型番:MDR-EX1000
メーカー:SONY
タイプ:密閉ダイナミック型
再生周波数帯域:3 - 30,000Hz
インピーダンス:32Ω
感度:108dB
質量:8g(コード別)
ケーブル長:1.2m/0.6m 7N-OFCリッツ線(両出し)
プラグ1:金メッキL型ステレオミニプラグ(1.2m コード)
プラグ2:金メッキステレオミニプラグ(0.6m コード)
その他:ケーブル着脱式
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付属のイヤーピースにフィットするサイズがあれば装着感は問題なさそうです。ジワジワ抜けてくる場合はコンプライに付け替えることで安定した装着感を得られます。ケーブルはしなやかで、絡みにくいので煩わしさを感じることがなくgood。遮音性はいまいちで外の音が普通に聞こえます。外の音が聞こえて安全と考える人にとっては良いものの、音楽に没頭したい人にとっては致命的な欠点となる恐れがあります。ケーブルが着脱式で、もしもの断線に対応できる点は安心感がありますね。
量感バランスはフラット~やや低域寄り。基本性能は十分に高く、特に低域の解像度の高さはハイレベル。細部の音を明確に表現できる解像度の高さには素直に驚きを感じます。容易に個々の音に意識が行き届くだけの分離感がありつつも、音が分離しすぎることがなく全体の一体感、統一感を併せ持つ絶妙なバランス感覚を持っています。そして何よりも推したいのが、個人的にMDR-EX1000の最大の強みだと感じている低域のクオリティです。MDR-EX1000の低域の解像度と分離感の高さ、多彩な表現力は素晴らしく、タイトな打音から更に低いベース音までを見事に描き分け、量ではなく質で勝負できる最高峰の低域を実現できています。もしヘッドホンでこのレベルの低域の分離感を持った機種を探すとなると、そうそう見つかるものではありません。耳とドライバーユニットとの距離が短く、音をダイレクトに聞くことができるイヤホンの強みを上手く活かしたお手本のような低域ではないでしょうか。具体的には、濃くグゥっと沈み込み、重さや密度感を感じられる低域で、豊かさとタイトさが上手く噛み合っています。唯一気になるのは、低音をより低音らしく感じさせるような強調感、別の言い方をすれば人工的な癖を多少感じること。とは言っても、無駄に響きを乗せることなく重く分厚く質量感があり、それでいながら息が詰まるような重苦しさを感じさせないMDR-EX1000の低域は、癖があるという点を差し引いても個人的には最大限の評価をしたい部分です。中域~高域にかけては、派手さが無く統一感、連帯感を大事にした堅実な音作りで安定感のあるものです。高域方向へはしっかりと音が伸びますが、際限なくノビノビと音が伸びていくのではなく、許容範囲内でコントロールして鳴らしている印象を受けます。線が細かったり、音の輪郭が鋭利なわけでもなく、線が太く筋肉質であったり、音が柔らかいこともなく、力強いというわけでもなく繊細というわけでもなく、これといった特徴の無い音をしています。これは言い換えるならば、癖の少ない日常生活に溶け込むような自然な音と言えるのかもしれません。そして、もしMDR-EX1000の中~高音を表現する時にひとつだけ言葉を選ぶなら、「正確な音」というのが最もイメージに合致します。この「正確な音」は全体的な印象としても言えることです。
音の方向性は、「優等生」という言葉が的確にMDR-EX1000のキャラクターを表しているように思います。良くも悪くもソニーらしい音作りで、低域を除けば色付けは皆無に等しく、モニター的と言える音をしています。柔らかさ、派手さ、煌びやかさ、熱気や色気などを演出するわけではありませんし、かといって冷徹、寒色系、硬質と言うわけでもありません。実に中庸、ソースに忠実に音を出します。低域から高域までを、自分のコントロールできる範囲内で制御する堅実さ。決して暴れずぶれず、どっしりと腰を下ろし、安定感のある分厚いサウンド。暴れずミスをせず丁寧かつ正確に、日本人気質な精巧なサウンド。何か一つ得意科目があるタイプではなく、全ての科目で確実に高得点を叩き出し、掌の上で音を自在に転がす「優等生」、それがMDR-EX1000の正体です。原音忠実性という部分を重視する人にとっては、かなりポイントの高いイヤホンになり得ると思います。
あえて欠点をあげるならば、キャラクターが薄いだけに面白さがないことでしょうか。突出した特長がないため、音色での求心力、鳴り方での求心力が弱いように思います。無表情、無機質、淡白な音だと言えなくもない点は否定できず、実際ボーカルモノのように感情表現が鍵となる楽曲は苦手な部類だと私は感じます。しかし、この特性は欠点でもあり利点でもあると私は考えます。なぜなら、独自の色が薄いからこそ環境側の音が乗りやすいからです。下記で再度述べますが、このMDR-EX1000の無個性路線は考え方によっては強みとなるのです。ただひとつ、音の流れ、それによるノリの良さはお世辞にも「素晴らしい!」とは言えないイヤホンです。この部分は環境側で調整が効きにくい部分であって、イヤホンに大きく依存する部分です。MDR-EX1000は所謂「前ノリ」に関してはやや良い部類に入るように思いますが、対して「縦ノリ」に関しては弱い部類に属し、淡々と音楽が進行していく感覚があり、ノリが良いにも関わらずノリが悪いという「どっちやねん」状態に陥ります。ノリの良し悪しについては、どちらのノリを強く意識するか、感じるかで個人差が出るところなので、一概にノリが悪いと断定することはできません。
MDR-EX1000は非常に環境追従性の高いイヤホンです。性能面や音色、音場感が環境に合わせて変化します。元々色付けがなく演出効果が少ないだけに、アンプの味が素直に反映されるのでしょう。特に中高域でアンプの色がハッキリ出るので、MDR-EX1000のキャラクターの薄さは問題視すべき点ではないように思います。あまりソリッドな音に追い込むのではなく、響きを増して色付けすることで「遊び心を持った優等生」へと変身します。ポータブルアンプを使用して、自分好みの音に調整する楽しみを存分に味わえるイヤホンですね。ちなみに、MDR-EX1000の音場は、横は狭め、前後、上下にそこそこ広い空間を作り、立体的に音像を配置します。この状態をベースとして、アンプによっては更に前後感を出すことが可能です。
得意ジャンルはオールジャンル。何を聞いても良い音だと思わせてくれます。ただし、アンプを使用しない場合は、キャラクターが薄いので、ボーカルモノや生楽器は多少苦手と言えなくもありません。また、MDR-EX1000は高域の処理が上手いイヤホンなのですが、この良さがipodに直挿し程度では感じることができず、解像度不足で高域がゴチャゴチャ、ガヤガヤしてしまうため、音数の多い楽曲でうるさくなってしまいます。MDR-EX1000の高域のポテンシャルを引き出すために、是非ともアンプ等で基本性能を底上げして使用してほしいと思います。
音は素晴らしく良いと断言します。何を持って高音質かは別として、単純に誰が聞いても「高音質だ!」と思わせる音です。これって簡単なようで実に難しいと私は思います。アンプを使用することで色々な表情を見せてくれる点も良いですね。MDR-EX1000は、イヤホンにおける高音質とは何か、そのひとつの基準、指針としてもいいのでは?と思えるだけのクオリティーを持ったイヤホンです。
Shiraさんこんにちは。
私の場合、鮮やかな音だなぁ、と感じることはなく、逆に少し落ち着いた印象を受けます。
鮮明さという意味では鮮明だと思います。
新鮮さという意味ではちょっと違いますね。
P.S.
10proの音は聴いたことがないです。
私はポータブルヘッドホンとしてMDR-Z1000を、DAPとしてカラフルのC4を使用しています。
また、Z1000のケーブルはミューズケーブルで自作したmini-miniを使用しています。
以前よりまみそさんのミューズケーブルやUSTのレビューを拝見していましたが、今回、EX1000のレビューを掲載されたのを機に情報交換できればと思いました。
まず純正ケーブルのZ1000についてですが、基本的な傾向はほぼ同じだがZ1000の方が低域より、直接音は側後頭部辺りから前頭部まで回り込むような近めの音場形成で、間接音の距離感は空間の広さに関わらずほぼ一定に感じます。
自作ミューズケーブルに交換した後のZ1000では頭の中心から同心円状に遠近感を伴った直接音が配置され、壁を感じない間接音が全空間を浮遊しているように感じます。
※頭内定位が気になるということは全くないのが不思議なところです。
また、聴き方の意識を少し変えるだけで、精密画のような繊細さと抽象画のような大胆な表現が同居する不思議なヘッドホンになっています。
想定外な点として、ミューズケーブルで弱くなりがちな低域はまったく不足せず、全帯域に実態感・力感を伴ったノリのよさを発揮してくれるようになったことがあげられます。
また、C4のアップサンプリングについても、実態感・力感と繊細さ・空間の広さの変化量が大きくなり、様々なジャンルの曲を非常に楽しく聴くことができるようになりました。
自作ミューズケーブルに唯一不満があるとすれば、厚いPVCのジャケットを剥がして自作したため、ケーブル自体が捻りに弱く解れやすいことくらいで、プラグと線材のハンダ付けは強度的に全く問題ありません。
今後、ホーム用にバランス化ミューズケーブルを製作しようと思っており、ヘッドホン側をLEMOプラグでと準備を進めているところですが、ヘッドホンアンプの選定や、ホーム用は他のヘッドホンのレパートリーを増やす方がよいかといった迷いがあります。
※端子のLEMO化はチャンネルセパレーションの向上を狙ってバランス化しない場合でも実施する予定です。
できれば、まみそさんに今後のアドバイスをいただけたらと思います。
りんくんさん、はじめまして。
Z1000の自作ミューズケーブル仕様とは凄いですね!
高価なケーブルなので贅沢な気もしますが、それだけの効果があったようで、コメント読みながら「おお、すげー」と感心しています。
それにしても、ジャケットを剥がしてしまうという発想はありませんでした。
ミューズの壁が消えるという特徴はヘッドホンケーブルにしても同じみたいですね。
これってヘッドホンにとっては難しいことなので、それをいとも簡単に成し遂げてしまうあたりにミューズケーブルの凄さを感じます。
細かな音に意識がいきやすい、という点もミューズの特徴がしっかり出てますね。
>ヘッドホンアンプの選定や、ホーム用は他のヘッドホンのレパートリーを増やす方がよいかといった迷いがあります。
りんくんさん程の自作能力があるならば、自作アンプが思いつきます。
春日無線のKA-10SHなどいかがでしょうか。
価格も安いですし、パーツの変更による音の変化も楽しめて、いろんな意味でオーディオを楽しめる選択だと思います。
その経験を経ることで、一歩も二歩も前進できるような気がします。
単純にヘッドホンをポンポン買って音色の変化を楽しむよりは、少ない投資で何倍も経験値を積めるはずです。
P.S.
関係ないのですが、りんくんさんって呼び方はさかなくんさんみたいで違和感がありますねw
さっそくヘッドホンアンプの提案をいただきありがとうございます。
実は半田ごてを手にしたのは20年ぶりくらいになるので、正直なところきちんと完成させる自信はなかったりします・・・
が、まみそさんのレビューを拝見して、手を伸ばしてみようかなという気になってきました。
問題は、子どもに真空管を割られかねないことですね(汗)
ミューズケーブルは、まみそさん流のライター炙りを試してみたところ、火の入り方からエナメル線同様にハンダ浴で線材を保護しつつ被覆をとることができるのでは?と思いつきました。
実際にやってみたところ、接合部の被覆はしっかりとれた上、線材と被覆の境界部分をハンダが覆う形となって強度が出ているようです。
自作能力というよりはライター炙り同様の発想の転換でしょうか。
ACケーブル用にもYラグやファストン端子にハンダ付け&中芯をカシメることで強度を保てそうです。
なお、実験用で50cmを使用し、現在使用中のケーブルで50cm、バランスケーブル用の1mストックの他、まだまだ余剰がありサンプル品をお作りすることも可能ですよ。
ヘッドホン、イヤホン、アンプ、ヘッドホンケーブル大放出!ヘッドホンを売るのはコレが最後になりそうです。興味のある機種などありましたらお気軽にご連絡ください。よろしくです。
AKG
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USTヘッドフォン(EXH-313他)