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スピーカー、ヘッドホンとオーディオアクセサリーのレビューをメインとしたオーディオブログ。感じ取れ音楽!
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s-PICT0049.jpg型番:Beats by Dr.Dre
メーカー:Monster Cable
タイプ:ノイズキャンセル型ヘッドフォン
再生周波数帯域:20 - 20,000Hz
感度:115dB
質量:260g
ケーブル長:3.0m(片出し)
プラグ:3.5/6.3φステレオ

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ノイズキャンセル型ヘッドフォン。ノイズキャンセルをONにしていないと音が出ない不親切設計は残念でなりません。ノイズキャンセル機能をONにしている時は僅かにホワイトノイズが発生するため、家で静かに音楽鑑賞するときには向いているとは言えず、主戦場はやはり外出時となります。

筐体はプラスチック製、ピアノ面仕上げで見た目上の安っぽさは感じられませんが、指紋がベタベタ付くのが困りものです。イヤーパッドはモチモチしており、耳をスッポリ覆うのでフィット感が良好。重量も軽くガッチリと固定され、アウトドアでの使用に最適でしょう。しかし、あまり長時間つけていると頭頂部が痛くなってきます。

s-PICT0055.jpg基本性能は価格(約$350と地味に高い)を考えるともう少し頑張って欲しいというのが正直なところですが、ノイズキャンセル型ヘッドフォンとして考えるのであれば妥当、健闘していると言える基本性能を持っています。流石にハイエンド機種と比較すると解像度の甘さ、帯域の狭さを感じますが、値段を無視すれば必要十分な性能でしょう。まずレンジ感ですが、高域方向へは気持ちよく音が伸びるのと比較すると低域方向は少し苦手で、最低域まで出しきれない点は不満に感じる人もいるかもしれませんが、それほど問題視する必要は無いと個人的には思います。解像度の甘さは特に生楽器による音源において顕著に現れ、音の粗さ、雑味を感じることがありますが、価格からしてあまりハイレベルな基本性能を求めるのは酷でしょう。おおよそ同価格帯のヘッドフォンと同等、少し劣るぐらいだと考えて問題ありません。バランスはフラット。低域と高域が特徴的なため一見ドンシャリ傾向に感じますが、中域がしっかりと出ているため全体を見ればフラットだと言えます。低域は締まっていて膨らまず、ダムダムとした質感でダンピングが効いていてキレがありノリの良さを引き出せています。特に「打力」「音圧」の強さが特徴的で、ダンダンダンダンと打ちつける実体感の強さはHD25の低域を凝縮させたかのようです。HD25との低域の質の比較をもう少し詳しく述べるs-PICT0048.jpgならば、HD25よりも音が締まっているため、押し寄せるような音圧はHD25に劣ります。しかし、締まっているぶんだけ密でグっとくる低域になり、打音の弾みっぷりはHD25以上のものがあります。中高域は非常に癖の強い音色、鳴り方で、人工的な艶と人工的な響きを伴います。おそらく、初めてBeats by Dr.Dreの音を聞いたときには誰もが「作られた音」だと違和感を感じると思われます。揺らぐように心地良く音が広がり、まるでエコーがかかっているかのようです。しかし、不思議かつ面白いもので、この中高域の音の張り、艶、響きはソースによっては神がかり的に好印象を与えてくれます。全体的に厚みがあり密な空間を形成し、エネルギッシュでパワフル、音ひとつひとつにしっかりとエネルギーが乗っていて太く、それでいて聞きやすさ、心地良さも持っています。メリハリをつけるべきところではピシっと音が張り、柔らかく表現したいところでは響き豊かにふわりと鳴らします。音は近くで鳴り、音場そのものは広くありませんが、独特の音の広がりを持っているため音場の狭さはあまり感じません。良いこと尽くしのようで人工的な音が良し悪しの分かれ道となるキワモノヘッドフォンですね。

得意とするジャンルは打ち込みのみ。何故だかわかりませんが、打ち込みにおいてのみ気持ち悪いぐらいに良さを発揮します。生楽器演奏で感じる性能面の弱さも感じなくなり、低域の質感であり特徴、幻想的に綺麗に響き満ちる高域、間近でよく聞こえるVo、抜群のノリの良さ、最高に打ち込みとの相性が良いです。相性が悪いのは生楽器全般。人工的で不自然な音色と鳴り方が生楽器の「生っぽさ」を殺してしまい、リアリティに欠け無機質な音になり、また性能面の弱さも表面化してきます。RS-1GS1000のように生楽器を得意とするヘッドフォンと比較するとよくわかるのですが、常に音が修正補正されているような違和感が付きまといます。

s-PICT0051.jpg似たような音を出すヘッドフォンとなると思い当たる機種がなく、あえて例えるならば「メリハリを効かせて聞きやすい音になったDJ1PRO」といったところでしょうか。人工的な音である点も共通していますし、生楽器が苦手で打ち込み特化である点も同様です。何度も言いますが、これほど上手く鳴らせるジャンルが限定されているヘッドフォンはそうそうありません。打ち込みにのみターゲットを絞って調整したかのような特化型ヘッドフォンです。当然打ち込みをメインで聞く人にオススメです。キワモノホンなので試聴してから購入したいと誰もが思うでしょうが、日本国内では発売されておらず、海外から輸入するしか入手する術がないのが難点(現在は日本国内でも販売されており、一大勢力となっています)。

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s-PICT0037.jpg型番:SRM-007tA
メーカー:STAX

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型番:SR-007A
形式:プッシュプル・エレクトロスタティック・イヤースピーカー
再生周波数帯域:6---41,000Hz
感度:100dB/100Vr.m.s. 入力/1kHz
標準バイアス電圧:580VDC 
コード材質:幅広低容量6芯平行コード
コード長:2.5m、PC-OCC
重量:365g(本体のみ)

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装着感が良く何時間使用しても痛さ、疲れはありません。見た目とは裏腹に重量が軽く、首が疲れることもなく快適です。ラムスキンのイヤーパッドのフィット感は良好ですが、蒸れやすい点は注意が必要でしょう。奇抜さの無いシンプルなデザインは「余計な装飾はいらないのだよ」といったオーラを発しており、ヘッドフォン界の王者として十分な貫禄を漂わせています。価格相応の高級感に溢れ、所有欲を満たしてくれるように思います。

s-PICT0041.jpg以下は「SR-007A + SRM-007tA」でのインプレとしてご覧ください。おそらくドライバー(やその他環境)によって鳴り方が変わってくるはずです。今回は欠点だと感じる要素を環境側の調整で改善し、「SR-007A + SRM-007tA」の組み合わせにおいての音の方向性での完成度を限りなく突き詰め、納得できる音質にした状態でレビューしましたので、「これだけの音が出せるポテンシャルを持っている」といったニュアンスで読んで戴けると幸いです。決してドライバーをポン置きでこのような音が出るわけではないのでご注意ください。トランスポートからDACまではダイナミック型ヘッドフォンのシステム(まみそのオーディオ環境参照)と同様です。

まず初めに、「SR-007Aはヘッドフォンにあらず、イヤースピーカーである」といった印象を持ちました。音量が上がっても、音数が増えても、コンデンサー型ヘッドフォンはダイナミック型ヘッドフォンを含めた上で相対的に見たときに音圧が弱く、この特性に加え、SR-007AはSRS-4040と比べると音場が広く、と言うよりは音が遠いため、耳への負担が更に弱いです。まるでスピーカーで音楽を聞いているかのような間接的な音楽鑑賞の感覚を「音の感じ方」の面で味合うことが可能で、これはダイナミック型ヘッドフォンではどうあがいても実現不可能な鳴り方であり、コンデンサー型ヘッドフォンの最大の強みであり弱みでもあります。そして、これがコンデンサー型ヘッドフォンを好むか嫌うかの分かれ目でもあります。そのため評価が真っ二つに割れる可能性が高く、好きな人はとことん好き、嫌いな人は受け付けない鳴り方をする、そんなヘッドフォンだと思います。

s-PICT0035.jpg性能は総じて高いと言えますが、部分的に見ると物足りない部分もあります。現在では高性能なダイナミック型ヘッドホンがいくつも存在するため、性能面においての優位性が大きいとは断じて言い切れない現実があります。とは言っても、超低域から超高域まで余すことなく出し切るレンジの広さは流石の一言に尽きますし、解像度、情報量共に高いレベルにあります。しかし、「どこまで細かな音まで知覚しやすいか」といった少し斜めからの見方をするならば、SR-007Aはそれほど高い能力を持っているとは言えません。これは、音にエネルギーがしっかりと乗り、微小音でも独立し主張感の強いダイナミック型ヘッドフォンと違い、コンデンサー型ヘッドフォンでは全面で鳴る傾向が強いため、微小音の実体感であり存在感が弱い傾向があるからでしょう。このような理由から、コンデンサー型ヘッドフォンは微小音まで余すことなく全て感じとりたい場合、または全ての音を手に取るように知覚したい場合にはあまり適したヘッドフォンとは言えないのかもしれません。この特徴について別の捕らえ方をしてみるならば、全体で鳴る傾向が強いコンデンサー型の鳴り方があるからこそ、統一感のある自然なサウンドだと言えそうです。ただし、これは真空管を使用したSRM-007tAでの音であることを忘れてはなりません。ドライバーをSRM-727Aにしたならば、各音の輪郭が明確になり主張感が強まり、また違った表情を見せてくれることでしょう。

s-PICT0032.jpgバランスはフラット。ただし、低域と高域の存在感が強いため、感覚的にはフラット~ドンシャリに感じます。低域は質、量共に素晴らしく、ダイナミック型ヘッドフォンと比べれば実体感やエネルギー感、音圧の弱さを感じるのは否定できないものの、「深さ」「重さ」「濃さ」をこれでもかと出せる濃密かつ深く沈み込む説得力のある低域です。グっと凝縮された低域に緩さは感じず、程よくアタック感、実体感も感じられます。最大の特徴であり利点はGRADOのヘッドホンのような空気をたっぷり含んだ「LIVE感溢れる低域」を聞かせてくれる点でしょう。また、実体感が強いとは言えませんが存在感の強さは高く評価したいところです。加えて、全体で言えることですが、音の立ち上がりが非常に高速なため、このような重く質量感を感じる低域でありながらキレがありハイスピード感を味わえる低域となっています。勿論「SR-007A + SRM-007tA」が持つ響きを活かした豊潤さは言うまでもなく優れており、この特徴はLIVE感を出すための重要なピースであることは疑いようもありません。中域は存在感抜群の低域に負けることのない濃密さと厚みを持っており、音が空間に満ち溢れ、情報量の多さを存分に味わうことができるでしょう。臨場感重視で全体感が強いため、音に包まれるような、もしくは音にどっぷりと浸かるような感覚で音が鳴ります。ストレート、直接的に音が飛び込んでくる感覚を味わえるタイプのヘッドホンではありません。高域は果てしなく伸びきり刺激とは無縁。基本的に繊細だと言って間違いは無いのですが、SRS-4040と比べるならば、エネルギッシュで音のエッジも感じられ、SRS-4040のような綺麗一辺倒ではなく多少粗さも表現できます。とは言っても、音の粗の表現が苦手なのは確かで、なんでもかんでも綺麗に鳴らしてしまう点はコンデンサー型ヘッドフォンの利点であり欠点でしょう。音のエッジ、粗さ、鋭さ等の表現力はダイナミック型ヘッドフォンに比べれば劣ると言わざる得ません。これは高域でのスリリングな緊迫した緊張感、雑味からくる荒々しい野性的な躍動感などを出せないことに繋がり、特にロック、HR/HMといったジャンルの良さを殺してしまっているように思います。

全体の鳴りの方向性としては臨場感重視、ホールで聞くような鳴り方をします。「場」の雰囲気をこれほど忠実に再現できる機種は他にないと言ってしまっても過言ではないでしょう。場の再現性は、「これぞコンデンサー型の真骨頂!」と思わず拍手をしたくなるほどです。音をハッキリと分離せず、全体の音の繋がり、音の調和を重視した鳴りであるのはSRM-007tAの真空管による影響が強く出ているのかもしれません。この全体で聞かせる臨場感重視の鳴りはSRS-4040と同様です。また、全域に渡って歪み感が皆無で、体にスーっと浸透してくるような聞きやすい音なので、心地良く音楽を聞ける部類に入ると思います。反面、躍動感、ダイナミズムを出すのは苦手としているようで、音の抑揚をあまり感じられるタイプのヘッドフォンではありません。これはSRS-4040でも同様で、コンデンサー型ヘッドフォンの特徴なのでしょう。開放型らしい抑圧の無い綺麗に音が広がる音場を形成し、全体的に全ての音が少し距離をおいて鳴るように感じます。全面で鳴る傾向が強いため、上下前後左右あちこちから音が鳴るような立体感を出すのは苦手なようです。響きは適度、過剰に響きが乗ることはなく、響きに味付けとして艶が付くこともなく極めて自然でニュートラルな音色、響きを持っています。

s-PICT0044.jpgコンデンサー型ヘッドフォンの音が好きな人であれば何でも気持ちよく聞けると思います。しかし、私の正直な気持ちを書かせてもらうなら、クラシック及びLIVE音源以外では使う気にはなりません。極端な言い方になってしまいましたが、言い換えれば、それぐらいクラシック音源との相性に特化しているということです。SR-007Aの良さは優れた臨場感、言い換えればその「場」の雰囲気を上手く伝えてくれること。臨場感を発揮させるという目的のためであれば、分離感の弱さ、音圧や力感の弱さといった欠点が利点へと好転し、加えて超微小音まで知覚しにくいという点も、むしろ臨場感という視点から見れば自然かつリアルだとも考えられます。LIVEで細かな音まで注意して聞いている人がいるでしょうか、LIVEとは場の雰囲気、全体の一体感を感じられるのが醍醐味だという考え方があってもいいように思います。一方、スタジオ録音の音源ではSR-007Aの魅力は半減してしまいます。何でもかんでも綺麗に鳴らしてしまい音の粗さを出しにくいため、ロックやジャズには合わないように思いますし、実体感や力感、エネルギー感のことを考えると打ち込みとの相性にも疑問が出てきます。また、ボーカルモノであるならば、音が近いSRS-4040のほうが良いでしょう。

まとめに入る前に、SR-007A、環境側の影響を強く受けるヘッドフォンのようです。つまり、環境によってはレビューの内容とは異なる音が出ると言い切れます。それは今回私が欠点だと感じた部分の改善が十分可能であることを意味し、逆に言えば私の環境では出なかった新たな欠点が出てくる可能性も含むわけです。自分にとってベストだと思える鳴り方を環境側で調整して探してみて欲しいと願います。

s-PICT00382.jpgヘッドフォンの終着点と考えている人も多いであろうSR-007Aですが、コンデンサー型ヘッドフォンということでダイナミック型ヘッドフォンの延長と考えてはいけません。なぜなら、根本的に鳴り方が異なるためです。最大の利点であり欠点であるのはやはり力感、エネルギー感、音圧、実体感の弱さでしょう。わかりやすい例えを出すと、プログレッシブロックのタイフォンというバンドのアルバムの中で、自然音である雷の轟音が鳴り響く部分があるのですが、ダイナミック型ヘッドフォンであれば体に電気が走るかのようにゾクゾクビリビリと身震いするかのような感覚を味わえるのに対し、コンデンサー型ヘッドフォンでは音がスーっと体に染み込んできてしまいます。音の実体感が弱く、音圧が弱く、エネルギー感が弱いのが原因です。初めに書いた「SR-007Aはヘッドフォンにあらず、イヤースピーカーである」という表現がコンデンサー型ヘッドフォンの全てを物語っているように思います。コンデンサー型ヘッドフォンは一見癖がなく無難なようで実はとても個性的な音なのではないか、とも思います。なにしろ鳴り方そのものが特異ですから。そういった理由から、あまり万人にオススメできるようなヘッドフォンではないと個人的には思います。要試聴、この鳴り方が好きな人であればこれ以上のヘッドフォンは存在しない、それだけのクオリティーを持った最高峰のヘッドフォンです。絶対的にダイナミック型ヘッドフォンと音が被ることが無い貴重な音を出せるヘッドフォンですので、STAXには末永く製造し続けていって欲しいものです。

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s-PICT0018.jpg型番:HD25-13 Ⅱ
メーカー:SENNHEISER
タイプ:密閉型ヘッドフォン
再生周波数帯域:16 - 22,000Hz
インピーダンス:600Ω
感度:120dB
ケーブル長:3m
プラグ:3.5/6.3φステレオ
質量:約140g



HD25-13 Ⅱ(及びHD25-1 Ⅱ)では旧シリーズと付属品に違いがあります。新たに追加されたのはベロアイヤーパッド(布製イヤーパッド)、ヘッドフォンを収納する袋、オーディオプレイヤーインストールCDの3つ。旧シリーズのイヤーパッドも入っているので、2種類のイヤーパッドを好みに合わせて使用できるようになっています。付属のケーブルですが、線材の材質がHD25-1とは違ってOFC-Cableになっており、長さも1.5mではなく3m、プラグは6.3mm標準ジャック(3.5mmへ変換可能)です。その他スペック面の詳細を書いておくと、感度が120dB(HD25-1及びHD25-13は105dB、HD25-1 Ⅱは120dB)、インピーダンスが600Ω(HD25-1及びHD25-1 Ⅱは70Ω、HD25-13は600Ω)となっています。ケーブルの材質の違いやインピーダンス、感度の違いは音質面への影響があると思われるので、HD25-1とHD25-13は勿論、HD25-1とHD25-1 Ⅱでも違いがあるのではないでしょうか。

装着感はHD25-1と全く同じ。良くも悪くもなくいたって普通。付属のベロアイヤーパッドに付け替えると蒸れの心配は無さそうですし、装着感も若干良いように感じます。

ファーストインプレッションは「ドイツ製のHD25-1に似た音だなぁ」というものでした。HD25-1(アイルランド製)特有の荒々しさ、荒削りな部分が抑えられ、ドイツ製HD25-1のように洗練されたピシっとフォーカスの合った音で、ボワつきが抑えられタイト、刺激もなく耳障りの良い聞きやすい音が出ます。詳細に述べるならば、全体的なキャラクターはアイルランド製HD25-1、細かな部分的な要素を見るとドイツ製HD25-1に似ているといった感じでしょうか。

s-PICT0020.jpg微妙な感覚的な違いではありますが、ドイツ製HD25-1が「フォーカスの合った音」で、チューニングの違いを感じさせるのに対し、HD25-13 Ⅱは「緩さを力で押さえ込んでいる」ように感じます。つまり、HD25-1(アイルランド製)と同じ鳴り方ではあるが、それを強制的にパワーでビシっと整えている、そんなイメージを持ちました。これがインピーダンスの差によるものなのでしょうか。ですから、全体的なキャラクターはアイルランド製のHD25-1に近く、ビシっとタイトになったのはインピーダンスの違い、刺激が抑えられ洗練された音だと感じるのはケーブルの材質の差が影響していると思われます。

ドンちょいシャリというバランスはHD25-1(アイルランド製)と同様ですが、全体的にまとまりがあって整った印象を受けます。低域は程よく締まりつつも量感があり迫力を出せるタイプ。HD25-1(アイルランド製)と比べると多少タイトになった分だけ暴れん坊な迫力は減少していますが、キレが増しスピード感を感じられるようになっており、HD25-1(アイルランド製)らしい重さのある低域でありながら、SR-325のキレを隠し味的に加味したような低域です。高域は繊細ではありませんが、刺激があるわけでもなく、HD25-1(アイルランド製)と比較すると微妙に色づけがあるように感じます。全体のバランスが良いのでVoもしっかりと聞こえてきます。音場は広いとは言えませんが、音が密集しているということもなく、それなりに音が分散して配置されていますし、程よく響きも感じられるので、空間が狭いと感じることはありません。基本性能は価格相応なので、ハイエンド機種の音を知っている人からすると粗っぽい、雑だと感じるレベルではありますが、HD25-1(アイルランド製)と比較すれば粗さが無いので多少高音質だと言えそうです。

s-PICT0016.jpg標準イヤーパッドとベロアイヤーパッドによる音の違いですが、ベロアイヤーパッドにすることによって迫力が減退し、その代わり音場感がずいぶんと改善され、開放的な鳴りとなります。また、高域が綺麗に伸びるようになったようにも感じます。ストレートな押し出し感と迫力、音圧を求めるなら標準イヤーパッド、迫力を犠牲にしてでもふわっと音が広がる感覚、広い空間を得たい場合はベロアイヤーパッドが良さそうです。装着感だけでなく、音質面でも二度楽しめるのでHD25-13 Ⅱ(及びHD25-1 Ⅱ)はお買い得感がありますね。

単純に聞きやすさという意味ではフラット傾向なドイツ製HD25-1には及ばず、アイルランド製HD25-1の量感バランスのまま若干聞きやすくした感じなので、打ち込みやロック等は特に上手く鳴らせるでしょう。

HD25-1(アイルランド製)と比べるとかなり鳴らし難い印象を受けました。パワーのあるアンプでしっかり鳴らさないと、なんとも弱々しくメリハリの無い淡々とした音になってしまいますし、音が纏まらずブワブワと散漫に広がってしまい聞けたものではありません。HD650より確実に鳴らし難いので、パワフルなアンプでの使用が絶対条件となります。

HD25-13 Ⅱの利点はパワーのあるアンプで鳴らした時にビシっと制動を効かせられる点でしょう。刺激が抑えられている、多少解像度が上がっている、といった点はHD25-13 Ⅱの利点というよりはケーブルの恩恵によるところが大きいでしょうから、HD25-13 Ⅱである必要はないと思われます。要するに、基本性能や音色面の変化であればHD25-1(及びHD25-1 Ⅱ)をリケーブルすることで実現可能です。

ハイエンドモデルにHD25のような鳴り方をするヘッドフォンは無いように思うので、ミドルクラスでありながら所有しておきたいと思わせる魅力を持った機種。HD25-1(アイルランド製)の緩みを押さえ込み、制動の効いたビシっとした音を求めている人は試してみるのもアリかもしれません。しかし、個人的にはHD25の魅力は荒々しさであり迫力だと思うので、HD25-1(及びHD25-1 Ⅱ)のほうが「個性」という見方をすれば魅力的だと思います。

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43786053.jpg型番:GS1000
メーカー:GRADO
タイプ:開放型ヘッドフォン
ハウジング:木製 (マホガニー)
再生周波数帯域:8 - 35,000Hz
インピーダンス:32Ω
感度:98dB
質量:325g(ケーブル含む) / 240g(本体のみ)
プラグ:6.3φステレオ

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装着感はGRADOという枠を超え、ヘッドフォン全体で見ても装着感が良いと言えるレベルにあります。耳をスッポリ覆うタイプのイヤーパッドなので、ザラザラしたパッドが耳を押さえつけることがなくなったのが幸を奏しているようです。重量も軽く快適な長時間リスニングが可能となっています。「K1000か!」ってぐらい音が盛大に漏れるので周囲の入念なチェックと音量に注意。

初期エージングは約20時間で終了。最初は擦れるような中高域でガサツなイメージが付きまといますが、20時間ほど鳴らすと美音へ変化します。同時に高域の刺激も嘘のように解消されます。低域も程よく締まり、全体のバランスが初期に比べると僅かにニュートラル方向へシフトし、全体のまとまりが出て安定感も増してきます。

gs10002.jpg基本性能は非常に高く、特に超微小な音まで滲まずぼやけることなく明確に鮮明に描き出す解像度の高さには驚かされます。情報量も多く密度感の高い空間表現となっており、密度感がありつつも開放型で抜けの良さを持っており、中高域はクリアーな印象。PS-1では若干不満のあった高域方向へも気持ちよく音が伸びていき、低域から高域までしっかりと音が出ているのでバランスが良いです。量感バランスは低域寄り~フラット。低域寄りであることは間違いないのですが、ソースによっては驚く程自然なフラットバランスでたいへん聞きやすいです。量感たっぷりで太く分厚く、そして柔らかく暖かみのある低域。『RS-1をパワーアップさせたような低域』と『 PS-1のようなLIVE感溢れる全体感を持った低域』を併せたような低域です。中高域は低域と比較すると量感は若干控えめで、解像度が高く繊細な表現力、時にサラサラという言葉が浮かぶ程に極小の粒子感までも感じ取れます。低域でどっしりとした全体の安定感を出し、クリアーな中高域で解像度の高さを見せるバランス感覚はATH-L3000を思わせます。全体的なイメージとしては柔らかく優しく暖かみのある心地良いサウンドで、基本的にRS-1の延長線上の音作りです。特に中高域の艶やかな美音には引き込まれてしまいます。音場感ですが、単純に場の広さという意味ではドライバを遠ざけたぶんだけ音が遠くから聞こえるようになって物理的に広くなった程度です。しかし、PS-1で感じられる抜群の臨場感を更に拡大したかのようなスケールの大きな臨場感による聴覚上での空間的な広がり、そして立体感はなかなかのもので、GRADO特有の耳横で鳴っているという感覚はあまり感じられません。音場音場とこだわることなく、GRADOの、開放型での、特有の「臨場感」を肌身で味わうのがGRADOユーザーの嗜みといったところでしょうか。

GS1000は高い基本性能によって細部の表現に長けていますが、edition9とは対照的に音像型よりも音場型に向いていると感じます。例えるなら、奏者一人一人の演奏をとにかく細かな音まで拾ってリアルに描き出すのがedition9。同様に細かな音まで拾いますが、それよりも全体的な場の雰囲気であり臨場感を重視したのがGS1000。そのため環境は音場型にセッティングしたほうがGS1000の良さを引き出せると個人的には思います。

s-P1010102.jpg美音系であるため、あまりストレートなパワフルさ、ガッツを必要とする音楽には合わないのではないでしょうか。また、GS1000はノリの質が鋭角的なキレ重視のノリではなく曲線的な揺らぐような気持ちの良いノリなので、アップテンポな曲よりもミドルテンポ以下のほうが相性が良いように思います。私的にはクラシックやジャズ、ポップスならば女性Voモノを魅力的に鳴らしてくれるヘッドフォンだと感じます。クラシックやジャズ等は臨場感重視で楽しめるので、ソロからオーケストラまで編成に関わらず上手く鳴らすことができますし、加えて低域から高域まで驚く程フラットで自然なバランスで鳴るのでとても聞きやすいです。対して打ち込みなのですが、GS1000の量感ある低域は問題ありません。しかし、密閉型のようなグっとくる溜めが弱く、空気感を伴う低域の質感、及びキレの質が影響して、どうしても生々しくと言うか有機的な音になってしまい、打ち込みとの相性が良いと言うのには抵抗があります。多少無機質ながらもガツガツ&ビシバシくる低域(edition9等)のほうが打ち込みに適していると私は思います。もちろんGS1000で打ち込みもアリですが、生楽器と比べるといまいち感があるのは否めません。言い換えれば、それだけ生楽器の表現力に秀でているヘッドフォンだとも言えます。クラシックやジャズ、LIVE音源などの良さを存分に引き出してくれるヘッドフォンです。豊潤な低域、気持ちよく伸びきる高域、そして極上の美音は素晴らしい弦楽器やピアノの音を聞かせてくれます。「うっとりするようなジャズなど聞くときには是非!」と言いたくなる機種ですね。

最初はGRADOらしからぬ鳴り方(主にイヤーパッドの違いが原因でしょう)から「こんなのGRADOじゃない・・・」と感じるかもしれませんが、慣れてくればRS-1の延長上に位置するヘッドフォンだと感じ、しっかりとGRADOしているので、RS-1が好きな人ならGS1000も好きになれるのではないでしょうか。このニ機種を使い分けるなら、気軽に音楽を聞きたい時はRS-1、どっぷり音楽に浸りたい時はGS1000。最初は違和感のあったGS1000ですが、最終的には「やはりGRADOはGRADOだった」と思わされました。

最後に、高域の痛さや線の細さといった要素が出るケースがあるようですが、これらの点は環境次第で改善可能だと思いますので、気に入らなかった場合、安易にGS1000を手放さず、少しセッティングを弄ってみて欲しいと強く願います。勿論同じ鳴り方でも人によって感じ方が違うので難しいところではありますが、私の場合高域の痛さは出ませんでしたし、線が細いという感覚は受けませんでした。また、キレをより強く引き出すこともできました。この場では具体的なセッティングの話は避けますが、是非いろいろ試してみて欲しいと思います。

GS1000に限らず、edition9でもATH-W5000でもそうなのですが、性能の高い機種はなかなか一筋縄ではいかない印象が強いです。それだけ潜在能力が高いということでしょうか。いずれも恐るべき音を秘めています。それを引き出してあげる作業もオーディオの楽しみのひとつだと私は思います。

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39a09c49.jpg型番:MDR-SA5000
メーカー:SONY
タイプ:開放型ヘッドフォン
再生周波数帯域:5 - 110,000Hz
インピーダンス:70Ω
感度:102dB
質量:260g
ケーブル長:3.5m(両出し)/6N-OFCリッツ線
プラグ:6.3φステレオ

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装着感は良好。重量が軽く、ヘッドバンドは幅広で頭頂部が全く痛くならないのは良いのですが、イヤーパッドが硬めで耳まわりがカッチリした装着感なのは少し気になります。見た目は近代的でクール、ある意味高級感を感じられます。

3c1ad688.jpg基本性能は非常に高いです。価格からは考えられない高性能ぶりで、総合的に見ればトップクラスのヘッドフォンに迫る基本性能を持っています。情報量や解像度、音の分離感も優秀なのですが、それ以上に帯域の広さが際立っています。特に高域方向への伸びは目を見張るものがあります。(正直嘘臭いスペックを疑っていたのですが、あながち誇大表示でもなさそうです。)バランスは僅かに高域寄りですがほぼフラット。低域は必要量出ていますし、締まっておりビシビシとアタック感のあるもので高品質。高域は繊細で気持ちよく伸びます。ダイナミック型で性能的な意味でこれほどの高域を実現していることに素直に感動。全体で見ると、味付けが無く素の音を聞かせてくれるヘッドフォンで、艶やかさや柔らかさ、演出的な響きといった味付けの無い音色。線は若干細めで芯がありカッチリした音、オーディオ的な音ではなくどちらかと言えば機械的な無機質な音です。無機質とは言ってもモニターライクなイメージは無く、独特のオーディオ的な味を持っていますが、このような味わいを持った無機質な音こそ本来のモニターライクと言える音なのかもしれません。高い性能に裏づけされた良い意味での「粗さ」を出せるヘッドフォンで、綺麗に聞きたい場合には適さないものの、ロックやメタル、ジャズ等ではギターやVoなどの音の粗さを実にリアルに表現できます。ジャギっとしたメタリックでエッジの効いたギター音、男性Voでの掠れによる緊張感を伴った声音を堪能することができます。この「音の粗さ」をリアルに出せる点がMDR-SA5000の最大の特徴であり利点、癖、味付けと言えるかもしれません。音場は明確かつ明瞭、響きから広さを感じさせるタイプではなく、定位感から広さを形成するタイプ。音場は広く優秀な部類に入ると思います。なかなか速い音の立ち上がりからキレが良く、キレの良さからくるノリの良さを持っています。

s-P1010136.jpg性能が高いので何でもそつなく高品質に鳴らすことができますが、音楽を聞く時にオーディオ的な要素(味付け)を求める場合には適さないヘッドフォンだと感じます。音の持つ「粗さ」を活かせる曲がMDR-SA5000の得意とするところではないでしょうか。個人的にメタルに適したヘッドフォンとしてPS-1SR-325ATH-AD2000editioin9HD25K1000がありますが、音の粗さでもってメタルの良さを引き出せるという意味でSA-5000はこれらの機種と肩を並べるメタルフォンだと私は思います。余計なオーディオ的な味付けのない素の音を出せるという意味ではK1000に似ているかもしれません。また、音場感が違いますが、パワフルさを抑えて線を細くしたATH-AD2000とも言えそうです。

s-P1010139.jpg一見味付けが無く癖の無いヘッドフォンのように見えて、「粗さ」や「高域の伸び」といった珍しい部分を魅力として持っている個性的な機種。なかなか使い難いヘッドフォンのように思いますが、環境とソースがはまるとカッコイイ音を鳴らしてくれます。基本的には癖の無い音であることは間違いないので、艶やかさや柔らかさ、豊かな響きなどといった要素を求める人には合わないでしょう。同時に心地良くまったりと音楽に浸りたい場合にもあまり向かないと思います。個人的にはATH-AD2000が音、性能、価格の面で良いライバル機だと思います。同系統の方向性に属するニ機種ですが、「粗さ」を求めるならMDR-SA5000、多少オーディオ的でパワフルさを求めるならATH-AD2000でしょうか。使い分けが十分可能なレベルで差はあります。

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304656e2.jpg型番:T50RP
メーカー:FOSTEX
タイプ:ダンプド・セミオープンRPダイナミック型
再生周波数帯域:15 - 35,000Hz
インピーダンス:50Ω
感度:98dB
質量:390g
ケーブル長:3.0m(片出し)
プラグ:6.3φステレオ

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装着感はなかなか良好。頭頂部にはパッドが付いておらずゴムが剥き出しなので、長時間付けていると頭頂部が地味に痛くなってきます。イヤーパッドは夏だと蒸れそうな点は注意。 

ダイナミック型ではない“RP”(Regular Phase:全面駆動型)タイプの振動板を採用しているヘッドフォン。ダイナミック型とコンデンサー型の中間、どちらかと言えばコンデンサー型寄りの鳴り方で、ダイナミック感、力感が弱く拡散的で響き豊か、全体感の強い鳴り方をします。鳴り方としてはUSTヘッドフォンと似たような系統に属します。

1b959116.jpg基本性能は価格なり~低め。特に解像度、音の分離感、帯域の三点が弱いと感じます。解像度が低く高域での音潰れが目立ち綿密な表現は不可能。全体的に音が粗くぼやけた印象になり分離感が弱く、各音像のフォーカス感が曖昧で散漫とした印象を受けます。低域方向、高域方向共に音が伸びず、帯域の狭さからくる窮屈さを感じ、同じ理由から躍動感も弱いです。バランスは帯域の狭さからどうしても若干カマボコ型にならざる得ませんが、細かく言うなら低域寄りのカマボコ~フラットで高域の量感が少し弱いです。低域は多少ぼわついており全体に馴染んでしまうような鳴り方ですが、量感はあるので低域が弱いと感じることはありません。角が無く柔らかいソフトな質感の低域。中高域は性能面を考慮しなければ非常に魅力的で、刺激が無くソフトで滑らか、芯が無くサラサラしており艶やかでふんわりとした心地良い音です。音場感は奥行き感が若干弱いものの、響きの豊かさから狭いとは感じさせず優秀な部類に入ると思います。全体で見ると意図的に作られたような癖が無く中庸な素の音なのですが、無機質ではなく逆に有機的な優しく温かな音で、モニターヘッドフォンでありながら音楽性に富んだヘッドフォンです。

得意とするのは女性Voモノ。空間に満ちるVo成分が心地良く、艶やかな音色が魅力的です。T50RPの範囲内でとても上手く鳴らしてくれます。女性Voモノ以外ではヒーリング要素の強い楽曲にも向いています。何でもそつなくこなせますが、微妙に地味で落ち着いた音調になるので、激しいロックやジャズなどを気持ちよく聞けるタイプのヘッドフォンではありません。クラシックは鳴り方的にはとても相性が良いのですが、「もっと低い音が出せれば」「もっと高い音が出せれば」といった勿体無さを感じます。

s-P1010142.jpg価格からして性能を求めるのは酷ではありますが、かなり性能面の不満は大きく、性能だけで見るとコストパフォーマンスは悪いでしょう。性能の低さが大きく足を引っ張っており、独特の鳴りの魅力を最大限に活かせず半減させてしまっています。しかし、通常のダイナミック型とは違った力の抜けた鳴り、響き豊かで拡散的、ふんわりとした幻想的な鳴りはT50RPならではの特徴であり、この点に特化していることがT50RPの売りだと思います。女性Voを楽しむという目的であれば、低価格モデルの中では一歩二歩リードしているのではないでしょうか。このタイプの鳴り方をするヘッドフォンは稀なので、高級機に慣れてしまっている人でも意外と使い道のあるヘッドフォンかもしれません・・・性能面に目をつぶれればの話ですが。この鳴り方のまま性能を引き上げることで数々の不満点がスッキリ解消されるように思うので、是非とも高性能なモデルも出して欲しいものです。鳴り方がツボにはまればコストパフォーマンスの高い面白い機種です。

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s-P1010148.jpg型番:AH-D5000
メーカー:DENON
タイプ:密閉型ヘッドフォン
ハウジング:天然木製ハウジング
再生周波数帯域:5 - 45,000Hz
インピーダンス:25Ω
感度:106dB
質量:370g
ケーブル長:3.0m(両出し)/7N-OFC線
プラグ:3.5φステレオ(6.3φステレオ変換プラグ付属)

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装着感は大変素晴らしく最高レベル、長時間リスニングでも快適です。頭頂部は痛くなりませんし、イヤーパッドもフカフカしていて良い感触。木製のハウジングはどこかノッペリした艶。ケーブルがHP-DX1000に似ていてそこそこ太さがあります。程よく柔らかさがあるので取り回しが困難と言うことはありませんが良くもありません。

この機種を一言で表すなら「Best of 無難」です。誰でも嫌とは感じ無いような、誰でも良いと思える音ではないでしょうか。「ずば抜けた美味さは無いが80点ぐらいで美味しくて、いつも満員のラーメン屋」みたいなヘッドフォンです。

f7361c01.jpg基本性能は同価格帯と比較すると少し落ちます。解像度と帯域の面で少し物足りなさを感じる人がいるかもしれません。バランスは低域寄りで良い意味でドンシャリ。低域は厚みと量感があり、全体にどっしりと安定感を与えてくれます。豊かで柔らかさがありつつも元気さを兼ね備えた低域で、HP-DX1000と同系統の低域と言っていいでしょう。豊潤で柔らかいイメージの低域とは対照的に、高域は量感が若干控えめで微妙にではありますが独特の癖があり、僅かにシャリシャリと言うか擦れるような感覚の特徴があります。シャリシャリとは言っても決して刺激があるというような悪い意味ではなく、良い意味で微妙に癖がつけられていると捉えてください。「低域に埋もれず負けないようにあえて少しだけ癖をつけて強調感を出しているのでは?」と私は感じました。この独特の癖のおかげでピンと凛々しく音が張り、弦楽器の音などを粒立ち良く表現してくれますが、人によってはVoの高域などで少し耳障りだと感じる可能性もあります。AH-D5000は量感あるマイルドな低域と少しピリリとした高域との絶妙な調和が魅力的だと感じます。全体的に見ると柔らかさや全体感、心地良さ、といったイメージが強く支配します。低域が量感を伴いそこそこ主張感があり元気系なのに対し、中高域は"秋の静寂な夜"と言ってしまってもいいほどに落ちついた鳴りのため、若かりし頃にスポーツで培ったパワーを低域で覗かせつつ熟年の渋みや落ち着きを中高域で出すという大人サウンドを、そして木製ハウジングを活かした柔らかな響きにより心地良いまろやかな音を奏でます。音場は前後左右に物理的な距離感があまり感じられず広いと言うのには抵抗がありますが、立体的な音場を形成し、聴覚上は強く意識しなければ狭いという感覚もありません。私的に欠点だと感じるのが音の立ち上がりの悪さです。悪いということはないのですが、音の立ち上がりが速いとは言えず、立ち上がりの速さからくるキレを出せるタイプのヘッドフォンではありません。そのためダイレクト感、ビシバシっとしたキレ、キレからくるノリの良さを出すことができないので、この特徴も影響してヘッドフォンのキャラクターがまったり系寄りになっているように感じます。ただし、音の実体感は程よくあるので、まったり一辺倒というほど極端ではありませんが、ヘッドフォンのイメージを総括するならやはり「低域寄りのまったり系ヘッドフォン」となります。

s-P1010145.jpgなにしろ無難な音作りですから、特に得意とするジャンルもなく、特に不得意とするジャンルも無いように思います。ジャンルで使い分けるのではなく、心地良く音楽を聞きたい時に使用すると良さそうに思いますが、程よく力感や実体感があるので心地良く聞きたい時限定と言うわけでもありません。ジャズ等ではグっとくる低域と独特の高域が相俟って落ち着きながらも潜在的なパワーを感じられる魅力的な音を聞かせてくれます。個人的には弦楽器を非常に上手く鳴らせるヘッドフォンだと感じました。なんだかんだ言っても、あまり気にせずに何でもこなせるヘッドフォンでしょう。

DENONらしい低域ベースの音作りなので良質な低音を求める人にとっては満足度が高そうです。性能面から見ると価格が少し高い気もしますが、この価格帯では最も無難で安全牌的なヘッドフォンだと思います。装着感を含め心地良さを求める人にオススメ。

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38fed66f.jpg型番:ATH-W100
メーカー:オーディオテクニカ(Audio-Technica)
タイプ:密閉型ヘッドフォン
ハウジング:北海道産アサダ桜無垢材
再生周波数帯域:5 - 30,000Hz
インピーダンス:48Ω
感度:100dB
質量:320g
ケーブル長:3.0m(片出し)
プラグ:6.3φステレオ

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※生産完了モデル



手のひらサイズのまんまるな木のハウジング。可愛らしく愛着を持てる形状です。装着感は最高レベル。オーディオテクニカのWシリーズはいずれも装着感が素晴らしいです。ただし、イヤーパッドが蒸れそうなのは注意が必要でしょう。プラグが木製なだけに留まらず、ケーブルまで茶色にし、「木」のイメージで統一されている点に妙に感心してしまいました。

c2967363.jpgちょっと古臭い音作りで、HiFiさを誇示するタイプではありません。このヘッドフォンを言葉で表すなら「ソフト」の一言に尽きます。バランスはフラット~中低域寄り。低域は低いところまで出ないので人によっては「軽い」と感じる可能性があるものの、量感はそこそこありニュートラルで質感的にはATH-W1000の低域に似ています。中高域は優しくふんわりとした音調で、エッジが柔らかく滑らかで耳障りの良い心地良い音。低域同様に高域方向への帯域も狭いようで、高いところまで出ず伸びないので、全体で見たときに音の抑揚感が弱く、若干ではありますが淡々とした鳴りに感じます。決して高いとは言えない基本性能がATH-W100の特徴の大部分を決定付けていると言ってしまっても過言ではなく、それほど高くない解像度により「粗さ」があるのですが、この「粗さ」を利点として活かせているヘッドフォンだと感じます。「粗さ」をふわっとした空気感、雰囲気に変換し、加えて「音の繋がり」、「柔らかさ」といった要素を引き出し、聞きやすさに繋がっているように思います。これぞ密閉型と言える響きを活かした音響的な鳴りで、響き成分が多いためかオーディオテクニカにしてはそれほど平面感は強くありません。また、「響き成分」と「粗さ」の相乗効果で全体感が強くマイルドな音調となっています。

人によって評価が分かれそうな音です。性能面の視点から見ると「ラジオみたいな音」と感じる人もいるでしょうし、音楽性の面から見ると「味わいのある聞きやすい音」と感じる人もいると思います。全体感が強く解像度もそれほど高くないので、高解像度、高い分離感などを求める人には向かないヘッドフォンだと思われます。逆にヘッドフォンに心地良さや聞きやすさ、性能からくるリアリティよりも「いかに気持ちよく音楽を聞けるか」を重視する人にはオススメしたい機種ですね。

得意とするのはソフト路線、アコースティックなソース。スロー、ミドルテンポのジャズや女性Voモノ、ムーディーな声やウッドベースなどを上手く表現することができます。あまり派手なもの、刺激の必要な曲、スピード感のある曲などには合わないように感じました。また、聞き疲れのしない音なので、BGM的に音楽を聞き流したい時にも良さそうです。

af6c45eb.jpg単純に性能だけで見た場合には魅力に欠ける機種かもしれませんが、「性能面に不満があっても、それ以外の部分で魅力を十分に感じる」という意味でRS-1と似たような部類に属するように思います。Wシリーズ内での話しになりますが、ATH-W1000やATH-W5000をHiFi的な要素を重視した音作りとするならば、ATH-W100は「木」のイメージを意識した「Wシリーズの王道をいく音作り」と言いますか、「味わい深さ」、言い換えるなら「音楽性」を重視した音作りのように感じます。確かにハイエンドヘッドフォンの高い基本性能あってこそのリアリティというのはありますが、チューニングの妙、感性に訴えかけるような味のあるアナログチックな音を体感できるヘッドフォンというのも魅力的なものです。

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b73f4387.jpg型番:HP-DX1000
メーカー:Victor
タイプ:密閉型ヘッドフォン
ハウジング:天然木無垢材
再生周波数帯域:4 - 30,000Hz
インピーダンス:64Ω
感度:102dB
質量:380g
ケーブル長:3..5m(両出し)
プラグ:6.3φステレオ

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装着感はそれなりに良好。大きなハウジング、ガッシリした造りで「装着してる感」は強いです。イヤーパッドが分厚く夏は蒸れそうな点と、ケーブルが太いので邪魔に感じることがしばしばある点が気になります。見た目は大きくて無骨、あまりスタイリッシュではありませんし、木製のハウジングは艶があるわけでもなく高級感はそれほどありません。

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性能を前面に出すのではなく、音楽性を感じることのできる非常に聞きやすい音を出すヘッドフォンです。性能を前面に出さないとは言え、土台として高いレベルの基本性能を持っており、縁の下の力持ち的な意味で性能の高さが活躍しているといった感じでしょうか。流石にトップクラスのヘッドフォンと比べると差を感じますが、そこそこの性能を持っています。バランスはフラット。若干低域が弱く、「中高域をメインで聞かせ、低域は全体的な雰囲気作り」といったバランスであり鳴り方です。あまりグっとくる説得力のある低域ではありませんが、量と厚みがあるのでそれほど不満には感じません。締まっているとは言えませんが、広範囲ながら程よく締まりがあり緩いという感じはありません。高域は癖が無く、音色は鮮やかなものの落ち着いていて優しさを感じます。刺激とは無縁のいたってニュートラルな高域。全体的に厚みがあり、程よい柔らかさや温かみを感じる音で、全体感が強くふんわりとした印象。HP-DX1000は音場感が独特なのが面白いです。遠くから音が自分に向かって出ている感覚を受けます。ヘッドフォンにおいて遠くから音が聞こえるという鳴り方は極めて特殊でしょう。この独特の音場感を「音場が広い」と言ってしまうのには違和感を感じます。「広い」と言うよりも私の感覚だと「遠い」という言葉のほうが適切で、遠くから音が鳴っていて結果的に距離感を感じ広さに繋がるといった具合でしょうか。大きなハウジングの見た目のままに、物理的に強引に空間の広さを作っているといった印象を持ちました。形成される音場そのものは特別広いわけではなくそれなりに広いといった程度ですが、立体感、響き、広がりがあり、空間表現は優れている部類に入ります。音の繋がり感、全体感の強い鳴らし方で、どちらかと言えば臨場感重視。そのため各音の独立感、際立ち感が弱く、ビシっと音を分離せず、直接的ではなく間接的に聞かせるタイプの鳴り方です。このような鳴り方により、音の響き成分に包まれるような感覚を受けます。この音に包まれるという感覚は同じ密閉型のMDR-CD3000でも感じられますが、音場の形成方法が全く違うので似ているようで似ていません。

「HP-DX1000は環境側の影響を受け難い」という評価がされているようなので、音の変化の大きい電源ケーブルを変更して検証確認してみました。強い特徴を持つBrack Label ⅡMuse-Cable AC、そしてこられと比較して格段に性能の落ちる付属ケーブルを付け替えて聞き比べてみましたが、確かにケーブルの持つ個性の差、性能の差の反映度は低かったです。しかし、若干鳴り方や質感が変わるのは確認できました。HP-DX1000は特に音色が極めて固定的なようで、全くと言ってしまってもいいぐらい変化しません。何十万、何百万と環境につぎ込んでもあまり意味がないという考え方をすると寂しい機種ですが、逆にお手軽システムでも十分ハイクオリティな音を出してくれるという考え方をすると非常に優れた機種だと思います。

cd0f399b.jpg得意ジャンルはジャズ。厚い低域によるウッドベースは豊潤で、全体的にふんわりした音で雰囲気重視、うっとりとしてしまいます。ゆったりした曲調のものが合うように思います。空気感を感じられるので吹奏楽器も非常に魅力的で、ジャズに限らずクラシックも心地良く聞かせてくれます。迫力、激しさやキレ、躍動感、刺激等を必要とする楽曲にはあまり合わないと感じます。ロックなどはいまいち。

音場感は独特ですが、音色や質感に癖や個性はあまりなく、自然で聞きやすい音。性能より音楽性を重視する人、心地良さや聞きやすさ、癒しを求める人に適したヘッドフォンなのではないでしょうか。少し価格が高いようにも思いますが、音楽性溢れる音が好きな人ならば価格以上の満足度を得られるでしょう。

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626e1850.jpg型番:ATH-AD2000
メーカー:オーディオテクニカ(Audio-Technica)
タイプ:開放型ヘッドフォン
再生周波数帯域:5 - 45,000Hz
インピーダンス:40Ω
感度:102dB
質量:250g
ケーブル長:3.0m(両出し)/4芯平行コード
プラグ:6.3φステレオ

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重量が軽く装着感は最高レベルにあるのですが、イヤーパッドの厚みが薄く耳が当たってしまうのが気になる人もいそうです。見た目は高級感は無いものの、洗練されていてクールですね。

s-P1010178.jpg一聴して基本性能の高さを感じられるHiFiな音です。トップクラスに迫る勢いの非常に高いレベルの性能を持っており、情報量、解像度、帯域共に満足度は高いです。バランスはフラット。非常にバランスのとれたヘッドフォンです。低域は低いところまで出ており、程よく締まっていてぼわつき感はありませんし、実体感やアタック感を感じられ好印象。高域は伸びが良く、鮮明で明確、ハッキリとした音で芯のある力強さを感じられる高域です。わかりやすい刺激は無いのですが、人によっては地味~に刺激的だと感じるかもしれません。全体的にメリハリがあり多少カチっとした音調で、柔らかさや丸さなどを強く感じるタイプではありません。開放的で音が抜けていく音場感、音は近くで鳴るものの、広さはオーディオテクニカにしてはかなり広く、平面感を感じ無い点も注目ポイントです。開放型のためオーディオテクニカのWシリーズほど響き感は無く程よい響き、音色は癖がなくノーマルで自然、艶やかなわけではないですが、艶やかでないわけでもありませんし、温度感が低く冷たい印象は無いものの、温かみのある音というわけでもなく、いたって普通、全てにおいてバランスのとれた中庸な音色であり質感です。音の立ち上がりがなかなか早く、キレがありノリが良く躍動感もあります。有機的な音ではなく、どちらかと言えばモニターライクな部類に入ると思いますが、全ての性能が高いので無機質さを感じるということはありません。  

s-P1010181.jpg 変な味付けがないのでどんなジャンルでも上手く鳴らせるように思います。ロック、ポップス、クラシックからジャズ、打ち込みまで何でもハイクオリティで楽しむことができるでしょう。ただし、Wシリーズと比較すると柔らかさや丸みに欠けるので、女性VoなどはWシリーズを使用したほうが良さそうです(逆に言えば男性Voに向いています)。中でも特に相性が良いと感じるのがロックやメタル、打ち込みです。特にヘヴィーメタルへの適正度が非常に高いと感じます。SR-325に匹敵、性能面を考慮するとSR-325を超えるメタルヘッドフォンではないでしょうか。スカスカ感はありませんし、明るいキャラクターで鮮烈な音でキレ味がよくノリも良し、音の立ち上がりが速く疾走感を感じられ、それでいて厚みがありパワー感を持っていますし、低域が締まっていてしっかり出る点、高域の特徴なんかはメタルにピッタリだと感じます。ただし、音楽を楽しめるという感覚的な観点から見るとSR-325やPS-1のほうが優れている(メタル適正度が高い)ように私は感じます。

どんなジャンルでも高音質で楽しむことができるので、ヘッドフォンをひとつで済ませたい人にオススメです。価格以上の性能を持っているように感じますし、強い癖を持ったヘッドフォンではないので、誰でもすんなりATH-AD2000の音を受け入れることができるのではないでしょうか。オーディオテクニカ特有の平面的な音場感も感じられないので、オーディオテクニカに抵抗のある人にも是非一度聞いてみてほしいものです。個人的には現行機では性能面も含めると最もメタルに適しているように思うので、メタラーに一押しのヘッドフォンです。

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プロフィール
名前:
まみそ
競馬:
性別:
男性
「まみそぶろぐ」って何?:
ヘッドフォンやオーディオアクセサリーの感想などを筆ペン先生がぶった斬るWebサイト。
軽く自己紹介:
「永遠のオーディオ初心者」「糞耳筆頭」「ケーブル患者」「アクセ馬鹿」かつ「競馬中毒者」です!よろしく!








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ヘッドホン、イヤホン、アンプ、ヘッドホンケーブル大放出!ヘッドホンを売るのはコレが最後になりそうです。興味のある機種などありましたらお気軽にご連絡ください。よろしくです。

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