★ローゼンクランツユーザーへインタビュー
ローゼンクランツユーザーの生の声というのは、いざ探してみると想像以上に少ないことに驚かされる。
実際、Webサイトやブログでローゼンクランツのレビューやインプレを書いている人は極めて少ない。
「ローゼンクランツユーザーの生の声をもっと発信していきたい」
そんな想いから今回の企画を立ち上げた。
まずは、今回のインタビューの対象者(以下"I氏")の紹介を少ししておこう。
レコーディングエンジニア、かつ楽器の演奏者でもあるオーディオファン。
私の学生時代からの友人のバンド仲間、という一風変わった繋がりもあったりする。
ローゼンクランツケーブルに総入れ替えしたという情報を聞き、音の感想をインタビュー形式で聞いてみようと思い立った。
1時間半にも及ぶインタビュー・・・と言うよりはオーディオ談議の内容をザックリ文章化してみたので、少し長くて申し訳ないが、ローゼンクランツに少しでも興味のある方には是非ご覧戴きたい。
★I氏の自宅オーディオシステム
トランスポート:ESOTERIC P-70
DAC:ESOTERIC D-70VU
プリアンプ:Accuphase C2400
パワーアンプ:Accuphase A-60
スピーカー:DALI MS5
★ローゼンクランツを導入しようと思ったきっかけ
まみそ「はじめまして、今日はよろしくお願いします。質問という質問は考えていないので、適当な感じでよろしくです。」
I氏「こちらこそよろしくお願いします。楽しみにしていました。」
まみそ「まずはじめに、ローゼンクランツを導入しようと思ったきっかけは何ですか?」
I氏「以前車関係の仕事をしていた時に、お客からカーオーディオとしてのローゼンクランツの話を聞いたんです。」
I氏「それから何年か経って、まみそぶろぐでローゼンクランツの記事を見たんです。そーいえばそんなメーカーがあったなぁ・・・、と何気なしにオークションでPIN-RGB1を購入しました。」
まみそ「怪しいメーカーだと思わなかったんですか?」
I氏「思いました。」
まみそ「ですよね~。」
I氏「なので、オークションで安いやつを試しに買ってみたんです。」
★PIN-RGB1
まみそ「で、どうでしたか?PIN-RGB1は。」
I氏「PIN-RGB1を入れた時が一番変化が大きかったです。今思えば最初にして最大の効果でした。」
まみそ「どのような変化でしたか?」
I氏「音に熱さが生まれましたね。」
I氏「オーディオグレード的(音質的)には決して高いとは言えない音なんですが、音に熱気が生まれ、演奏者がなぜ演奏しているのか、その理由が伝わってくるようになったんです。」
まみそ「高音質を目指せば目指すほど、クリアーで解像度が高く細やかで綺麗な音になっていく傾向が強いように私は思うのですが、そこにグっと"熱"、言い換えれば息吹、生命感を注入してくれる感じですよね。」
I氏「レコーディングなどもかなりの数をやっており、CDに収められる限界と言うものといつも戦っています。本当はマスターのCDをみんなに聞いて欲しいと思ったりもします。そこにかなり近づけるのがこのケーブルでした。」
★PIN-RL(Limited)
その後、I氏はPIN-RGB2を導入する過程を経て、 PIN-RL(Limited)を導入。
まみそ「ここでケーブルのグレードがアップしましたね、どうでしたか?」
I氏「このケーブルを入れたとき、正直パっとしない音でした。音に熱気はあるのですが、スピード感が遅くなり、派手さの無い音になったんです。」
まみそ「他のケーブルとのバランスが崩れてしまったんですかね。」
I氏「そうかもしれません。オーディオ仲間にローゼンクランツの音を聞かせたとき、"よりグレードの高いケーブルを1本入れようとする人"と"入門モデルを全ての機器に導入しようとする人"がいました。」
まみそ「ローゼンクランツは全体で音を作る傾向が強くて、全体の統一感、バランスを重視するから、その場合入門モデルでも全部に入れたほうが良さそうですね。」
I氏「そうなんです。1本だけハイエンドなケーブルを入れるとバランスが崩れるようです。」
★PIN-RL(Limited)2本目 + AC-RL Limited
そこへ、PIN-RL(Limited)2本目を導入。
I氏「PIN-RGB2を導入して感じた事が倍になったように感じました。音場、S/N、有機的、そんな言葉を必要としない音ですね。とにかく好きな音楽を聞くことに集中できる音。音をチェックする為や、好きなギターの音を聞くのではなく音楽を聞くのです。音楽家にとってこれ以上の幸せはありません。」
まみそ「2本目のLimitedを入れることでバランスが整ったんでしょうか。面白いですね。」
I氏「続いて電源ケーブルAC-RL Limitedを入れました。これは凄かったですね。ローゼンクランツ色が強まるということはないんです。ただ、数日経ってから元のケーブルに戻すと・・・絶対に元には戻れないと思いました。」
まみそ「私も、ローゼンクランツのケーブルを増やしていく中で、その変化が微小だと感じることは多々ありました。ローゼンクランツは常に同じ方向を向いて音が完成に近づいていきますから、音色も音の方向性も全く変わらないため、激変と言えるような変化はありません。ただ、その中で"音楽性"であり、音のアタック感や躍動感、抑揚などが向上していくんですよね。ある意味小さな変化、ある意味大きな変化だと思います。」
★SP-5EX(Perfect)
I氏「次に入れたのがスピーカーケーブルです。これは凄い変わりました。」
まみそ「このモデルは現行モデルじゃなくて以前のリファレンスケーブルですね。」
I氏「そうですね。このケーブルを入れることで、リズム感が非常に改善されて生き生きとしたサウンドになりました。」
★AC-RL(Limited) + AC-RL(Maximum) + AC-RL(Maximum)
そして、電源ケーブルを次々に導入。
I氏「ここでは、ケーブルを入れれば入れるほどバランスが整っていく感じでした。」
まみそ「同じ音の中で、その精度が増すと言いますか、洗練されていく感じですか?」
I氏「そうですね。常に同じ方向性でブレることなく改善されていきました。」
まみそ「私も全く同じ感想です。全体で音の完成度を高めていくというのがよくわかりますね。」
★DIG-kaiser Sound
最後に導入したのがデジタルケーブル。
まみそ「私のときは、正直何が変わったのかよくわからないぐらい微小な変化でした。」
I氏「確かにデジタルケーブルを入れたときの変化は小さかったです。でも、その後また元に戻してみたら、ここでもまた絶対に戻れないと感じましたね。」
I氏「よく生の演奏が目の前に・・・とか言うじゃないですか。でも何て言うか・・・」
まみそ「そうそう。私もブログでそれを丁度書いたばっかりで、"生の演奏が~"という言葉で片付けてしまうには勿体無い、そんな音なんですよね。」
I氏「そうなんです。とにかくかなり本物に近い音になっていると思います。」
まみそ「デジタルケーブルは音の変化は小さいものの、音の嘘臭さがなくなる感じですよね。」
★スタジオでのローゼンクランツ
まみそ「スタジオではどのようにローゼンクランツケーブルを使っているんですか?」
I氏「スタジオというのは基本的に常時使用しているため、間があくことがありません。そのため、途中でケーブル等で音を大きく変えてしまうと仕事にならないんですよ。今まで基準にしていた音が変わってしまうわけですから。」
まみそ「なるほど、もし変えるとすれば、数週間の間が空いたときに全て入れ替えてしまう必要があるんですね。」
I氏「そうです。ただ、スタジオは何百本というケーブルがあるので、金銭的にも無理な話です。スタジオではケーブルや機材が多いので、オヤイデやAETなどなど、複数のケーブルが混ざって使われています。」
まみそ「そんな中にローゼンクランツを入れるとどうなるんですか?」
I氏「レコーディングでは声質に合わせてマイクを換えたり機器を繋ぎ換えたりするのですが、それと同じようにローゼンクランツのケーブルを使用して音を作るんです。ローゼンクランツのケーブルを使うと音が太くなるんですよ。」
まみそ「アクセントとしてローゼンクランツの味を付け加える感じですね。」
I氏「そうです。ただ、スタジオで使うのと自宅で使うのとでは効果が違うんですよね。機器との相性などもあると思うのですが・・・不思議です。」
まみそ「音が太くなるのはローゼンクランツの特徴なのか、それとも機器の特性がより強く出た影響なのか、どちらなんでしょうね。そーいえば、スタジオを全てローゼンクランツに、なんて考えたことはないんですか?」
I氏「それはないですね。仕事にならなくなるので。ローゼンクランツは音を生っぽく、本物のようにしてしまいます。なので、スタジオで本物のような音を作ってしまっても、自宅で聞くと無機質な音に・・・なんてことになっては困りますから。例えば、ローゼンクランツは響きも含めて音をコントロールしますが、スタジオは吸音して所謂デッドな音になるようにします。」
まみそ「そうすることによって、万人受けする音作り、誰もが聞いて第一印象で良いなと思えるような音作りがしやすくなる、音を自在にコントロールしやすい、そんな感じですか。」
I氏「そうですね。」
まみそ「自宅は自分が楽しめる音を作る。スタジオでは万人受けする音作りをする。ここに自宅とスタジオの音作りの決定的な違いがあるんですね。」
I氏「そうです。以前自宅でJBLのスピーカーを使っていたことがあるのですが、確かにスタジオと同じような音にはなるんです。ただ、疲れるんですよね。家でまでこんな音でいいのか?家ではもっとくつろげる音にしたい、そう思って今のDALIのスピーカーに換えました。」
★ローゼンクランツの一番の魅力は何?
まみそ「そろそろ締めに入っていきたいと思います。ローゼンクランツの一番の魅力は何だと思いますか?」
I氏「"音楽"を味あわせてくれること、ですかね。」
I氏「音楽に対する姿勢、考え方、さらには生き方、人生にまで影響する音だと思います。同じ読み方でも字が違ってて意味が異なる言葉ってあるじゃないですか。ローゼンクランツの音は"音楽"でもあり"音学"でもあると思うんです。音から学ぶことが多くなったように思います。」
★ローゼンクランツの音を知ることで自分の中で音楽観の変化はありましたか?
まみそ「ローゼンクランツの音を知ることで自分の中で音楽観の変化はありましたか?」
I氏「嫌いなジャンルがなくなりました。」
まみそ「どんなジャンルでも楽しんで聞けるようになったということですか?」
I氏「そうですね。奏者がなぜ演奏しているのか、その意思が伝わるようになったことで、今まであまり聞いていなかったようなジャンルでも、音に入り込める、音と真摯に向き合えるようになりました。どんなジャンルでも音を理解しようとするようになりましたね。」
★客観的に見てローゼンクランツは怪しいと思いますか?
まみそ「客観的に見てローゼンクランツは怪しいと思いますか?」
I氏「怪しいです。あのWebサイトは損をしているように思います。何も知らずに購入するのはいいと思いますが、あのサイトを見てしまうとひいてしまいますね。」
まみそ「ローゼンクランツの理論って一般的なオーディオ理論とは根底から違っているから、ほとんどの人が理解できないでしょうね。特に方向性なんかは普通の人には全くわかりませんから、普通に考えてオカルトだと捉える人ばかりでしょう。」
I氏「ただ、一度はまると全てをローゼンクランツで揃えたくなってしまう魔力を持ってますよね。貝崎さんとは是非一度会ってみたいと思っています。」
まみそ「是非会ってみてください。物凄いエネルギーを持った人です。オーラがある。音楽にかける情熱は凄いものがありますよ。」
I氏「会いたいですね。私は全てを同一メーカーでそろえることに抵抗がある(怖さを感じる)のと、現状の音に満足しているので、これ以上変える必要はないと思っています。ただ、もっと良くなるのだろうか?という想いもあるので、数ヶ月時間を置いてから貝崎さんにオーディオクリニックをしてもらおうと思っています。あと、今までは中古で買ってきたので、本来の値段を出していません、本来の値段で購入することで感動の大きさも変わってくると思うので、次は直接購入したいですね。」
★ローゼンクランツ導入を迷っている人へ一言
まみそ「最後に、ローゼンクランツ導入を迷っている人へ一言お願いします。」
I氏「まずは入門モデルを実際に体験してみてほしいですね。」
I氏「入門モデルは3万円程度で購入できるので、決して手が出ない額ではないでしょう。そこで熱い何かを感じるか否か、それで決断すればいいのだと思います。そこで音質ではない"音楽"を感じとれた人は、ローゼンクランツの道を進み始めるのだと思います。」
I氏「オーディオ仲間を家に招いてローゼンクランツの音を聞かせると、好きと嫌いが綺麗にわかれるんですよ。ローゼンクランツを使用した時の音が好きな人もいれば、使用していない状態の音のほうが好きな人もいるんです。」
まみそ「単純に好みの話なので当然ですよね。良い音の基準、良い音の考え方は人それぞれ違います。事実、高音質を追求する人が多くいて、それはそれで凄い良い音なのだと思います。」
I氏「少しオーディオとしての経験を積んで、いろいろな音を知ってからローゼンクランツの音を聞いたほうがいいのかもしれません。」
まみそ「実はそれと同じことを何人かから聞いています。いろいろな音を聞いてきて知っているからこそ、ローゼンクランツの音の何が良いのかがわかるのだと。確かに、普通に考えれば最初は"高音質"を目指してしまいます。私も実際にそうでした。音質から入ってしまう時点でローゼンクランツの良さは理解できないように思います。」
I氏「そうですね。音楽と音質の違いを判断する意味でも、興味のある人にはまず入門モデルを使ってみてほしいです。」
まみそ「このインタビュー企画で少しでもローゼンクランツに興味を持ってくれる人が現れてくれたらいいのですが・・・。今日は本当にありがとうございました。」
I氏「こちらこそありがとうございました。」
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