型番:HP-DX1000
メーカー:Victor
タイプ:密閉型ヘッドフォン
ハウジング:天然木無垢材
再生周波数帯域:4 - 30,000Hz
インピーダンス:64Ω
感度:102dB
質量:380g
ケーブル長:3..5m(両出し)
プラグ:6.3φステレオ
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装着感はそれなりに良好。大きなハウジング、ガッシリした造りで「装着してる感」は強いです。イヤーパッドが分厚く夏は蒸れそうな点と、ケーブルが太いので邪魔に感じることがしばしばある点が気になります。見た目は大きくて無骨、あまりスタイリッシュではありませんし、木製のハウジングは艶があるわけでもなく高級感はそれほどありません。
性能を前面に出すのではなく、音楽性を感じることのできる非常に聞きやすい音を出すヘッドフォンです。性能を前面に出さないとは言え、土台として高いレベルの基本性能を持っており、縁の下の力持ち的な意味で性能の高さが活躍しているといった感じでしょうか。流石にトップクラスのヘッドフォンと比べると差を感じますが、そこそこの性能を持っています。バランスはフラット。若干低域が弱く、「中高域をメインで聞かせ、低域は全体的な雰囲気作り」といったバランスであり鳴り方です。あまりグっとくる説得力のある低域ではありませんが、量と厚みがあるのでそれほど不満には感じません。締まっているとは言えませんが、広範囲ながら程よく締まりがあり緩いという感じはありません。高域は癖が無く、音色は鮮やかなものの落ち着いていて優しさを感じます。刺激とは無縁のいたってニュートラルな高域。全体的に厚みがあり、程よい柔らかさや温かみを感じる音で、全体感が強くふんわりとした印象。HP-DX1000は音場感が独特なのが面白いです。遠くから音が自分に向かって出ている感覚を受けます。ヘッドフォンにおいて遠くから音が聞こえるという鳴り方は極めて特殊でしょう。この独特の音場感を「音場が広い」と言ってしまうのには違和感を感じます。「広い」と言うよりも私の感覚だと「遠い」という言葉のほうが適切で、遠くから音が鳴っていて結果的に距離感を感じ広さに繋がるといった具合でしょうか。大きなハウジングの見た目のままに、物理的に強引に空間の広さを作っているといった印象を持ちました。形成される音場そのものは特別広いわけではなくそれなりに広いといった程度ですが、立体感、響き、広がりがあり、空間表現は優れている部類に入ります。音の繋がり感、全体感の強い鳴らし方で、どちらかと言えば臨場感重視。そのため各音の独立感、際立ち感が弱く、ビシっと音を分離せず、直接的ではなく間接的に聞かせるタイプの鳴り方です。このような鳴り方により、音の響き成分に包まれるような感覚を受けます。この音に包まれるという感覚は同じ密閉型のMDR-CD3000でも感じられますが、音場の形成方法が全く違うので似ているようで似ていません。
「HP-DX1000は環境側の影響を受け難い」という評価がされているようなので、音の変化の大きい電源ケーブルを変更して検証確認してみました。強い特徴を持つBrack Label ⅡとMuse-Cable AC、そしてこられと比較して格段に性能の落ちる付属ケーブルを付け替えて聞き比べてみましたが、確かにケーブルの持つ個性の差、性能の差の反映度は低かったです。しかし、若干鳴り方や質感が変わるのは確認できました。HP-DX1000は特に音色が極めて固定的なようで、全くと言ってしまってもいいぐらい変化しません。何十万、何百万と環境につぎ込んでもあまり意味がないという考え方をすると寂しい機種ですが、逆にお手軽システムでも十分ハイクオリティな音を出してくれるという考え方をすると非常に優れた機種だと思います。
得意ジャンルはジャズ。厚い低域によるウッドベースは豊潤で、全体的にふんわりした音で雰囲気重視、うっとりとしてしまいます。ゆったりした曲調のものが合うように思います。空気感を感じられるので吹奏楽器も非常に魅力的で、ジャズに限らずクラシックも心地良く聞かせてくれます。迫力、激しさやキレ、躍動感、刺激等を必要とする楽曲にはあまり合わないと感じます。ロックなどはいまいち。
音場感は独特ですが、音色や質感に癖や個性はあまりなく、自然で聞きやすい音。性能より音楽性を重視する人、心地良さや聞きやすさ、癒しを求める人に適したヘッドフォンなのではないでしょうか。少し価格が高いようにも思いますが、音楽性溢れる音が好きな人ならば価格以上の満足度を得られるでしょう。
型番:ATH-AD2000
メーカー:オーディオテクニカ(Audio-Technica)
タイプ:開放型ヘッドフォン
再生周波数帯域:5 - 45,000Hz
インピーダンス:40Ω
感度:102dB
質量:250g
ケーブル長:3.0m(両出し)/4芯平行コード
プラグ:6.3φステレオ
重量が軽く装着感は最高レベルにあるのですが、イヤーパッドの厚みが薄く耳が当たってしまうのが気になる人もいそうです。見た目は高級感は無いものの、洗練されていてクールですね。
変な味付けがないのでどんなジャンルでも上手く鳴らせるように思います。ロック、ポップス、クラシックからジャズ、打ち込みまで何でもハイクオリティで楽しむことができるでしょう。ただし、Wシリーズと比較すると柔らかさや丸みに欠けるので、女性VoなどはWシリーズを使用したほうが良さそうです(逆に言えば男性Voに向いています)。中でも特に相性が良いと感じるのがロックやメタル、打ち込みです。特にヘヴィーメタルへの適正度が非常に高いと感じます。SR-325に匹敵、性能面を考慮するとSR-325を超えるメタルヘッドフォンではないでしょうか。スカスカ感はありませんし、明るいキャラクターで鮮烈な音でキレ味がよくノリも良し、音の立ち上がりが速く疾走感を感じられ、それでいて厚みがありパワー感を持っていますし、低域が締まっていてしっかり出る点、高域の特徴なんかはメタルにピッタリだと感じます。ただし、音楽を楽しめるという感覚的な観点から見るとSR-325やPS-1のほうが優れている(メタル適正度が高い)ように私は感じます。
どんなジャンルでも高音質で楽しむことができるので、ヘッドフォンをひとつで済ませたい人にオススメです。価格以上の性能を持っているように感じますし、強い癖を持ったヘッドフォンではないので、誰でもすんなりATH-AD2000の音を受け入れることができるのではないでしょうか。オーディオテクニカ特有の平面的な音場感も感じられないので、オーディオテクニカに抵抗のある人にも是非一度聞いてみてほしいものです。個人的には現行機では性能面も含めると最もメタルに適しているように思うので、メタラーに一押しのヘッドフォンです。
型番:PROline2500
メーカー:ULTRASONE
タイプ:開放型ヘッドフォン
再生周波数帯域:8 - 35,000Hz
インピーダンス:40Ω
感度:94dB
質量:292g
ケーブル長:3.0m(片出し)
プラグ:6.3φステレオ
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装着感はかなり良好。イヤーパッドとヘッドパッドがフカフカした素材で痛さは感じられません。edition9は勿論、DJ1PROよりも装着感は良好です。イヤーパッドの材質上蒸れも気になりませんし、ケーブルは細くて軽く取り回しが楽で、使用時に余計なことを気にかけず音楽に没頭できます。
バランスは完全なドンシャリ型。締りの無い量感たっぷりな低域と刺激的でザラザラした高域。このザラザラした音色は全体で感じ、Voまでもがザラザラとした質感になってしまいます。ソースにもよりますが、Voは多少引っ込み気味であまり前面には出てきません。中高域の音色の癖が非常に強く、癖の無い自然な音色を求める人にはまず合わないでしょう。しかし、この癖のある音色であり量感バランスがこのヘッドフォンの個性であり、魅力的だと感じられるので印象は悪くありません。音場感はなかなか良好で、同じULTRASONEのeditioin9やDJ1PROと比べても優秀だと感じます。密閉型と開放型による違いなのでしょうか。PROline2500のほうがS-LOGIC効果をしっかり出せているように感じます。そのS-LOGICにより前後感のある奥行き感の強い空間を形成します。基本性能は価格なり、量感のある低域による影響もあるように思いますが、全体的には厚みがあり響き成分が多く、そこそこ密度感のある重厚な鳴り方だと感じます。
刺激的で癖のある高域とモリモリ出る低域が最大の特徴で、ヘッドフォンに個性を求める人、ヘッドフォンを使い分ける人はニヤリとするのではないかと思います。刺激的な高域やドンシャリバランスから聞き疲れするような音だと思うかもしれませんが、実際は意外なことに落ち着いていて長時間聞ける安定感のある音です。おそらく密度感があり重厚なサウンドであることが原因だと思われます。
何にも向いていなさそうで何でもいける不思議なヘッドフォンです。PROline2500の鳴り方であり音色を受け入れることができれば何でも楽しく聞くことができます。あえて得意ジャンルをあげるとすればクラシックやジャズでしょうか。厚みのあるサウンドでクラシックの壮大さをなかなか上手く表現することができ、ジャズでは柔らかく量感のある低域でウッドベースが魅力的ですし、弦楽器や管楽器は鮮やかな音色で気持ちよいです。あまり鮮烈なイメージの音ではなく、逆に落ち着いた味のある大人なサウンドなので、そーいった曲のほうが合うようにも思います。
初めて聞いた時にはあまりに個性的な音に戸惑うかもしれませんが、慣れてしまうとそれほど気にならなくなってきます。DJ1PRO同様に「音楽を楽しむ」という点で非常に優れた機種で、コストパフォーマンスも高いように思います。余談ですが、原音を忠実に再現するのではなく、独自の思想に基づいて「音楽を楽しめる音作り」をしているという意味で、ULTRASONEとGRADOは共通点があるように思います。性能と言うよりも鳴り方や音色の個性の違いでラインナップを揃えている点も似ていますね。
★オヤイデ HWS-22Wにケーブル変更
標準ケーブルと比べると一変してイメージが変わります。まず単純に基本性能の向上を感じられます。解像度がかなり向上し、帯域も広がりより低く、より上まで伸びるようになります。情報量も若干向上し、よりリアリティのある音へと変わります。綺麗でスッキリとした音になり、低域は程よく締まり、中高域がクリアーになり繊細さが増し、中高域のザラザラ感は減少します。特に中高域の変化は個人的に素晴らしく、PROline2500でこれほど癖のない繊細で綺麗な音が出るのかと驚かされます。バランスはドンシャリからフラット方向へ変化し、かなり聞きやすいバランスになりますが、代償として全体的な音の厚みが減少してしまいます。HD25のケーブル交換でもそうですが、ケーブルを換えることで音は大きく変わってしまいます。確かにクオリティーはアップしたと言えますし、個人的にはHWS-22Wを使用した時の音のほうが好きです。しかし、PROline2500の「らしさ」が無くなってしまうので良いとも悪いとも言えないのが本音です。HWS-22Wを使用した時の綺麗な音色が好きならば、最初からこのような音のヘッドフォンを使ったほうがいいのではないか?とも思います。ただし、一つのヘッドフォンで二度、三度楽しめるという意味ではケーブル交換は積極的に試してみる価値はあるでしょう。
型番:MDR-CD3000
メーカー:SONY
タイプ:密閉型ヘッドフォン
ハウジング:セラミックコンポジットハウジング
再生周波数帯域:20 - 20,000Hz
インピーダンス:32Ω
感度:104dB
質量:400g
ケーブル長:3.0m(片出し)
プラグ:6.3φステレオ
※生産完了モデル
装着感は良好。側圧は弱めでふわっとした装着感。装着感は良いのですが、地味に重量があるのでじわじわと疲れてきます。コラーゲンイヤーパッドはふわふわしていて感触は良好。しかし、蒸れやすく劣化しやすい点は難点です。
相性が良いのはLIVE音源。空間表現力に優れているため、LIVE音源、クラシック等で広い音場を体感することができます。音楽の世界に浸れるタイプのヘッドフォンなので、インパクトやパワフルさという面から見るとロックには合わないのですが、妙に躍動感があり、音色に癖があるにも関わらずうるささを感じず、ある意味繊細で主張感のある中高域はロックを上手く鳴らすことができるように思います。
音場を最重視する私にとっては非常に魅力的なヘッドフォン。中高域の癖が無く基本性能が高ければ文句無しです。
型番:ATH-W5000
メーカー:オーディオテクニカ(Audio-Technica)
タイプ:密閉型ヘッドフォン
ハウジング:黒檀材
再生周波数帯域:5 - 45,000Hz
インピーダンス:40Ω
感度:102dB
質量:340g
ケーブル長:3.0m(両出し)/4芯平行コード
プラグ:6.3φステレオ
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同じ木製ハウジングのATH-W1000やATH-W2002同様に装着感は最高レベル。長時間使用していても疲れません。ラムスキンのイヤーパッドのフィット感も好感触です。見た目の高級感はあまりありませんが、黒檀ハウジングはクールな印象で個人的には好きです。ケーブルは細くて取り回しは楽なのですが、無音時にケーブルを触るとタッチノイズがするのが難点。ハードケースが付いており収納、保管の際に便利です。
この機種の一番のポイントは基本性能の高さだと私は感じました。情報量、帯域、解像度、レスポンス等々、全て文句無しのレベルを有しています。ATH-L3000やeditioin9と比較しても若干勝っているように感じます。オーディオテクニカ特有の音場感も関係しているように思いますが、これほどまでに微小音を正確に浮き彫りにする機種は他に無いのではないでしょうか。情報量が非常に多く、尚且つ解像度が高いため、密度感がありながらクリアーで透明感があり、リアリティのある音を鳴らします。バランスはフラット、全ての音域が過不足なくバランス良く鳴っており、全域の、そして全部の音をよく聞き取ることが可能です。低域は締まっていて実体感があり、ズシリとしつつもタイト、拳でダンダンダンダンと叩くようなアタック感がありタイトでありながらも肉質感のある低域、高域は刺激とは無縁で非常に細かに繊細に鳴らします。躍動感と言うよりもレスポンスが良く音の立ち上がりが高速でキレがある点はK1000を彷彿とさせます。音場はオーディオテクニカにしては広く篭り感もありません。また、音がハウジング内で響くタイプで密閉型の良さを出せているように思います。驚くべきはオーディオテクニカにして立体感があることです。ATH-W2002同様響き成分が多いのが原因なのでしょうか、平面的な感覚があまり強くありません。ATH-W2002が響きを演出的に鳴らすのに対し、ATH-W5000は豊富な情報量で素の響き成分を自然に出す感覚で、癖が無く違和感のない点が好印象です。しかし、特に音場に関してはオーディオシステム、ソースによって変わってくるので注意が必要です。平面感が強い音場になるケースも確認できました。帯域の広さも注目すべき点でしょう。低域は相当低いところまで出ますし、高域は全くピーク感を感じさせず悠々と鳴らしきり伸びきります。欠点は力感や迫力の無さ。パワフルさを出すヘッドフォンではなく綺麗な音をストレスフリーで心地良く鳴らすタイプだと感じます。特にクラシックで感じるのですが、一歩ひいた位置で客観的に音楽を聞くような、傍観者的に音楽を聞くイメージを持ちました。このような鳴り方が躍動感や抑揚を感じにくい点に関連しているように思います。
ATH-L3000と違った意味で環境にシビアなヘッドフォンだと感じます。ATH-L3000の場合は上手く鳴らすために環境をセッティングする必要があるという意味でシビアで、バランスの調整を必要とします。ATH-W5000の場合は環境側で作った音を忠実に出すという意味でシビアで、加えてヘッドフォンの良さを引き出すにはそれなりの環境レベルを要求します。ATH-W5000は音色や音質などをあまりヘッドフォン側で作らず味付けの少ない無個性な音なので、環境側で作った音色や質が素直に反映されます。この特徴はアンプで言うと、オーディオアクセサリーの音が上手く乗るm902に非常に似ています。個人的にはATH-W5000はハイレベルな情報量、帯域、解像度といった基本性能を確保し、音の厚みや温かさ、艶やかさや柔らかさなどを出せる環境を作ってあげるとATH-W5000の良さを引き出せているように感じるので、そのような音にセッティングするといいのではないかと思います。しかし、勿論これは好みの問題なので、どのような音にするのかは人それぞれです。レスポンスの良さを活かしてクールでシャッキリした音にするのも面白いでしょう。よく低域が出ないと言われますが、バランス的にはフラットで出ていないことはありません。質感を変えることで主張感の強い低域にすることは可能です。低域の量感ではなく締まりや濃度や力感を意識して調整するのがポイントです。オーディオシステムで作った音を忠実に高い基本性能で鳴らせるという意味で非常に優れた機種だと私は思います。ヘッドフォンを使い分けるのではなく、複数の環境を使い分けるタイプの人にオススメのヘッドフォンですね。
基本性能が高いので何を鳴らしても高いクオリティを発揮しますが、あえて選ぶならジャズやクラシックあたりを上手く鳴らせるように思います。オーケストラサウンドをATH-L3000では最前列で大迫力で聞けるのに対し、ATH-W5000はかなりひいた位置から綺麗な音でBGM的に聞くといった印象でしょうか。ジャズならATH-L3000は自分のためだけに演奏してくれている感覚、ATH-W5000だと離れた位置から観客として聞いている感覚です。刺激とは無縁の疲れない鳴りで、こーいった意味ではSRS-4040と似た部分もあるように思います。「ちょっと力感のあるSRS-4040」「ダイナミック型にしたSRS-4040」と言えなくもありません。音の立ち上がりは早いが躍動感をあまり感じられないといった面でもSRS-4040に似ているように思います。
圧倒される性能の高さを感じることができるヘッドフォン。そして、人工的な音色の味付けや演出的な質感の加工がされていない素の音を聞けるヘッドフォンです。環境の音をそのまま出したい人にオススメしたい機種です。ヘッドフォン自体は無個性で面白みがないと言えなくもない音なので、自分好みの音に環境を追い込めている人でないと上手く鳴らせないのではないかと思います。「個性」によってヘッドフォンを使い分けるのが一般的な中、音色や質の大部分を環境側に頼りきり、その音を高い性能でもって忠実に再現するという異質なヘッドフォンです。一風変わったスタイルのヘッドフォンだと思いますが、このようなヘッドフォンがひとつぐらいあってもいいように思います。
型番:K501
メーカー:AKG
タイプ:開放型ヘッドフォン
再生周波数帯域:16 - 30,000Hz
インピーダンス:120Ω
感度:94dB
質量:235g
ケーブル長:3.0m(片出し)
プラグ:6.3φステレオ
※生産完了モデル
装着感は普通。イヤーパッドは若干固めですが、重要が軽いので長時間使用による疲れはあまりありません。イヤーパッドによる蒸れも気にする必要は無さそうです。
バランスは中高域寄り。全体的に線が細く繊細な鳴り、アッサリしているのが特徴です。音色に癖はなく聞きやすく自然な音だと感じます。低域は量感は無いものの締まっておりタイト、高域は刺激が無く繊細。非常に線の細い鳴りのため、力感や迫力、実体感などを感じることができません。性能は価格の割りには頑張っているように思います。クリアーで線が細くアッサリした鳴り方なのも影響していると思いますが、価格以上の解像度の高さを感じられるヘッドフォンです。性能面で不満に感じるのは情報量と帯域でしょうか。情報量に関しては価格なりのものは持っているように思いますが、帯域の狭さ、特に低域方向への伸びが不満です。低い低音を必要とする打ち込みなどではどうしても軽い低域になってしまい物足りなさを感じてしまいます。音場感はそれなりに良好で、狭いと感じることはありませんが、特別広いとも感じません。響きや音の広がりもそれなりにあるので、空間表現力はそこそこのレベルを持っています。「それなり」「そこそこ」という言葉を多様していることからわかると思いますが、本当に「それなり」「そこそこ」の機種です。痛さを感じずアッサリと綺麗に肩の力を抜いて音楽を聞きたい時に適したヘッドフォンだと思います。
得意ジャンルは意外かもしれませんが疾走感のあるロック、メタル。迫力や力感はあまり無いのですが、音数が多くなってもうるさくならない点、低域がタイトなためか意外にキレや疾走感が出せている点はメタルに合うように思います。かなり強引な表現になりますが、「綺麗で大人しいSR-325」と言えるかもしれません。とにかく強い癖がありませんので、なんでもこなせるヘッドフォンだと思います。要はこの鳴り方が好きか嫌いかでオールジャンルに合う合わないが決まるように思います。
手頃な値段で高級ヘッドフォンの音を垣間見ることができるヘッドフォンではないでしょうか。これといった強い個性を持ったヘッドフォンではないので、人によっては面白くないと感じる人もいるかもしれません。個性が無いものの地味というわけではなく、綺麗に鳴らしているという印象を受けます。疲れている時にサラっと音楽を聞き流したい、そんな人にオススメのヘッドフォンです。最後に、非常に音量が取り難い点は注意が必要です。
型番:ATH-L3000
メーカー:オーディオテクニカ(Audio-Technica)
タイプ:密閉型ヘッドフォン
ハウジング:北海道産アサダ桜心材、セミアニリンレザー仕様
再生周波数帯域:5 - 45,000Hz
インピーダンス:48Ω
感度:104dB
質量:380g
ケーブル長:3.0m(両出し)/4芯平行コード
プラグ:6.3φステレオ
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※生産完了モデル
ハウジングが革張りなのはアリだと思うのですが、ブラックカラーのほうが良かったのではないかと個人的には思います。ラムスキンのイヤーパッドは肌との密着度が高くフィット感があり良好。外見上で驚いたのがケーブルの豪華さ。「こんなケーブル反則だろう」と思えるほどに贅沢な線材です。音質面を考慮してこのような豪華なケーブルを使用しているのでしょうが、平らで太くて重く取り回しが困難なのは厄介です。
バランスはフラット~低域寄り。全体で見たときに音の厚みがあり線が太く、柔らかくも力強さのある濃度の高い音です。量が多く広範囲的な低域にも関わらず、よく制御されている点は「う~む、凄い!」と唸らされます。重さがあり説得力のある低域はATH-L3000のセールスポイントのひとつだと感じました。中高域はクリアーで解像度が高く、繊細さと力強さを両立した実体感のある音。音場はオーディオテクニカ特有の平面的な音場で、左右方向への広さはありますが、奥行き感はありません。LIVE音源を聞くと一発でわかるのですが、全ての音が間近で鳴ります。この音場感だからこその優位点は、Voを含めた全ての音を間近でハッキリ聞くことができ、凝縮された小さな世界という枠の中で非常に臨場感が高いことでしょうか。中高域は解像度が高く音の分離感に優れており、加えて低域が分厚く全体的な鳴りのため全体感や音の繋がり感が強く、全体的な一体感と細かな音の分離感を両立できている機種です。上も下もよく音が伸び、帯域が広く余裕をもって鳴らしきる印象を受けます。
ATH-L3000は使いこなすのが難しいヘッドフォンだと私は感じます。というのも、環境によって結構印象が変わってしまうからです。濃い系の機器と組み合わせると中高域が不明瞭になり、聴覚上の解像度が低く音が篭る感覚が強まり、音場感が悪化してしまいます。上手く鳴らすためには高解像度でスッキリ系、明瞭な音の出せるシステムを組むといいのではないかと個人的には思います。このようなシステムを組むことで、ATH-L3000が持つ特性を出しつつバランスの取れた音調となり、音の厚み、濃さを低域で存分に発揮しながら中高域はクリアーで見通しが良く、篭り感が無く音場感も良好になります。例えばAT-DHA3000などで非常にバランスよくATH-L3000を鳴らすことができます。edition9同様しっかり環境レベルについてきてくれる性能の高さを持っていますので、環境にこだわって使ってあげたい機種ですね。
比較的なんでもこなせるヘッドフォンのように思います。あまりキレや爽快感を必要とするロックやメタルには合わないように思いますが、この手の音が好きなら何でも気持ちよく聞けるでしょう。特にジャズは目の前で自分のために演奏してくれているような感覚を味わえて好印象でした。面白いのがオーケストラが妙に合うことです。ATH-L3000の厚みがあり力強い音によって、オーケストラの「迫力」という要素を非常に高く引き出すことができます。また、前後感が無く横に広がっていく音場のため、最前列で聞いているかのような感覚になるのはオーディオテクニカサウンドならではでしょう。
ATH-L3000は上手く鳴らせるか鳴らせないかで印象が結構変わってしまいます。価格も高く相性の問題もあり敷居の高いヘッドフォンですが、オンリーワンの魅力を持ったヘッドフォンだと思います。オーケストラを最前列で迫力満点の音で聞けるヘッドフォン、それがATH-L3000です。
C.E.C.のDAC&ヘッドフォンアンプ。
XLR、RCA、TOS、USBと豊富なデジタル入力、小型で軽く、ヘッドフォン出力を備えている。
m902同様、私のようなPCオーディオの人にとって魅力的な機器。
デジタルフィルターやオーバーサンプリング周波数の切り替え、信号の歪みを低減する機能がついており、好みに合わせて音質を多少変化させることが可能。
★インプレ(DA53単体)
明瞭でクリアー、透明感のある音、SN比も優秀。
厚みが無く線が細く、サラサラとした音でエネルギー感はあまり感じられない。
全域にわたって味付けのない素直な音。
響きは控えめでアッサリしており、空気感や音響はあまり感じられない。
繊細で抜けの良い高域表現はDA53の特徴と言っていいだろう。
少し綺麗に鳴らしすぎる感があり、低域の迫力や音の荒々しさが出せず、力感や実体感が薄い点が気になる。
m902とよく似た音だが、m902以上に響きが少なくアッサリした音。
m902に比べエネルギー感や実体感、躍動感や力強さに欠ける。
m902は多少高域が派手なキャラクターなのに対し、DA53はサラサラと耳障りの良い高域。
音作りの方向性は同じだが、騎士のようなm902、貴婦人のようなDA53といった違いがある。
>DA53 + m902
DA53単体で弱いと感じたエネルギー感、実体感、躍動感などが改善される。
また、響き成分が増え、解像度が向上し情報量が増えることから、DA53単体で使う場合にはアンプ部分で音質のロスがあると考えてよさそうだ。
できればDA53を単体DACとして使用し、ヘッドフォンアンプと組み合わせて使用したほうが性能を発揮できるだろう。
「DA53 + m902」とm902単体の音は限りなく似通っている。
両機器を組み合わせるとm902とDA53を7:3ぐらいで足して割ったような音となる。
あえて違いを搾り出すとしたら、「DA53 + m902」のほうが僅かに解像度が高く情報量が多い。
そして僅かに音のフォーカス感が強い。
しかし、ほぼ同じと言っていい音質なので、この二つの機器を組み合わせる必要性は感じ無い。
★総評
m902とよく似た音なので、既にm902を所有している人は必要のない機器だと私は思う。
PCオーディオでヘッドフォンユーザー、クリアーで透明感のある音質を好む人の場合、「m902とDA53のどちらにするか」といった選択肢になるのではないだろうか(単体で使うと仮定した場合)。
インプレで書いたようなキャラクターの違いがあるので、好みに合わせて選ぶのもいいだろう。
しかし、DA53のコストパフォーマンスの高さが際立っている点も考慮に入れる必要がある。
この値段でこの音は満足度が高いように思う。
一応個人的な意見を書いておくと、総合力(DAC&アンプ)ではm902のほうが上だと感じる。
★AT-DHA3000
オーディオテクニカのフルデジタルヘッドフォンアンプ。
筐体が大きく重量感がある。
デジタル入力専用のヘッドフォンアンプで、DACを内蔵しており、ヘッドフォンアンプとしてのみの使用は不可能。
★仕様
型式 フルデジタルステレオヘッドホンアンプ
DAコンバータ 24ビットオーバーサンプリング フルーエンシ型DAコンバータ
入力端子(デジタル) 同軸×1系統
光(角形)×2系統
スルー出力端子(デジタル) 同軸×1系統
光(角形)×2系統
入力サンプリング周波数 32kHz、44.1kHz、48kHz、88.2kHz、96kHz
ヘッドホン出力端子 φ6.3標準ステレオジャック×1
φ3.5ステレオミニジャック×1
推奨負荷インピーダンス 16Ω~600Ω(ヘッドホン1台使用時)
32Ω~600Ω(ヘッドホン2台使用時)
最大出力 250mW+250mW(16Ω負荷、LOWポジション)
125mW+125mW(32Ω負荷、LOWポジション)
180mW+180mW(49Ω負荷、MIDポジション)
65mW+65mW(300Ω負荷、HIGHポジション)
周波数特性(+3dB、-2.5dB) 10Hz~20kHz(サンプリング周波数48kHz時)
10Hz~40kHz(サンプリング周波数96kHz時)
全高調波歪率 0.03%以下(1kHz、180mW出力時、49Ω負荷)
チャンネル間セパレーション 68dB(20~20kHz、49Ω負荷)
利得 LOW 6.0dB、MID 10.0dB、HIGH 13.5dB
SN比 90dB(JISA、MID、49Ω負荷)
デジタルイコライザーコントロール
BASS±4dB
TREBLE±4dB
電源 AC100V、50/60Hz(インレット入力)
消費電力 34W
外形寸法 H93×W310×D230mm(突起部除く)
質量 5.3kg
付属品 OFC電源ケーブル(2m)
★インプレ
「本当にヘッドフォンアンプ?」と思える程に強力な駆動力を持っており、スピーカーも鳴らせそうに思える。
この強大なパワーにより、悠々と全てのヘッドフォンを鳴らしきることが可能。
無音時のノイズ音が多少気になるが、余程の爆音にしない限り問題なく使えるレベル。
性能面において特に不満を感じる部分はなく、優秀な性能を有しているように思う。
とてもバランスのとれた音調。
僅かに低域の量感が少なく、中高域に重点を置いた音作りのように感じる。
このあたりはATH-L3000を活かすためにバランスを調整しているのかもしれない。
明瞭な音でありながら音の厚みがあり、アッサリしているわけでもなく濃い音というわけでもない。
艶やかさがあると言うわけでもなく艶やかさが無いわけでもない。
音が締まっているわけでもないが、緩いこともない。
音の広がりや響きは必要十分。
音は細くなく、どちらかと言えば太く力強さを感じる。
刺激的な音は出ず、柔らかく聞きやすい部類に属する。
これと言った突出した個性のないヘッドフォンアンプ。
この個性の無さが最大の良さだろう。
全ての要素が中間ポイントを突いてきている。
やはりこのアンプの特徴はパワフルさにあるのではないだろうか。
これほどパワーのあるヘッドフォンアンプは他にないだろう。
余裕のありすぎる駆動力により、厚みや力感を出しつつ、それでいて明瞭でクリアーな音質を実現できている。
m902と比較すると音場感、音の広がり、響きが優れており、空間的に余裕をもって鳴らしている印象を受ける。
解像度が高く明瞭、高域が若干派手で、低域の締まりと量感、躍動感があるのはm902。
なんでもこなせるAT-DHA3000、ロックやメタルと相性抜群なm902といった感じだろうか。
AT-DHA3000はDAC&アンプの一体型として見ると非常に優れたクオリティーを持っており、一体型としての完成度はm902を上回るように私は思うが、勿論これは人それぞれ好みによって変わってくるだろう。
イコライザー機能がついており、低域や高域を微調整可能。
私は必要性を感じ無いが、人によっては便利な機能となりそうだ。
editon9やATH-L3000といった、濃い音でありながらもクリアーさを必要とするヘッドフォンとの相性が良い。
低域で厚みや濃さを出しつつ、中高域で解像度が高くクリアーな音質を引き出すことができる。
もう少しメリハリをつけたい、もう少し柔らかさが欲しい、などといった時はケーブルやインシュレーターなどで微調整するといいだろう。
バランスのとれた音なので、自分好みの音へもっていくのが楽な点も見逃せない。
型番:ATH-W2002
メーカー:オーディオテクニカ(Audio-Technica)
タイプ:密閉型ヘッドフォン
ハウジング:北海道産アサダ桜心材、越前漆仕上げ
再生周波数帯域:5 - 40,000Hz
インピーダンス:40Ω
感度:102dB
質量:340g
ケーブル長:3.0m(両出し)
プラグ:6.3φステレオ
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※生産完了モデル
越前塗りのハウジングは伝統工芸品そのもの。高級感のあるヘッドフォンBEST1と言ってしまってもいいのではないでしょうか。重量も軽く装着感は良好。ラムスキンのイヤーパッドは肌触りが良く気持ちよいのですが、夏は蒸れそうなのが難点です。
一言で言えばATH-W1000を進化させたヘッドフォン。ATH-W1000の性能を上げ、更に響きと艶やかさを増した音です。バランスはフラット~高域寄りでほぼATH-W1000と同様。若干高域の量感が多いように感じます。低域はふんわりと全体感の強い柔らかな音調で、あまり強く制動をかけず、響きを活かした心地良い低域です。高域は量感があるのでよく聞こえます。量感はあるものの決して痛さはなく、ATH-W2002の全体感の強い鳴りの中で、自立性とハーモニーを上手く両立できている高域です。Voは全く埋もれることなく間近でリアルに聞くことができます。解像度、音の分離感はATH-L3000と比べると落ちますが、ATH-W2002は音色や響き、心地良さを楽しむ機種のように思うので、逆に高解像度すぎないのが良い結果を招いているのではないでしょうか。トップクラスのヘッドフォンと比較すると低域が低いところまで出ませんし、高域も伸びが物足りない点が気になりますが、それらを補って余りある魅力的な音色を持った機種です。
艶やかで柔らかく、クリアーな空間に美しく音が響くのが一番の特徴でしょう。音場が狭いこともあり、その狭い空間内に音が響き満ち、音響を強く感じるヘッドフォンです。オーディオテクニカの音場感ではあるものの、響きが豊かなせいでしょうか、オーディオテクニカにしては音場が広いと感じ、平面的だと強く意識させられません。むしろオーディオテクニカ特有の近くで鳴る音場感がATH-W2002においてはあらゆる面で有効に働いているように感じます。これほど密閉型であることの優位性を引き出せているヘッドフォンはなかなか無いでしょう。オーディオテクニカの音場感だからこそ出せる、そして密閉型だからこそ出せる素晴らしい響きを持っています。
得意とするのは女性Voモノ。私が経験してきたヘッドフォンの中では群を抜いて相性が良いと感じます。狭い空間内に声の響き成分が充満し、艶やかな女性Voは身も心もとろけるようです。オーディオテクニカにしては音場が広いとは言っても狭いですから、あまり音数の多いゴチャゴチャした曲ではなく、シンプルなピアノソロであるとか、トリオ編成ジャズなど、小編成による楽曲に向いているように思います。
性能面ではトップクラスに一歩及びませんが、文字通り「美音」と言える美しい音色を体験できる機種です。楽器や声の持つ音色の美しさを本物以上に美しく演出してくれる、そんなヘッドフォン。ヘッドフォンの見た目と音が見事に一致していますね。
ヘッドホン、イヤホン、アンプ、ヘッドホンケーブル大放出!ヘッドホンを売るのはコレが最後になりそうです。興味のある機種などありましたらお気軽にご連絡ください。よろしくです。
AKG
K3003
K1000
K701
K501
K340
K290 Soround
K240 Sextett 二代目
ALESSANDRO
MS-1
AUDEZ'E
LCD-3
Audio-Technica
ATH-W5000
ATH-L3000
ATH-W3000ANV
ATH-W2002
ATH-AD2000
ATH-A2000X
ATH-W1000
ATH-CKW1000ANV
ATH-PRO700MK2ANV
ATH-W100
ATH-A55
ATH-ESW10
beyerdynamic
DT880 Edition2005
BOSE
Bose on-ear headphones
DENON
AH-D7000
AH-D5000
FOSTEX
T50RP
GRADO
PS1000
GS1000
PS-1
RS-1
SR-325
HiFiMAN
HE-6
Monster Cable
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SENNHEISER
HD800
HD650
HD25-1
HD25-13 Ⅱ
HD414
SONY
MDR-SA5000
MDR-CD3000
MDR-EX1000
STAX
SR-007A + SRM-007tA
SR-404 LIMITED
SRS-4040
ULTRASONE
Edition10
Edition9
Edition9バランス仕様
PROline2500
DJ1PRO
Victor
HP-DX1000
その他
USTヘッドフォン(EXH-313他)