★KA-10SH [6DJ8ヘッドフォンアンプキット](春日無線変圧器)
春日無線変圧器の19AQ5単管・ステレオヘッドフォンアンプに続くヘッドフォンアンプキット。
設計は長島勝氏。
構造が非常に複雑で、立体的にパーツや線材が配置されている。
※詳細は春日無線変圧器Webサイトをご覧ください
★インプレ
※このインプレは可能な限り標準仕様に近い構成によるものとする
中低域は厚みがあり密度感が高く濃い音。
決してボワつかず半導体アンプのようなメリハリも兼ね備えている。
全域に渡って線が太く、低域から高域までしっかり音が出ており駆動力は文句無し。
基本的にどの球でもパワフルで力強い面が目立つが、優しく柔らかい面を持っているのは真空管ならでは。
その優しさや柔らかさが際立って目立つ球も存在する。
解像度は球によって差はあるが、必要十分なレベルは確保できており、音楽を聞く際に音が粗いと感じることはまずないだろう。
解像度と同時にSN比も球による差はあるが、どの球でも認識できるようなハッキリとしたノイズが出ることは皆無。
SN比は優秀と言えるレベルにあると感じる。
ボリュームは通常10時の位置付近で聞くことになるが、MAX(6時)まで上げてもノイズは聴覚上全く聞こえない。
レンジ感、解像度、情報量といった基本性能はコンデンサの換装等による改造で引き上げることが可能なので是非試してみて欲しい。
いくら「半導体アンプのような」と言っても真空管の鳴りであるのは確か。
半導体アンプと比べれば『輪郭が甘く』『メリハリ感が弱い』傾向があり、『全体感が強く』『芯が軟らかく』『ふんわり』とした鳴りを基調とする。
これらの点を利点と取るか欠点と取るかは好み次第だろう。
半導体アンプと差があるとは言ってもそれほど違いがあるわけでもなく、「違いがわからない」と感じる人がいてもおかしくない。
あまり気にせず、漠然と「聞きやすい音な気がする」程度に考えておいていいレベルの範囲内の差。
音のバランス、おおまかな傾向はどの球でもほぼ同じと言えるが、音色は使用する真空管によって変わってくるので断定することはできない。
艶やかさ、柔らかさ、力強さ、響きなどといった要素は球によりけり。
★まとめ
真空管アンプではあるが、かなり半導体アンプらしさの強い真空管アンプだと私は思う。
メリハリも兼ね備えたアンプなので、どのような音楽でもこなせるバランス型だと言えそうだ。
なんとなく聞きやすい音がして、中低域に厚み、密度感、濃さのある、線の太いしっかり音の出るアンプ、といった感じだろうか。
芯が軟らかく音の粒立ち感が弱い、及び音の分離感が弱く全体の音の繋がり感が強いため、ニュアンスをハッキリと聞き取りたい、言い換えればモニター的な意味で聞きたいという場合には向いておらず、全体の雰囲気、臨場感で音楽を感じたい場合には向いているように思う。
全体感の強さが影響しているのか、音と無音空間とのコントラストが弱い点は人によっては嫌う可能性があるが、逆にこの鳴り方を好む人もいるだろう。
真空管アンプなので当然と言えば当然だが、真空管アンプの鳴り方が根本的な部分で支配していると考えて間違いない。
分離感、定位感重視であれば半導体アンプを使い、臨場感重視であれば真空管アンプを使う。
このように音楽や気分によってアンプを使い分けるのも乙なものである。
★改造その1~カップリングコンデンサ変更~
カップリングコンデンサは無極性のため極性を合わせる必要性はないのだが、実際向きを変えて接続してみると、極性によって音質が変わるのを確認できる。
接続する向きは好みに合わせてどうぞ。
>auricapに変更
当たり前だがauricapの特徴が強く出てくるようになる。
解像度が非常に高く空間表現力、音場感に優れ、なによりバランスが良い。
この音と比べると標準仕様はボヤけた音だと感じる。
低域から高域までバランス良く出ており、とても自然な鳴りとなる。
豊富な情報量と超解像度によりサラサラとした細やかな音成分が満ちる感覚はSTAXのヘッドフォンを思わせる。
ふわっとした優しい鳴り方もSTAXを連想させる要因のひとつだろう。
ダイナミック型でありながらコンデンサー型ヘッドフォンのような音を手に入れることが可能。
この音をATH-W5000で聞けば、「ATH-W5000がSTAXのようだ」という例えに誰もが納得するだろう。(コンデンサー型と同等の高解像度を実現できるポテンシャルをATH-W5000が有しているという意味)
>DynamiCapsに変更
auricapに負けない性能、音場感。
なにより音楽性が高い。
言葉で説明するのは難しいのだが、あえて音質面の特徴を説明するならば音が濃く、粘りが出ることだろうか。
エージングが進むにつれ、この濃さや粘りが自然に溶け込んでいき、最終的に生命感へと変化する。
auricapも素晴らしいコンデンサだが、DynamiCapsは「auricap + 生命力」、そんな音のするコンデンサ。
有機的な生きた音を望む人に強くオススメしたい。
★改造その2~電解コンデンサを変更~
>16V100μFの部分をシルミックⅡ αに変更
シルミックはDACにも使用している個人的に好きなコンデンサ。
全体的に柔らかく優しい音となり、艶やか、そしてなめらか。
★改造その他
コンデンサ以外にも内部配線材や抵抗の変更、パーツ配置の変更、3Pインレット化やジャック類のパーツ変更、ボリュームの変更、振動対策やノイズ対策等々。
★改造まとめ
オーディオグレードのパーツに変更すればそれだけ制作費は嵩むものの、標準仕様と同じとは思えないハイクオリティーな音を手に入れることができる。
自作の強みは通常市販のアンプではまず使われることが無いハイエンドパーツを自由に使えること。
それはつまり、性能面においても市販のアンプを大きく超える可能性を秘めているということでもある。
改造を前提として製作するのであれば、極めて高い性能と音楽性を両立できるアンプとなるだろう。
★聞いたことのある真空管
※現存する球数に限りのある真空管では評価が及ぼす流通価格への影響が無いとは言い切れないため球別インプレは無しとします
○6DJ8 / SYLVANIA
○6DJ8 / Ei Elites 金足
○6922 / PhilipsECG
○E88CC / TESLA 軍刀マーク 金足 ※常用球
○E88CC / Mullard 金足
○E88CC / Amperex
○E88CC / JJ
○ECC88 / TRONAL (6N23P V1-77)
○ECC88 / PHILIPS MINIWATT
○E288CC / SIEMENS ※流石に凄い伝説の球
○6R-HH2 / 日立
○6N1P
○6N23P
○6BQ7A
○6ES8 / Zaerix
私は、こいつでヘッドホンアンプはフィニッシュです。前使っていたHD1Lも凄く良いアンプでしたが、明らかにグレードが上がりましたからね。もちろんコンデンサーなどの変更が大前提ですが。あとは19AQ5を買うか否かぐらいでしょう多分。
今、またマル秘改造中です。
ようやくです。
かんたさんの好みだと、このアンプで終着点で良いと思います。
もし他にアンプを買うのであれば、m902のような分離感が強くビシバシっとしたやつがいいでしょうね。
上手く使い分けられると思います。
それにしても自作は楽しそうですね。中身もシンプルで部品変えやすそうですし、僕も挑戦してみようかな?
それから、オメガⅡを購入されたんですか?おめでとうございます。
もし作るのであれば、最初からパーツを厳選して作ったほうがいいですね。
後からパーツ交換するの面倒ですから。
内部線材やカップリングコンデンサは大きく音が変わるので変更オススメです。
確かに改造前提でキットを購入して、組み立てた方がやりやすいと正直思います。
先代19AQ5のお手軽さは、少ないと思いますが、オーディオグレードのパーツなどハイエンドなパーツを投入すると市販品のアンプを超えるアンプに匹敵するのではないかと思います。
ただし、ハイエンドなパーツが自分の音の好みになるかといわれますとそうではないケースもありますので、これから自作なされる方はいろいろ楽しんでほしいと思います。
先日はメールでカップリングコンデンサについていろいろご指導いただきましてありがとうございました。
円高を利用し手に入れたAuricapに交換して30時間ほどCD流しっぱなしでエイジング後、先程から観賞しております。
オリジナルでも結構いけてるように感じがしたのですが、Auricapだとさらに一体感が増す感じがします。
交響曲など聴くとオリジナルの時のような一つ一つの楽器がなんとなくバラバラに聞こえてくるような感じがなくなり長時間聞いても疲れなくなりました。(オリジナルは楽器の位置がなんとなく分かるのであれはあれで良いのですが・・・)
部品ひとつで随分かわるものなのだなと思い知らされました。
今後とも宜しくお願いいたします。
>Auricap
無極性ではありますが、接続する向きを逆にすると音も変わるので試してみてください。
ふんわりサラサラした感じの音と、少しパワフルで押し出し感のある音の二種類を楽しめると思います。
このアンプと合性良いと感じるのはオーテク、GRADO、ゼンハイザーあたりですかね。
ゾネホン、DENONは合性悪いイメージがあります。
元々持っている音の傾向として、19AQ5のほうが高域が綺麗に伸びます。
シンプルな回路による素直な音、これが19AQ5の良さだと思います。
さて、KA-10SHで高域が綺麗に伸びるようにするための方法で一番簡単なのは真空管の変更です。
低域寄りの真空管を避け、バランス型にするだけでも結構変わるはずです。
ロシア製の6N23Pなどどうでしょうか。
カップリングコンデンサを換えるのであれば、jensenのコンデンサが端整でキリっとした音でしたね。
手軽に交換できる真空管をいろいろ試してみるのがお薦めです。
ご教示ありがとうございました。
教えていただいた6N23Pですが、キットに付属されていた真空管が6N23Pでした。
箱にECC88と書いてありTRONAL製なのでベルギー製だと思い使わずに取っておいたのですが、なんと昨日見てみるとCCCPと6N23Pの表示がありびっくりしました。
CCCPというとロシアというか旧ソ連製になるのでしょうか?
昨日までエイジングをして本日聴いてみました。(チャイコフスキー バイオリンコンチェルト)
たしかに6DJ8より高音はでているとは思いますが、6BQ7と比べると私の耳では差がわかりかねます。
6N23Pの下位モデル的な位置づけの6N1Pという球があり、コレがキリっとした音がします。
TRONAL管は確かに6N23Pですね。
同じ6N23Pでも製造工場や製造年によって構造が違っていたり勿論音も違うので識別が厄介です。
私のTRONALの球のイメージは、低域がふっくらしていて厚みがありまったりした暖かい音、といった感じです。
6ES8 / Zaerixもかなり鮮烈な音だったような記憶があります。
私が今常用しているのはテレフンケンのPCC88ですが、バランス型で整った音調かつ真空管らしい味もありお薦めです。
このKA-10SHなのですが、SR-404などのSTAXのイヤースピーカーのドライバーとして使用しても十分にその性能を引き出し得るでしょうか?
おそらく相性は良いだろうと思うのですが…
STAXのドライバー、特に真空管のものはあまりに高額で手が出せませんので代用できればと思い相談させていただいた次第です。
はじめまして。
残念ながら、STAXのヘッドホンは駆動方式が静電型なのでKA-10SHで鳴らすことはできません。
STAXのヘッドホンを使うためには静電型のヘッドホンアンプが必ず必要です。
このあたりがSTAXの気軽に使いにくいところなんですよね。
やっぱりそうなんですね、投稿した直後にまた少し調べてみたところ、自分がとんでもない勘違いを犯していることに気づきました。馬鹿丸出しの質問をしてしまい、申し訳ありません…
そこで、少し質問を変えさせていただいても構いませんか?実は今、STAXのSRS-4170を購入するか、現在所有しているK701にこのKA-10SHを買い足すか、で非常に悩んでおります。
改造することを前提として、また必要ならば後にヘッドホンのみ何か別のものに変えるなどすれば、おっしゃる通りSTAXにも決して劣らないような音を出すことは可能でしょうか?
ヘッドホン、イヤホン、アンプ、ヘッドホンケーブル大放出!ヘッドホンを売るのはコレが最後になりそうです。興味のある機種などありましたらお気軽にご連絡ください。よろしくです。
AKG
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