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スピーカー、ヘッドホンとオーディオアクセサリーのレビューをメインとしたオーディオブログ。感じ取れ音楽!
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s-PICT0065.jpg型番:MS-1(MusicSeries-One)
メーカー:ALESSANDRO
タイプ:開放型ヘッドフォン
インピーダンス:32Ω
感度:100dB
再生周波数帯域:20 - 22,000Hz
プラグ形状:φ3.5ステレオミニ
コード:1.7m、Y型
重量:約200g



GRADOのOEM製品。イヤーパッドはGRADOお馴染みのラージパッドではなくフラットパッドで装着感が良いです。人によると思いますが、私はザラザラした質感のラージパッドよりもフラットパッドのほうが長時間使用できます。標準はミニジャックとなっていますが、変換プラグが付いているので問題ないでしょう。ハウジングが金属製でも木製でもなくプラスチック製のため、いつも以上に見た目が安っぽくオモチャのようで、正直100円ショップにオモチャとして並んでいても違和感はないでしょう。

s-PICT0077.jpgメインシステムで試聴したところ、MS-1の基本性能の低さ(特にレンジの狭さが強く影響)から環境側の性能に追従出来ず、様々な部分で音が破綻してしまうため、あえて「作業用PC⇒SE200PCI⇒19AQ5単管・ステレオヘッドフォンアンプ(ALL付属ケーブル・足場無視)」という環境で試聴しました(この環境のほうがバランス良く音がまとまり、良さを発揮できると判断したため)。真空管の球にはWE408Aを選択、スッキリと音を引き締め低域にキレを出し、高解像度な中高域で明瞭さを出し、カラっとした抜けのよいアメリカンなサウンドを活かすのが目的です。結果、性能の低さを感じさせずに上手く鳴らせるようになりました。

音質傾向は過去聞いてきたヘッドホンの中から選ぶならGRADOのSR-325がよく似ています。音抜けが良く開放的、典型的なGRADOサウンドと言える元気の良い鳴りっぷりです。SR-325がエレキトリックでキレキレなイメージがあるのに対し、MS-1は内に秘めたナチュラルエナジーとラフさがあり、ほんのりと「暖かみ」や「響きからくる僅かなふんわりした土臭さ」を感じます。細かい音の説明は不要、高解像度?ワイドレンジ?そんな概念を吹っ飛ばす陽気で楽しい音を味わえるヘッドフォンです。この音を文章で表現するならば、「雲ひとつない青空の下、短パンタンクトップ裸足にスニーカースタイル、こんがり焼けた小麦色の肩の上にラジカセ担いでノリノリでロックを聞く、そんな状況をヘッドフォンひとつで再現!」これで十分でしょう。

得意ジャンルはストレートなロックンロールやパンクロック。AC/DCなんかは最高に合います。綺麗な音で聞こうと思うことが邪道、音の粗さを長所に変換し、耳横サウンドはダイレクト感抜群!団子な音はLIVE感満点!と考え、機器直結上等環境度外視無造作大歓迎なラフヘッドフォン、それがMS-1です。タイプ的にジャズも悪くはないのですが、どうしてもチープな印象が付きまとうのでジャズは生々しい音を出せるGS1000まで飛びたいところです。ただ、GRADOのヘッドフォン全般で言えることですが、生楽器、特に弦楽器の表現力は秀逸で、これはMS-1も例外ではありません。オーディオにおける難関のひとつ「低域の解像度」という点でMS-1は妥協せざる得ませんが、中高域の弦楽器表現を見ると価格以上のものを必要十分に持っているように思います。

s-PICT0074.jpgさて、まとめということで少し冷静に評価してみます。バランスはフラット。ワイドレンジ、厚みのある音の環境になればなるほどMS-1の性能制限により上下が出ない、弱くなるためカマボコ型にスライドしていきます。よって高性能環境での使用はバランスが崩れるのでオススメしません。情報量はそこそこ、レンジは狭いです。解像度は値段を考えると高いです。解像度に関しては標準のフラットパッドでずいぶん損をしているように感じます。ラージパッドやGS1000用イヤーパッドに変更することで改善されますので、「もうすこし高解像度にしたい」という場合にはイヤーパッドの変更が効果的です。ただ、この音の粗さこそが特徴だと思うので、標準パッドのほうがMS-1の個性を出せているように個人的には思います。また、GS1000用パッドでは音場が多少広がり、これでもか!という耳横サウンドではなくなり空間に余裕が生まれます。マイナス要素として捉えるならばダイレクト感が減少すると言えるでしょう。多少音が緩めなので環境側でピシっと締めてあげたほうが上手く鳴らせるのではないかと思います。調整すれば締まってパンチ力のあるタイトな中低域になるので、「緩さ」は気にするような問題点ではありません。ただし、SR-325ほどのキレ味は見せてくれませんし、高域を見てもSR-325ほどの鮮烈さはありません。しかし、良くいえば全体のバランスが良く、Voを含めた全体を楽しめる鳴り方です。音の出だし、消え際にメリハリがありSR-325同様の縦ノリサウンドなのも特徴のひとつです。

他のメーカーでは味わえない独特のGRADOサウンドをお手軽価格で体験できるハイコストパフォーマンスなヘッドフォン。ヘッドフォンの面白さを教えてくれる入門機として、スパイラルへの先導役として存在する憎いやつです。音が鋭くて痛いとか、低域が不足しているとか、高域がキンキンしているとか、線が細いといったことがなく、癖が少なくてある意味中庸なバランスの取れた音なので、そーいった意味でも入門機としてオススメできます。

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0fc8c768.jpeg型番:K340
メーカー:AKG
タイプ:密閉型ヘッドフォン
インピーダンス:400Ω
感度:94dB
再生周波数帯域:16 - 25,000Hz
プラグ形状:φ6.3ステレオ
コード:カールコード
重量:約385g

※生産完了モデル

 



装着感は悪くはないのですが、重量が重くて疲れます。コードは4極きしめんコードをカールしたもの。ダイナミック型とコンデンサー型のハイブリットという極めて珍しい色物ヘッドフォンです。STAXのように専用ドライバを必要とせず、普通のダイナミック型と同じようにフォンジャックに挿すだけで使用可能。400Ωのインピーダンス、94dBという低能率のため駆動力の高いアンプを必要とします。

 

4e60f344.jpeg1978年製とずいぶん古い機種ですが、古代機種の中では高性能な部類に入ります。バランスは僅かにハイ上がり。まず最初に言っておくべきは「AKGらしくない音」であること。AKGの最大の特徴である「繊細なイメージ」はありません。低域は静電型のように広範囲で鳴るタイプではなく、ある程度制動の効いたダイナミック型らしい低域。レンジ的に最低域まで伸びきらないので重さはありませんが、静電型では絶対に感じられない圧力、弾力を感じられる点はK340のダイナミック型である部分を感じさせてくれます。中域から高域にかけては非常に鮮烈。分離感が高く音ひとつひとつの輪郭が明確。情報量が多くて解像度も高く、細かな音まで鮮明に描き出します。特にクラシックの交響曲でよくわかるのですが、広い空間で楽器の位置がハッキリとわかる様は、ハイブリッド型の良さを上手く活かせているように思います。銀で出来た砂が流れるような煌びやかな高域はハイブリット型の賜物でしょうか。高解像度、エッジが立っているにも関わらず角が無く、主旋律だけでなく高域の響きからくる緊張感まで感じられます。音の立ち上がりの速さですが、高域がキビキビしているのと比較すると低域側は多少もたつきを感じます。この影響もあって低域、中高域で鳴り方が区切られたようなイメージが無くもないのはハイブリット型であることの代償と言えそうです。音場は広く、密閉型にして開放的、低域はハウジングを利用した低域、高域は抜けが良いといった感じで適材適所に良いとこ取りしています。音色は基本的に色付けなしで艶っぽさが付加されてるとか音が柔らかいといった印象はありません。響きもアッサリ目で素のままといった印象。かといって全体の印象がアッサリかと言えば全く逆で、密でそこそこ厚みのある中域、そして鮮やかな高域。

得意ジャンルはクラシック、ジャズ。低域のことを考えると中高域重視の楽曲のほうが合性がいいでしょう。「コンデンサー型らしい音を楽しめるのであればSTAXでいいのでは?」と言われたならば、「圧のあるコンデンサー型らしい音はK340ならでは」と答えます。トランペットやサックス、ドラムで言えばハイハットの細かな表現、このような高域寄りの楽器との合性が抜群に良く、余計な響きが乗ることなく「生」の良さを味わえる音だと感じます。この素の良さを大事にする点はAKGらしいと言えそうですね。

afc1d47f.jpeg現代の多くのハイエンドヘッドフォンと比べれば決して高性能とは言えませんが、ダイナミック型っぽいコンデンサー型の鳴り方をする音という特徴は唯一無比にて最大の強み。単純に貴重な古代機種としてコレクション目的で所有するには勿体無く、複数のヘッドフォンを使い分ける人であれば音質の面から見て所有する価値が十分にあるように思います。構造からして「キワモノホン?」と思わせておいて音は普通に良いヘッドホンです。特に耳をくすぐるような高域の表現力は一聴の価値あり。日本国内での流通はほぼ皆無ですが、海外のオークションではちょくちょく見かける機種なので、興味のある方は是非チャレンジしてみてください。
 

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1ee20f75.jpeg型番:K290 soround
メーカー:AKG
タイプ:
インピーダンス:150Ω
感度:dB
再生周波数帯域: - Hz
プラグ形状:
コード:6m
重量:270g

※生産完了モデル


s-PICT0045.jpgK290 Soround、何とも奇妙な実験的機種で、4chヘッドフォンという風変わりな構造になっています。本来はswitchboxと呼ばれる専用の機器(たまに海外オークションで見かけます)に接続して鳴らすと思うのですが、switchboxを所有していないため今回は普通にヘッドフォンジャックに挿して使用しています。そのため、サラウンド効果が出ているのかどうかは謎です。そもそもswitchbox使用時にサラウンド効果が得られるのかどうか自体が謎に包まれていますが・・・

s-PICT0043.jpg基本性能は正直低いです。しかし、古い機種なのである程度は致し方ないでしょう。バランスは中低域寄り。低域はそこそこ量感があって、ボワつかず適度に締まっていて弾力があって面白いです。量というよりはズムリとした質感で聞かせる低域だと言えそうです。中域~低域にかけては厚みがあり濃い音を聞かせてくれます。高域はAKGのヘッドフォンで一貫して感じられる繊細な質感を持っていますが、この機種は繊細というイメージはあまり受けません。それよりも、全体の厚みのある音のインパクトが強く、加えて温もりや艶っぽさを感じられるような音をしています。独特の音の広がり、そして独特の音場感を持っています。妙な感覚で、上下前後に物理的に広さを感じます。音の立ち上がりはそこそこ速く、低域からノリ4e6ee232.jpegの良さを感じられます。間違いなく高域の質感はAKGサウンドなのですが、モリモリした低域や分厚いサウンドはAKGらしからぬ印象を受けます。現行のAKGのDJモデルのように、繊細でありながら量を増やしたような音ではなく、質の面でグっと肉厚な音作りなため明らかに別モノです。極めてわかりにくい例えになってしまいますが、何が似ているかと言われればK240 Sextett 二代目が一番近いように思います。このような音が昔のAKGのスタンダードだったのかもしれませんね。そーいった意味でK290 soroundは非常に興味深い機種の一つです。

日本では滅多に見かけませんが、海外オークションではよく見かけるように思います。今のAKGとは違った音を聞くことができるので、興味のある方は購入してみるのもありでしょう。switchboxと一緒に使用した時にどのような鳴り方をするのか興味があります。

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cb42df02.jpeg型番:K701(No.37891)
メーカー:AKG
タイプ:開放型ヘッドフォン
インピーダンス:62Ω
感度:93dB
再生周波数帯域:10 - 39,800Hz
プラグ形状:φ6.3/φ3.5ステレオプラグ
コード:3m
重量:235g

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 側圧は若干強め、ヘッドバンドが硬めでカチっとした装着感。イヤーパッドも固め、もう少し気持ちの良い装着感を目指して欲しいというのが正直なところ。 頭頂部が痛くなります。ケーブルの太さ、柔らかさは問題なく取り回しは良い部類。開放型ということもあり盛大に音が漏れる点は注意が必要でしょう。

まず、このK701というヘッドフォン、おそらく感度の低さが影響してか「非常に鳴らし難い」です。環境追従性がどうのとか、音量が取りにくいという意味ではなく、単純に「本来の鳴りを引き出すためにパワフルなアンプが必要」ということです。例えばローインピーダンス用、ハイインピーダンス用とフォンジャックが分かれて用意されているようなアンプで鳴らしてあげるとよいでしょう。鳴らし難いヘッドフォンは数多くあると思いますが、しっかり駆動できている時とそうでない時の音の差がこれだけ大きい機種は珍しく思います。

s-PICT0040.jpg基本性能は同価格帯と同等。解像度、情報量、レンジ感、どこを見ても特に弱点と感じる部分はありません。バランスはフラット~僅かにカマボコ型。低域は緩いと感じることはなく、「緩みの無い豊か路線の低域」といった感じ。量的には多いとは言えないので豊かとは言えませんが、方向性としては豊か路線です。質は多少薄めで軽く、最低域まで重く沈み込むタイプではないので、軽やかに音楽を聞きたい時には非常に適しているように思います。中域は若干量が多め、音がスーっと広がり魅力的な中域を持っています。個人的にはK701の最大の魅力は中域にあり!と感じます。中~高域にかけてはAKGらしい繊細さに加え、鋭さの無い綺麗な音色に整えられています。SENNHEISERのような美音系繊細さではなく、ガラス細工のようなクリアーな精彩さ、細い体の隙間を縫うように駆け巡る凛々しさを持った繊細さです。全体感の強い鳴りで、どこかコンデンサー型の鳴りが頭を過ぎることもあるでしょう。この影響もあって、細く繊細でアッサリした音でありながら全体感の強い安堵感のある音がベースとなっています。一見両立し得ないように思う要素が見事に一体となった完成度の高い音となっています。音場感が優れており音が遠くまで170e004a.jpeg広がっていきますが、過剰に響きが乗っているという印象は一切ありませんし、開放型らしく閉鎖感の無い鳴りをする点は開放至上主義者には朗報かと思われます。音色は何系と言われれば美音系に入るとは思いますが、薄くマスキングをかけて粗を隠して綺麗に見せる的な美音で、スモークによる演出のような薄くふわ~っと幻想感を纏ったような美しさで心地良いです。音の立ち上がりはまずまず、とりあえずモタついて遅いと感じることはない程度、決して速くはありません。同価格帯であり同じ開放型として頻繁に比較されるHD650と比べると、HD650が洗いたての猫、K701がその後ブルブルして水分を飛ばした猫みたいな感じでしょうか。似ていると言えば似ていますが、同系統でありながら重厚系、アッサリ系という区別ができます。

得意ジャンルはクラシックで低域を必要とする楽器の入っていないもの。特に弦楽器を繊細に聞きたい時にはピッタリです。基本的にアッサリした音なので、あまり迫力(パワー)を必要とするものやVoモノ(肉声)などには向いていないように思いますが、逆に繊細さを活かしてこそのK701、個人的にはジャンルを問わず、小音量で深夜にストレスフリーにBGM的に聞くときなどには重宝する機種だと思います。「線の立った繊細な高域」はAKGの専売特許です。

s-PICT0039.jpgK701は全体感強めの鳴りでふわりとした幻想的な味付けがあるため、癒し系ヘッドフォンを求めている人が対象になるヘッドフォンだと思います。決して元気な、パワフルな、快活な、カッチリした、そんな音のヘッドフォンではありません。落ち着いていて華奢で可憐、落ち着いた音が好きだけど重苦しいのは苦手、といった人にお薦めのヘッドフォンです。惜しむらくは頭頂部の痛くなる装着感、これで装着感が良ければ・・・そう、DT880を思い出します。音の傾向から導き出される用途的にも似ているのではないでしょうか。地味な色のヘッドフォンが多い中、白いヘッドフォンというのは貴重で、明るく華があって個人的には有りだと思います。デザインは微妙ですが・・・

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s-PICT0078.jpg型番:ATH-ESW10
メーカー:オーディオテクニカ(Audio-Technica)
タイプ:密閉型ヘッドフォン
インピーダンス:45Ω
感度:102dB
再生周波数帯域:5 - 35,000Hz
プラグ形状:φ3.5金メッキステレオミニ
コード:1.2m、Y型
重量:約170g
付属品:ポーチ

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s-PICT00831.jpg装着感は普通。耳乗せタイプのイヤーパッドなので装着感が良いということはありませんが悪くもありません。頭頂部は痛くならないですし、耳も痛くならず長時間使用していても問題ありません。夏はイヤーパッドが蒸れそうな点は注意が必要そうです。ケーブルは細くて取り回しは良し、コンパクトで軽量、ポータブルヘッドフォンとして優れているように思います。

一聴して「普通に良い音」です。AH-D5000で「ずば抜けた美味さは無いが80点ぐらいで美味しくて、いつも満員のラーメン屋」といった表現を使いましたが、ATH-ESW10もタイプは違うものの全く同じ印象を持ちました。全ての要素で100点は取れないけど全てが平均的に高得点なバランス型ヘッドフォンです。

s-PICT0075.jpg基本性能は相対的に見て価格を考えるといまいちですが、価格を無視してポータブルヘッドフォンという観点から見ると最高レベル。ポータブル用途でコレ以上の基本性能はオーバースペックと言えるぐらい必要十分に高性能です。ポータブル用途で使うのであれば解像度、情報量に関して不満を持つことはまず無いと思いますが、レンジ面は多少不満に感じる人がいるかもしれません。特に低域は「もう少し低いところまで出てくれれば」と個人的には感じます。

ATH-ESW10の一番の特徴はバランス感覚に優れた整った鳴り方でしょう。上手く調整されていると思います。何が良いということもないのですが、不満な点を見つけるのが難しく、全ての要素が80点ぐらいの位置にあります。冒頭でも書きましたが「普通に良い音」で、この「普通に良い音」というのは数多くヘッドフォンが存在するにも関わらずなかなか無かったりするもので、意外と価値あるものなのかもしれませんね。

s-PICT0082.jpgさて、漠然とした表現ばかりでは埒が明かないので少し具体的な音の印象について述べていきたいと思います。バランスはフラット、低域から高域までバランスのよい量感。低域が強すぎることもなく高域が強すぎることもなく、中域が出すぎててカマボコ型なわけでもなく、全ての音域の量感がバランス良く鳴ってくれます。どちらかと言えば柔らかい質感の低域ですが、決して緩さやボワつき感を感じさせず適度に締まっているため、アタック感や躍動感も程よく感じられます。中高域はとても綺麗な音色で、オーディオテクニカらしい鮮やかで明るい、粗の無い綺麗な音を奏でてくれます。音場感はオーディオテクニカ特有の平面感のあるものですが、そこそこ響きと音の広がりがあるためそれほど嫌味には感じません。ハウジングの小ささを考えればむしろ音場感は良好と言ってもいいのではないでしょうか。音の立ち上がりの速さはまずまずで、特別速いわけではありませんが、そこそこノリの良さ、キレ、スピード感を感じられるぐらいに速いので、「モタつく」「遅い」といった印象は受けません。全体的には美音系に属するタイプの音色で、音の粗を出せるタイプではありません。なので、例えばギターのエッジ感など、音を鋭利的に、または粗さを伴った生々しさを表現することは不得意だと感じます。

得意ジャンルは小編成のジャズ、クラシック。機械的な音、無機質な音、打ち込み系、カリカリに音を詰めたようなソース(アニメソング等)よりも、自然さを大事にしたソースのほうが合性が良いでしょう。例えばロックでも少し古めのもの(80年代~90年代初頭)のほうが合うように思います。また、オーディオテクニカらしくVoが前面へ出てきてよく聞こえるので、Voモノを好む人には重宝されそうです。

ポータブル用途で高音質を求めるのであればオススメのヘッドフォン。漆塗りのハウジングも渋くてクールです。鞄に無造作に放り込んで使っていますが、見た感じ傷が付くということもなく意外に丈夫なようです。ポータブルヘッドフォンで見た目と音質の両方で満足させてくれる希少な機種ですね。

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05a456de.jpeg型番:Bose on-ear headphones
メーカー:Bose
インピーダンス:32Ω
感度:96dB
プラグ形状:Φ3.5mmステレオミニプラグ
重量:約130g
付属品:キャリングポーチ、入力ケーブル(110cm、40cm各1本)


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耳乗せ型ですがモチっとフィットする柔らかいイヤーパッドの素材が気持ちよく、また130gという超軽量により長時間リスニングに最適。ケーブルの細さ、取り回しの良さ、小型でシンプルなデザイン。ポータブル用途として高水準なデザイン、装着感、実用性を兼ね備えています。

b26c383f.jpeg基本性能は価格を考えると少し低め。1万円台でも優れた性能のヘッドフォンが数多くある中で、2万円オーバーでこの性能は残念でなりません。BOSEの機種は総じて価格設定が高めだと個人的に思いますが、「BOSEという世界的な一流ブランドのネームバリューが価格に付加されていると考えれば妥当な価格設定である」と自分を納得させることが・・・やっぱり高めですね。解像度は低め、レンジもそれほど広くありません。バランスはかなり偏った低域寄りです。これだけ低域の量が多いヘッドフォンはそうそうありません。良いか悪いかは別として、解像力が無いのに量だけ増やしたような、簡単に言えばブーストしたようなブワブワした低域が最大の特徴。低域に限れば自然さは皆無、人工的に弄った低域であるのは間違いありませんが、個人的にはこの強烈な低域の個性は「面白い」という意味で好意的に受け入れられました。低域の量が多い点以外は以外に普通で無難な音作りをしています。音場はどちらかと言えば狭いですが、程よい響きを持っているのでそれほど狭い、又は耳横サウンドといった印象はありません。エッジは若干丸めで柔らかく、素の音ではなくて若干ではあるものの艶っぽさを色付けされたような音色、聞きやすさを重視して調整したような鳴り方、音色をしています。全体的な印象としては低域寄りで高域側は抑え目で落ち着いた聞きやすい音のヘッドフォン。大多数のソースでは低域過多だと感じますが、中にはgoodバランスだと思える鳴りをすることがあるので、そんなソースを探してみるのも一興かもしれません。

s-PICT0034.jpgBose on-ear headphones、低域の量が多すぎるだけに、環境やソースによって大きく印象が変わってきてしまいます。どういうことかと言えば、単純に解像度が低い、分離感が弱く全体感の強い鳴りをする環境で鳴らした場合、低域が支配的で他の帯域を邪魔してしまいます。また、低域がブワブワとして全体的に曇ったような音になってしまうのもマイナスポイント。しかし、ある程度高解像度で分離感が強めの環境で鳴らしてあげると、低域がこれだけ強いにも関わらず中高域は非常にアッサリとしていてクリアー。驚く程に低域が中高域を邪魔せず、ブースト低域と繊細な中高域が見事に分離してくれる点は驚かされます。それでも低域の量感が多いことには変わりありませんので、「低域の量感重視」な人向けなヘッドフォンだと思います。

得意ジャンルは無し。低域の量感が欲しい人向けのヘッドフォンです。量は多いものの、ローエンドまで低域が延びるわけではないので注意。質ではなく量で勝負するタイプです。

低域を拒否するか受け入れることができるかで大きく評価がわかれそうですね。ハイエンド機種を複数所有している人のほうが逆に「面白い」という意味で個性を受け入れることができるのではないかと漠然と思います。明らかに低域が不自然、低域出すぎ、加えて解像度低い、レンジ狭い等々頭ではわかっていても、不思議なことについつい聞き続けてしまう「どこか普遍的とも言える聞きやすさ」を持った音だと感じるのはBOSEマジックでしょうか。私の味覚の好みで例えるならば「美味いとは思わないのに無性に食べたくなる時がある天下一品のラーメン」みたいなヘッドフォンです。

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s-PICT0019.jpg型番:K240 Sextett(無印)二代目
メーカー:AKG
タイプ:セミオープン
インピーダンス:600Ω
感度:94dB
再生周波数帯域:18 - 20,000Hz
プラグ形状:6.3φステレオ
重量:約295g

※生産完了モデル




 

無印K240、通称Sextettの二代目になります。Sextettという呼び名はパッシブラジエーターが6つある(電子回路が無く6つの小部屋にパッシブ振動板がある)ことから由来しており、パッシブラジエーターの色でSextettの初代、二代目、三代目を区別することができます。一代目はオレンジ色、二代目は真ん中が白色で周りがオレンジ色、三代目は白色。また、ヘッドバンドは初代は穴あき、二代目は穴あきと穴なし、三代目は穴なしとなっています。同じSextettでも初代~三代目は全て音が違うようで、初代のほうが低域重視、三代目は現行のAKGのようなアッサリ傾向にあるようです。二代目はその中間といったところでしょう。

9992f560.jpg古い機種にも関わらず、高性能かつ神がかり的なバランスの良さと音楽性を持った機種です。基本性能は古い機種ということを考えると驚くほど高いです。多くの古代機種で悩まされるのが基本性能の低さなのですが、K240 Sextettは群を抜いて高性能だと感じます。多少レンジの狭さは感じますが、そんなことを忘れてさせてくれる音楽性の高さを持っています。バランスはピラミッド型。しっかりと低域が出ており、中域は埋もれることなく前へ出てきて、そして高域はAKGらしい繊細さをもって鳴ります。低域は引き締まっていて量があり、厚みがありつつダンピングの効いた良質なもの。バフッっとした空気感を感じる低域はGRADOのRS-1以上の機種(RS-1,PS-1,GS1000,PS1000)を連想させられ、この空気感は低域だけでなく全体で感じられます。中高域はよく音が響き広がり、空間の広さを感じる鳴り方をします。高域はAKGらしい繊細さを持っており痛さは皆無、サラサラとした質感で綺麗で美音。注目すべきはこの価格帯ではまずあり得ない超高速な音の立ち上がりの速さを持っていることです。それこそ最先端のハイエンド機種と比較しても遜色ありません。おそらくこの音の立ち上がりの速さが高い音楽性の一番の原因だと思われます。ノリが良いのは勿論、細かな音の流れを滑らかかつ明確に描き出すため、そこからくる微妙なニュアンスの表現力の高さは素晴らしいものがあります。強い空気感と立体的な音場感も素晴らしく、ビシっと音を分離するタイプではなく臨場感を感じさせてくれる全体で鳴らすタイプに属し、「音の響きを大事にして音が作られているなぁ」と感じます。緩みなく音は引き締まっていてカッチリ系にも関わらずカッチリした印象がなく、逆に柔らかさを感じるような「どこか懐かしいアナログ感」を体験することができます。音色面の味付けはほぼ無く、作られた音楽性ではなく素の音の良さをそのまま出しているようなイメージで、このあたりも含めてK1000に通じる音の方向性だと感じました。

得意ジャンルはLIVE音源。空気感が強く臨場感重視、LIVEの雰囲気を再現するのが大変上手いと感じます。基本的にカッチリ系で素の音を出すので、艶やかさを求める場合などには向いていませんが、艶やかさとは違った意味でアナログ感からくる優しさを感じさせてくれる音なので、これはこれでVoモノ等にも合うように思います。

9fef4707.jpg私は意識しているわけではないものの、どうしても高性能な機種を好む傾向があります。そんな私が初めて性能を度外視して好きになったヘッドフォンです。日本国内ではなかなか見る機会のないヘッドフォンですが、海外市場では意外に数が多く、しかも低価格で流通しています。購入して損はないどころか、むしろ是非手に入れて欲しいヘッドフォンだと思います。「こんな古いヘッドフォンからこんな音が出るのか!」といった感動を味わえると思います。Sextettに限らなければ、K240 DFを探すのもいいでしょう。こちらのほうが数が多く、また値段も安いので入手難易度は低いです。K240 DFであれば日本国内でもしばしば目にする機会があります。最後に、K240SextettはK1000並に音量がとりにくく、強力なアンプで鳴らす必要があるので注意してください。

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s-PICT0046.jpg型番:HD414
メーカー:SENNHEISER
タイプ:開放型ヘッドフォン
インピーダンス:600Ω
感度:94dB
再生周波数帯域:20 - 20,000Hz
プラグ形状:6.3φステレオ
重量:約74g

※生産完了モデル


1968年に発売された世界初の開放型ヘッドフォン。現在は生産されておりません。音を一言で表現すると、「ふんわりとした刺激の無い心地良いサウンド」。つまり、この頃からSENNHEISERサウンドはしっかりと確立され、今に至るまで脈々と受け継がれているということです。流石に古い機種なので基本性能の低さは否定できませんが、SENNHEISERサウンドが好みの人には是非一度聞いてみて欲しいヘッドフォンです。

装着感は普通。じんわりと耳にタマゴを押し付けているような感覚が常にありますが、特に耳や頭頂部が痛くなるということはないので長時間リスニングに耐えることは可能。なにより重量が軽いのが嬉しいですね。ケーブル交換が可能ですが、ドライバの性能が低いだけにハイエンドケーブルに交換しても伸び白が全くと言っていいほど無いのであまり意味を成しません。

00441133.jpg解像度の低さとレンジの狭さが目立ち、基本性能は低いと言わざる得ません。バランスはカマボコ型。低域は総合的に見て弱く、量は少なめでとりあえず「鳴ってるだけ」といった低域で、ビシっと締まっている印象もありませんが、緩いということもなくバランスのとれた質感。中域が支配的で高域も目立ちませんが、繊細で痛さが無く聞きやすい高域はSENNHEISERらしさを感じます。低域と高域で共通しているのがレンジの狭さからくる質的な面からくる説得力の無さでしょう。低域はどうしても軽くなってしまいますし、高域も伸びないので存在感が弱くなります。GRADOのような耳横サウンドなのですが、ふわっと音が広がるため音場感がそこそこ良好だと感じます。また音の抑圧感が無い点はいかにもSENNHEISERといったところ。音量を絞ってふわ~っと聞くと心地良い、そんなタイプのヘッドフォンです。音量を上げると中域の押し出し感が強まってくるので、Voメインで聞きたい人には好材料となりそうです。最後に、全体のイメージとしてはふわ~っとしているのですが、音の立ち上がりがそこそこ早くてノリが良いので、アップテンポな曲でも上手く対応できます。

s-PICT0042.jpg基本性能が低いので高性能なオーディオシステムで鳴らす必要性が全くありません。むしろ、例えばポータブル環境で弱点である低域の量感の無さ等を補って鳴らす(低域の強いPHPAを使う)、といった方法をとったほうが良さを発揮できます。個人的にはポータブル向けのヘッドフォンだと思いますが、物凄い音量が取り難いのでPHPA必須、また開放型のため音が漏れる、更に外で使うには勇気のいるデザイン。消去法で結局家でイージーリスニング用途・・・難しいところです。

音質面から言えば「手軽にSENNHEISERサウンドを楽しみたい人」にオススメ。ですが、入手難易度の面から言うと手軽ではありません。ブラックカラーの再販モデルは稀にオークションに出ているので狙ってみるのもいいとは思いますが、所有満足度を満たすためだけの自己満足機種といった感は否めませんので、音のことだけを考えるのならば他の機種を購入したほうが賢いでしょう。ただ、冒頭でも書きましたが、SENNHEISERの音が好きであれば、現代機種には無い魅力を見出すことができるかもしれません。

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s-PICT0001.jpg型番:Edition9
メーカー:ULTRASONE
タイプ:密閉型ヘッドフォン
インピーダンス:30Ω
感度:96dB
再生周波数帯域:8 - 35,000Hz
プラグ形状:6.3φステレオ
コード:oehlbach製 3M
重量:約310g

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★アンバランス接続

 

Edition9を正規リケーブル(AUDICTIVE社製ケーブル+NEUTRIK製コネクター)したものです。Edition9バランスに変換ケーブルを接続してアンバランス接続で鳴らしているため、「リケーブルしたEdition9のインプレ」として読んで戴けたらと思います。ノーマルケーブルとAUDICTIVE社製ケーブルの音質の違いということになり、バランス接続でのインプレではない点にご注意ください。

Edition9で高域の伸びに不満を抱いている人はどれほどいるのでしょうか。高い環境レベルを構築できている人であれば、Edition9の高域のレンジの限界を感じているはずです。この高域方向へのレンジ感が私がEditino9で唯一と言っていい不満な部分でした。細かいことを言えば音場感等も不満ですが、このあたりはEdition9の個性だと捉え、むしろ歓迎し受け入れていた部分です。音の立ち上がりの速さはもう少し・・・とは正直思います。

33aa0575.jpg結論から言いますと、Edition9バランスでは見事に高域方向へもしっかり音が伸びるようになっています。この改善だけでも個人的には十分満足なのですが、その他にも数多くの改善点があります。まず単純に基本性能の向上。まずはレンジ感、低域方向へも更に伸びるようになりますが、低域は元々定評のある高品質なものを持っているので、やはり低域よりも高域方向への改善っぷりのほうが目立ちます。しっかりと高域が出るようになったことで、超低域から超高域までをダイナミックに鳴らしきり、表現力の幅が一段と広がっています。次に解像度、Editino9ノーマルが濁ってモヤモヤしていると感じるほどに高解像度になります。この高解像度による改善効果は中高域よりも低域にあると感じます。オーディオシステムにおいて難題である低域の解像度を更に向上できた点の評価は個人的に非常に高いです。Edition9の重く実体感の強い低域がますますビッシバシに引き締まり、加えて制動力も抜群。レンジ感と解像度に比べるとそれほど大きく変わりませんが、情報量も多少増えてより密な空間、実のある音となります。量感バランスはEdition9ノーマルと同様にフラット傾向ですが、低域が引き締まり、高域が量的にしっかり出るようになったため聴覚上微妙にではありますが高域寄りへシフトしたように感じます。中域がグっと前面へ出てくるようになり、むしろフラット傾向が強まったとも言えそうです。制動力が増して音が締まり、全体のモヤモヤが削ぎ落とされ、スッキリしつつも恐ろしいまでの音の実体感を持ったリアルな音、手に取るように目の前に立体的に浮かび上がる音像を生み出します。コレ以上無いというぐらいの音像型ヘッドフォンでありながら、Edition9ノーマルと比較すると音場が全方位で広がり、頭内の狭い範囲でEdition9ワールドを形成していたEditino9ノーマルとは違い、スケールの大きさを感じさせる音場感となっており、箱庭的な鳴りのイメージは一掃され、逆に自然な鳴りで臨場感を感じるほどです。音場の中では特にある意味弱点であった上下方向の空間の広さも改善されており、よく音が落ちてくるようになった点も見逃せません。Voが近くで聞けるようになった点もVoを大事にする人にとっては大きな改善点となりえるでしょう。そして、少し物足りなかった音の立ち上がりの速さに関しても見事に改善されており、ノリの良さを上手く引き出せるようになっています。

8ba1b8ec.jpgどこか優等生的な鳴りをしていたEdition9ノーマルとは違い、メリハリ感がありスタイリッシュ、超高解像度とワイドレンジで突き抜けた性能の高さを直球で感じさせてくれるヘッドフォンとなっています。カリカリに性能を追い込んだ結果、それがより自然な鳴りと音を出すことに繋がったイイ例のように思います。Edition9らしい音像感を更にパワーアップさせつつ、対極とも言える臨場感、自然な鳴りまでも手に入れてしまった隙の無い音。非公認の改造を除き、メーカー公認の製品としては間違いなくダイナミック型No.1の性能を持っていると断言します。リケーブル恐るべし。そして、Edition9ノーマルでケーブルがボトルネックとなっていることが判明しました。来出せるはずの音をケーブルによって制限されてしまっているので、自作でも良いのでリケーブルに挑戦してみてほしいと思います。

問題なのは本領発揮させるために高い環境レベルを要求することでしょう。高性能なアンプで鳴らさないとEdition9ノーマルとの差があまり出ません。正直m902程度のアンプ(含む総合的な環境レベル)では情報量、解像度、レンジ感、全てにおいて役不足です。ハイレベルな環境であればあるほどEdition9ノーマルとの違いがハッキリ出るはずです。と言うより、バランス仕様なので素直にバランスアンプで鳴らすのが賢明だと思われます。ハイエンドと言われるヘッドフォンの音の世界から更に一つ二つ先へ行ってみませんか?好み云々は別にして、上には上があることを実感できるのは貴重な体験になると思います。


★バランス接続

バランス駆動だと音がビシっとする。

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s-PICT0066.jpg型番:AH-D7000
メーカー:DENON
タイプ:密閉型ヘッドフォン
ハウジング:天然木(マカボニー材)製ハウジング
ドライバー:φ50mm、ネオジウムマグネット
再生周波数帯域:5 - 45,000Hz
インピーダンス:25Ω
感度:108dB
質量:370g
ケーブル長:3.0m(両出し)/7N-OFC線
プラグ:3.5φ金メッキステレオ標準プラグ
付属品:拭き布 1枚

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AH-D5000同様に神の装着感。オーディオテクニカがウィングサポート形式で素晴らしい装着感を実現しているのに対し、こちらはスタンダードな形で装着感を極めています。側圧バランスが絶妙で、長時間使用していても全く頭頂部が痛くならず快適です。ケーブルの取り回しが悪いということもありませんが、若干太いので取り回しが良いとも言えません。

AH-D7000の音を一言で表すなら「大人サウンド」でしょう。AH-D5000ほどではありませんが、落ち着きのある音の部類に入ると思います。しかし、ノリの良さや躍動感、レンジの広さといった要素から、全体的なイメージとして「地味」といったマイナスイメージは皆無で、むしろ安堵感、安定感、安心感といったプラスイメージが支配しますし、落ち着きのある音の範囲内で鮮烈さや鮮やかさもしっかり表現できています。

e8242654.jpg解像度、情報量、レンジ感といった基本性能は非常に高く、同価格帯、つまりトップクラスのヘッドフォンと比較しても恥ずかしくない性能を持っています。バランスはドンシャリ、低域は実体感が強く重さと弾力を兼ね備えたゴムボールのような質をしており、キレよりも重さ、深さ、実体感、説得力で勝負するタイプ。重いという枠の中でキレがあると言ったほうがいいかもしれません。広範囲でビシっと締まる質の低域ではありませんが、広範囲ながら決してボワつくことがなくズムズムとした弾力感と躍動感が気持ち良いです。高域にはAH-D5000でも感じられる若干の張りとシャリつきのある独特の癖があり、この癖のおかげで高域が埋もれることなく存在感をしっかり感じさせてくれます。初めはシャリつき感をほとんど感じませんが、エージングが進み高域の量がしっかり出るようになり、レンジ面でも高域方向へ伸びるようになってくるとシャリついた癖が出てきます。AH-D5000と同様の高域の癖ですが、解像度が上がって不自然さが減少したことでより全体へ自然に溶け込んでおり、加えてレンジが広く高域方向へよく伸びるようになっているため、高域の存在感がグンと増しています。結果的にAH-D5000譲りの弦楽器の表現力の高さを更に高めてくれているように感じます。音場感はソースに忠実、という言い方が最も適切でしょう。まず漠然とヘッドフォンそのものの特性として若干遠めで音が鳴りますが、それ以上にソースに忠実に、言い換えればソースによって大きく音場の特に前後感が変わってきます。非常に遠くで鳴ったり、間近で鳴ったり、言葉通りソース次第です。これは定位感が優れていることも関係しているように感じます。さて、その定位感ですが、これほどビシっと音像が定まる機種は稀で、量感ある低域でありながらビシっと定まる制動力は「強力」という言葉がこの上なく相応しく、コレはAH-D7000特有の強みの一つだと思います。後に詳しく述べますが、明確なハッキリとした音場を形成し、AH-D7000の懐の中で、AH-D7000の庭の中で鳴らす、といった印象を強く受ける点はedition9を思わせます。AH-D5000と比較した時に、個人的に最大の改善点だと感じたのが音の立ち上がりの速さ、言い換えれば応答速度の速さで、この点が改善されたことによりノリの良さを出せるようになり、淡々とした感じが綺麗サッパリなくなっています。この改善の効果は大きく、単純に音楽そのものを楽しく聞けるようになっています。AH-D5000とAH-D7000を比較すれば、応答速度の重要性、ノリの重要さを痛感できることでしょう。総合して見てみると、単純に基本性能の高さからくる音のリアリティ、伸びる低域と高域、実体感のある低域、中高域の解像度の高さ、適度な音の広がりと響き、優れた定位感、ハスキーさから艶やかさまで柔軟に対応できる音色。なんとバランスの取れた、そして安定感のある、安心できる高音質、そう感じる人が多いはず、と思わずにはいられません。あまりにも「普通に高音質」なため、ハイエンド機種で毎度感じさせられる強烈なインパクトはありませんが、スルメのようにジワジワとくる凄みを感じさせてくれる機種です。

s-PICT0064.jpg得意ジャンル、と言うよりも基本的には落ち着いた曲を得意とします。派手さ、明るさ、といった陽のイメージの曲では特別良さを引き出せないようにも感じますが、何でも当たり前のように高音質で鳴らせるので苦手は無いといったほうが適切でしょうか。低域が強い楽曲で低域過多になると思われるかもしれませんが、太い低域をガッチリと制動するパワーを持っているので、緩みのない凄みのある低域となってくれます。あえて得意ジャンルとして挙げるならば、個人的にはジャズが得意だと感じます。低域の質的に相性抜群なのは言うまでもありませんが、高域の癖が金管楽器の張りであったりハスキーな要素を絶妙な匙加減で引き出せているように思います。低域ばかりにどうしても目がいってしまいますが、低音楽器が使われていないクラシック等、中高域をメインとした楽曲もまた魅力的で、中高域の解像度の高さを存分に引き出し、細かな音まで凛々しく鳴らしてくる様、中域の音の広がり、繊細かつ芯のある高域、コンサートホールの最上段、ビップルームで達観して音楽を聞くような、又は優越感を味わえるかのような鳴りも見せてくれます。オールラウンドっぷりはヘヴィーメタルまで上手く鳴らせることからも見て取れます。量感がありつつもキレのある低域、ジャギっとしたメタリックな質感を出せる高域、音の立ち上がりの速さからくるスピード感もあり、見た目からは想像できませんがヘヴィーメタルが得意と言ってもなんら問題ありません。

音色の面で環境追従性は高いとは言えず、ある程度固定的なAH-D7000の音色を維持するのに対し、基本性能及び鳴り方そのものは大きく環境の影響を受け、環境追従性が高いと言えます。わかりやすい例を出すならば、真空管アンプを使用した時のような全体感、臨場感重視で鳴らした場合と、半導体アンプを使用した時のような分離感、定位感、音像重視で鳴らした場合で、それぞれの特性が素直に鳴り方として出てきます。個人的には音像重視なセッティングで鳴らしたほうがAH-D7000の良さを出せるように感じます。その良さとはガッチリと決まる定位感、及び音の分離感。その定位感の良さからくる音像と音像の距離感による音場の形成。認識しやすい、又は把握しやすい、「この広さの空間で演奏されている」とハッキリとわかるような確立された音場を作ることが出来る点はAH-D7000の強みであり、これはedition9での音場形成の特徴とよく似ています。AH-D7000を臨場感重視のセッティングで鳴らした場合、音が重なり混ざり、空間の見通しが悪くなり、個人的には相性が悪いと感じます。おそらく音の太さ、そして響きの範囲が広く、尚且つ音のエネルギー感が強いため、音の調和の点に関してはあまり得意ではないのが原因だと思われます。臨場感重視の鳴り方を得意とするATH-W5000GS1000等とは違い、edition9タイプの鳴り方をするので、臨場感重視のヘッドフォンと使い分けるのであれば、二つのアンプ、二種類のセッティングを用意するのが理想でしょう。

s-PICT0070.jpgAH-D5000と似ているようで当たり前ですが別物です。AH-D5000の延長上の音であることは間違い無く、解像度、レンジ感、情報量といった性能面が大きく向上し、強力な制動力と定位感、ノリの良さを手に入れたAH-D5000といった感じです。インピーダンスが低いにも関わらず、パワーのあるアンプを使用しないと良さを発揮できません。音量を上げるほどにAH-D7000がいかに優れているかがわかると思います。このような理由から、バランス仕様にすることでAH-D7000の特徴をもっともっと出せるようになり化けるのでは?と予想できるのでいつの日かやってみたいですね。個人的な感想になりますが、AH-D5000がAH-D7000に勝っていると思える部分はありません。あえてAH-D5000の利点を挙げるならば、利点と言えるのかどうかは人それぞれだと思いますが「緩さ」でしょう。AH-D5000のほうがゆったり感が強いです。ビシバシキレキレのATH-W5000を太らせたような音なので、もしATH-W5000と使い分けるならば、ホッソリとフットリで使い分けが可能です。いずれにせよ、典型的な密閉型の鳴り方であり音なので、密閉型が嫌いな人には合わないと思われます。また、再三書いていることですが、制動力が強く緩み無くガチっとしており、音の太さで目立たなくはなっているものの、どちらかと言えば硬質で柔らい音ではないので、ふわりとした心地良さを求める場合に最適とは決して言えません。このような要素を求めるのであれば、柔らかさや暖かみを感じさせてくれるGS1000を選択するのが良いと思います。まとめると、まず第一に密閉型の音が好きであり、厚み、太さのある音でありながらビシっとした音が好きな人にオススメなヘッドフォンとなります。今までありそうで無かったタイプのヘッドフォンですね。

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