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スピーカー、ヘッドホンとオーディオアクセサリーのレビューをメインとしたオーディオブログ。感じ取れ音楽!
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s-PICT0065.jpg型番:MS-1(MusicSeries-One)
メーカー:ALESSANDRO
タイプ:開放型ヘッドフォン
インピーダンス:32Ω
感度:100dB
再生周波数帯域:20 - 22,000Hz
プラグ形状:φ3.5ステレオミニ
コード:1.7m、Y型
重量:約200g



GRADOのOEM製品。イヤーパッドはGRADOお馴染みのラージパッドではなくフラットパッドで装着感が良いです。人によると思いますが、私はザラザラした質感のラージパッドよりもフラットパッドのほうが長時間使用できます。標準はミニジャックとなっていますが、変換プラグが付いているので問題ないでしょう。ハウジングが金属製でも木製でもなくプラスチック製のため、いつも以上に見た目が安っぽくオモチャのようで、正直100円ショップにオモチャとして並んでいても違和感はないでしょう。

s-PICT0077.jpgメインシステムで試聴したところ、MS-1の基本性能の低さ(特にレンジの狭さが強く影響)から環境側の性能に追従出来ず、様々な部分で音が破綻してしまうため、あえて「作業用PC⇒SE200PCI⇒19AQ5単管・ステレオヘッドフォンアンプ(ALL付属ケーブル・足場無視)」という環境で試聴しました(この環境のほうがバランス良く音がまとまり、良さを発揮できると判断したため)。真空管の球にはWE408Aを選択、スッキリと音を引き締め低域にキレを出し、高解像度な中高域で明瞭さを出し、カラっとした抜けのよいアメリカンなサウンドを活かすのが目的です。結果、性能の低さを感じさせずに上手く鳴らせるようになりました。

音質傾向は過去聞いてきたヘッドホンの中から選ぶならGRADOのSR-325がよく似ています。音抜けが良く開放的、典型的なGRADOサウンドと言える元気の良い鳴りっぷりです。SR-325がエレキトリックでキレキレなイメージがあるのに対し、MS-1は内に秘めたナチュラルエナジーとラフさがあり、ほんのりと「暖かみ」や「響きからくる僅かなふんわりした土臭さ」を感じます。細かい音の説明は不要、高解像度?ワイドレンジ?そんな概念を吹っ飛ばす陽気で楽しい音を味わえるヘッドフォンです。この音を文章で表現するならば、「雲ひとつない青空の下、短パンタンクトップ裸足にスニーカースタイル、こんがり焼けた小麦色の肩の上にラジカセ担いでノリノリでロックを聞く、そんな状況をヘッドフォンひとつで再現!」これで十分でしょう。

得意ジャンルはストレートなロックンロールやパンクロック。AC/DCなんかは最高に合います。綺麗な音で聞こうと思うことが邪道、音の粗さを長所に変換し、耳横サウンドはダイレクト感抜群!団子な音はLIVE感満点!と考え、機器直結上等環境度外視無造作大歓迎なラフヘッドフォン、それがMS-1です。タイプ的にジャズも悪くはないのですが、どうしてもチープな印象が付きまとうのでジャズは生々しい音を出せるGS1000まで飛びたいところです。ただ、GRADOのヘッドフォン全般で言えることですが、生楽器、特に弦楽器の表現力は秀逸で、これはMS-1も例外ではありません。オーディオにおける難関のひとつ「低域の解像度」という点でMS-1は妥協せざる得ませんが、中高域の弦楽器表現を見ると価格以上のものを必要十分に持っているように思います。

s-PICT0074.jpgさて、まとめということで少し冷静に評価してみます。バランスはフラット。ワイドレンジ、厚みのある音の環境になればなるほどMS-1の性能制限により上下が出ない、弱くなるためカマボコ型にスライドしていきます。よって高性能環境での使用はバランスが崩れるのでオススメしません。情報量はそこそこ、レンジは狭いです。解像度は値段を考えると高いです。解像度に関しては標準のフラットパッドでずいぶん損をしているように感じます。ラージパッドやGS1000用イヤーパッドに変更することで改善されますので、「もうすこし高解像度にしたい」という場合にはイヤーパッドの変更が効果的です。ただ、この音の粗さこそが特徴だと思うので、標準パッドのほうがMS-1の個性を出せているように個人的には思います。また、GS1000用パッドでは音場が多少広がり、これでもか!という耳横サウンドではなくなり空間に余裕が生まれます。マイナス要素として捉えるならばダイレクト感が減少すると言えるでしょう。多少音が緩めなので環境側でピシっと締めてあげたほうが上手く鳴らせるのではないかと思います。調整すれば締まってパンチ力のあるタイトな中低域になるので、「緩さ」は気にするような問題点ではありません。ただし、SR-325ほどのキレ味は見せてくれませんし、高域を見てもSR-325ほどの鮮烈さはありません。しかし、良くいえば全体のバランスが良く、Voを含めた全体を楽しめる鳴り方です。音の出だし、消え際にメリハリがありSR-325同様の縦ノリサウンドなのも特徴のひとつです。

他のメーカーでは味わえない独特のGRADOサウンドをお手軽価格で体験できるハイコストパフォーマンスなヘッドフォン。ヘッドフォンの面白さを教えてくれる入門機として、スパイラルへの先導役として存在する憎いやつです。音が鋭くて痛いとか、低域が不足しているとか、高域がキンキンしているとか、線が細いといったことがなく、癖が少なくてある意味中庸なバランスの取れた音なので、そーいった意味でも入門機としてオススメできます。

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