでしょうか?
因みに私は合わせて4時間近くかかりましたが…
自力で調整するとは・・・驚きました。
凄い感性ですね!
私は面倒に感じてしまうので、なかなかそこまで自力ではできないです。
インシュレーターの組み合わせは不思議ですが、音の抜けっぷりが変わりますよね。
そしてボードの裏表、前後、こちらは本当に感覚的なもので、そんなにわかるような違いはなかったと思います。
そこを的確に聞き分ける聴力に感服です。
貝崎氏は見ただけで方向性がわかります。
もう・・・私から見たら超能力ですねw
金属の方向性、木の方向性、全ての素材の方向性を見るだけで感じ取りわかるようです。
これは信じる信じないは別として、結果的に出てくる音を聞けば、確かに違うような気がします。
正直、私は「音の抜け、流れ」の点ぐらいでしか違いを判断することができませんでした。
この体験をしたときは半信半疑でしたが、ヘッドホンのモディファイなどでも方向性管理の効果を実感してるので、今は素材には方向性があるんだろうなぁ、と思います。
不思議ですよね、ほんと。
恐らく、この調整はRozenkranz製品と木製のオーディオボードの組み合わせだから、分かりやすいのだと思います。特にインシュの場合はAマークがついてますから、余計に調整しやすいと思います。他社の製品では前後方向すら分かりませんから…
>貝崎氏は見ただけで方向性がわかります。
やはり、そうでしたか…
このあたりが、Rosenkranzがオカルトだと言われる要因だと思いますが、私は今回の事で、カイザーは、超能力者というより超一流の職人ではないかと感じました。
伝統工芸や伝統芸能などその道を極めた方というのは往往にして、凡人には信じがたい能力や技術を持っているものです。
Rosenkranzは今年で創業30年を迎えるそうですが、カイザーは起業以前よりオーディオに携わっておられるでしょうし、その年数の中で様々な経験や数々の開発をされた中で、そのような能力が身についても不思議ではないと思います。
Rosenkranzの製品は、カイザーの数々の経験や感性に裏打ちされた一つの作品である、というのが今回感じた事でした。
しかし、Rosenkranzは「カイザーゲージ」などネーミングで損をしているような気がしてなりません…
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