★はじめに
オーディオを趣味とするときに誰もが一度は考えるであろうこと「コストパフォーマンス」。人によって音の良し悪しの判断に差異があるオーディオの世界においての「コストパフォーマンス」とは、低価格でどれだけ好みの音に近づけることができるかという意味での費用対効果として捉えるのが最も理解しやすく納得がいくものであると私は考える。別の言い方をすれば、オーディオで重視される要素のひとつである基本性能や機能性よりも満足度、つまり自分の音の好みにどれだけ近いかといった部分のほうがオーディオの世界では重要であり、この部分に価値を見出し費用対効果を考えたほうがオーディオに限ればわかりやすいということ。そして今回は、普段ついつい気軽に使ってしまう「コストパフォーマンス」という言葉にスポットを当て、オーディオの世界においての「コストパフォーマンス」という言葉の存在意義を多角的な視点から分析し考察してみよう、というのが主旨である。「コストパフォーマンス」という言葉の重みであり重要性はオーディオ経験の大小によって違いが生まれてくるのではないだろうか?そんな素朴な疑問から今回の記事を書くに至る。
★オーディオにおけるコストパフォーマンスとは
人によって好みの音が多種多様である以上、音の完成形もまた多種多様であり一つに限られるものではないため、それはつまり人それぞれが現時点で自身で考えられる可能な範囲内での音質的なゴール地点へ到達するために必要な費用に違いが生まれ、またその過程で発生する経験という名の財産への投資額が違ってくることは必然であろう。ここで問題となるのが何をもってして「コストパフォーマンス」とするかである。何が言いたいのかというと、要するに単純に機器やオーディオアクセサリーの価格、それに対する性能的価値及び満足度だけで「コストパフォーマンス」とするのか、それとも経験値という付加価値を含めた長い目で見たときの総合的な括りで「コストパフォーマンス」を定義するのか。私の独断と偏見によれば一般的には前者の定義付けがされるであろうと推測する。しかし、なぜ私がこのようなことを問題視するのかといえば、性能の高低、満足度の大小、費用対効果を数値化した時のプラス側への絶対値に関わらず、全てのオーディオ経験は今後のオーディオライフにおいて非常に強力な武器となるため、云わば財産的価値が高いと考えるからである。この論考を考え併せた場合、「コストパフォーマンス」の意味合いが単一化されず二分化されてしまう。例えば、「5万円のCDプレイヤーを購入し、極めて好みの音を手に入れ満足度が高い」、「3万円のCDプレイヤーを購入し、いまいち好みの音ではなく満足度が低いが、その後電源ケーブルやインシュレーター、コンセントやオーディオボードなどで7万円使用して極めて好みの音を手に入れた」という二種類のケースを考えてみると、その時点では前者の選択のほうが「コストパフォーマンス」が高いのは明白だが、今後のオーディオライフを考えたときには「自分好みの音に調整する技術」を前者と比べれば確実に取得できている後者の選択のほうが「コストパフォーマンス」が高いと考えることもできる。一見誰もが「コストパフォーマンス」が高いと思いがちな前者の選択も、見方を変えれば最善の選択とは言い難くなる可能性を秘めていることに注意する必要があるのではないだろうか。私は常にこう考えてオーディオ機器やオーディオアクセサリーを購入している。それは、「全ての投資は有益である」という考え方。全ての投資は無駄であることは絶対的になく、失敗したと思える選択であってもその経験は次に活かされる、否、自らの意思で活かしていくことが重要なのではないか、そのように思う。
★コストパフォーマンスを実感する時~好みの音の探求~
「このヘッドホン、コストパフォーマンス高いなぁ~」、果たして初めてヘッドフォンを購入した人はこんなことを思うのであろうか。少なくとも私はそう思った記憶はない。初めて何万円もするヘッドフォンを購入したときには感動したものだが、「これだけの値段を出すとこんな音が聞けるのか」とは思ったが、「コストパフォーマンスが高い」という発想は無かった。「コストパフォーマンス」とは経験あってこそ生まれてくる言葉であると同時に、経験あってこそ生まれてくる発想だと私は思う。オーディオ機器に限ったことではなく、例えば初めてのカメラを購入したとき、当然初めてなので他のカメラと比較したことがないわけで、他と比べてどこがどう優れているのかもわからず、他と比べてどこがどう劣っているのかも判断ができないため、「コストパフォーマンス」という言葉が出てくるとするならば、それは自身の財力からくる金銭感覚による「価格が安いのか高いのか」、もうひとつは「自己満足度」、この二点が判断材料として大きな効力を持つことになるだろう。初めての買い物で大きな率を占めるであろう「自己満足度」は、曖昧かつ自己の感情に頼ったもので正確性が高いとは言い難い。要するに「自己満足度」とは基本性能のように数値化して他者に示せる要素ではない。しかしながら、自己満足という感情的要素はオーディオの世界では重要であり大切にすべきポイントで、初めての買い物で「良い買い物した」「コストパフォーマンスが高いな」と感じることも多々あるであろうことに疑う余地はない。特に「良い買い物をした」という感情論から生起するであろうフレーズは自己満足度の占める割合が多いだろう。逆に初めての買い物で「コストパフォーマンスが高い」と感じることは可能性としては低いのではないか。話を戻すが、つまり、比較する対象が多ければ多いほど性能の面でも自分の好みが直結する自己満足という意味でも製品を相対的に見ることができるようになるので、簡単に言えばオーディオ経験が豊富であれば豊富であるほど、費用対効果という本来の意味、そして自己満足度という意味の両面で「コストパフォーマンス」を強く実感できるのではないか、ということである。ただし、これはその時点での自身の経験の範囲内、という制約があることを忘れてはならない。未だ経験したことのない未知の音が、自身の感性で包括的に見た時のグレードであり質が「より良い、より優れている」かは関係なしに、他の種類の音、今までに聞いたことのない音を聞くという経験を経ることで、自分の目指す音が変化することは可能性として大きいと私は思う。どこまでの音を求めるかは主に資金力によって左右されると思うのだが、こと「コストパフォーマンス」という観点に限定するならば、自分が定めたゴール地点の音を基本性能を無視して好みという視点から見たとして超える音であっても、例えばオーディオショップであったり試聴室であったり、知人からのレンタルであったり、手段は選ばず貪欲に経験していくことが大事であって、それによって「コストパフォーマンス」を自身の中でより強く実感し、そして把握し整理し今まで以上に優れたオーディオライフへ繋げていけるのではないだろうか。「様々な経験を経てこそ製品のコストパフォーマンスを正確に判断できる」というのが現状での私の考えである。
★コストパフォーマンス信仰~心の揺らぎ~
まみそぶろぐの方針が「コストパフォーマンス重視!安上がりでイイ音実現しましょーよ!」であることから察しがつくと思われるが、私はコストパフォーマンス重視、できる限り安価に満足いく音を手に入れたいという思いが常に頭の中にある。その影響により、「高額な機器=高音質」という固定観念を持たず、安い機器でもセッティング次第で素晴らしい音を引き出せるという信念に基づき様々なオーディオアクセサリーを試し、実際まみそぶろぐの記事はオーディオアクセサリーに傾倒した内容となっている。しかし、知人からのレンタル等でハイエンドと言われる世界の製品を実際に使ってみて感じたことがある。それは「ハイエンドはハイエンドたるものを有している」こと。中には例外もあるだろうが、ハイエンドと呼ばれる機器やオーディオアクセサリーは、馬鹿げた値段がつけられていることを納得させるだけの音、と言うよりは「メーカーが信じる理想の音を一片の妥協もなく極限まで追求し、好みの違いなど些細なことだと思わせるだけの完成された世界観」を確立しており、理屈抜きに「ハイエンドの音」だと無意識に頷いてしまう、そんな音を持っている。これは基本性能云々ではなく「製作者の情熱や信念を具現化した芸術品」と言えるレベルであって、とんでもない値段がつけられていても納得させられてしまうのだ。ただし、ハイエンド、トップモデルというのはメーカーの理想の音の集大成であるため個性の強いものが多い。「個性が強い=ハイリスクハイリターン」、好みに合わなければ「好みとは違う」となる可能性が高い。しかし、好みとは違うが「これはこれで素晴らしい音だ」とも思わせる説得力を持っているのも事実。私は小細工では超えられないハイエンドの壁というものを痛感させられ、そして「コストパフォーマンス至上主義」の信念が揺らいだ。だからといって、絶対的なコスト至上主義になったのかと言えばそうでもなく、現在は「ハイエンド機器、ハイエンドアクセサリーのほうが満足いく音が得られる確立が高い」といったポジションに位置しており、「コストパフォーマンス」は重視したいけど好結果を望める可能性が低そうなので金銭的に無理をしてでもハイエンドへ流れてしまう、といった現状である。このようなハイエンド実体験から、私は常々「上には上がある」という思いを抱いており、「自分が聞いたことのない音がまだまだある」という思いが強く、加えて「総合的な意味で更に高いレベルで自分好みの音を完成させたい」と思っている。そして、自分の理想の音というのは固定されたものにあらず、経験に追従して変化していくものだという考えに至った。
★結局は
私の結論としては、オーディオは「自分次第、気持ち次第、自己満足度次第」。これに尽きると思う。当たり前のことだが、自分の出来る可能な範囲内で自分の好みの音を作り上げることがオーディオの正しく楽しい道だろう。何で判断するのか、何を基準とするのか、何を重視するのか、何に注力するのか、全ては自らの判断で決定していかなければならず、他人は他人、自分は自分という考えて良いと思う。メーカーであれば商売として成立させるために調整する必要性が出てくるが、個人で楽しむオーディオであれば「自分が良いと思える音を追求すること」が大事だと私は思う。今回述べた「コストパフォーマンス」の考察は私の考え方なだけであって、「コストパフォーマンス」をどう捉えるかは人それぞれ違っていて当然であり、そうであってこそ面白い。費用と効果、費用と価値、費用と自己満足度、自分の決断で音を追求していった結果、結果的に高額な機器で構成されていた、逆に結果的に低価格な機器で構成されていた、そんな意思決定先行型で費用に無関心になれるようなオーディオライフを実現できた時こそ、オーディオに夢中になって心底楽しめているのではないか。そのように思うし、そのようになれるよう努力していきたいと思う。このように考えると「コストパフォーマンス」という言葉はある意味純粋さを削ぐ邪推な考えとも言えなくもない。つまり「コストパフォーマンス」など考えずに無邪気にオーディオを楽しんでこそ本当の意味で楽しめるのでは、と。逆に、費用を含め試行錯誤することも含めて楽しみだというのもまた一理あるだろうし、他にも違った考え方があるに違いない。それもまた人それぞれだろう。いずれにせよ、どんな形であれ、
趣味は没頭してこそ価値がある。
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